お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

タカサゴヒメジ

2022年07月29日 | 市場
 最近はコロナ感染がこんな小さな過疎の町にも押し寄せて来ている。昨日は遂に市場の職員も感染が判明。更に今日は市場職員全員が感染している事が解り全員が休み。うちの会社は定置網だけではなく、市場運営もしている。なので今日は定置網漁を終え、自分達で市場に水揚げ後、市場運営の方を担当する。するとお隣の定置網が漁を終え帰港。その水揚げ作業を一緒に行う。水揚げ作業をしていると綺麗なタカサゴヒメジを発見。ここではタカサゴヒメジは普通種であるが幼魚ばかりで成魚はちょっと珍しい。成魚になると体側上部の鱗一枚一枚に紫色の紋が入りとても綺麗である。実はこのタカサゴヒメジの成魚を探していた。今年刊行した薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)ではタカサゴヒメジの写真を3枚掲載しているが全て幼魚であり、鱗にこの綺麗な紋が入っておらず美しさに欠けている。という事でこの個体を魚ボラの標本用に確保する。タカサゴヒメジは更に成熟した雄の個体であれば歯が発達し、口を閉じていても犬歯が見える程で、以前に市場に揚がっている個体を見たことがある(ブログ2008 10.10)。本当はその様な個体を探していたのだが、とりあえずは鮮やかな成魚を確保出来たので良しとする。今後1週間は水揚げ後、市場運営をしなければいけなくなった。普段は自分の所の漁獲物の水揚げが終われば定置網の作業をするので市場からは離れてしまうので、その後から帰港した定置網の漁獲物を見れない時がある。市場運営もしてみると最後まで他の定置網の漁獲物もじっくりと見ることが出来、標本を探すうえではいいこと尽くめである。だがその代わり、定置網の作業が滞ることとなる。

タカサゴヒメジ




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遂に確保 イトウオニヒラアジ?

2022年07月20日 | 市場
 今日は定置網漁を終え帰港すると、市場に待ちに待った魚が並んでいる。今までに何度か遭遇しているが標本を確保できていない謎なギンガメアジ属の魚である(ブログ2017 10.31)。昨年も市場に揚がったのだが(ブログ2021 10.18)、その時は既に仲買が目を付けており確保出来なかった。今回はまだ時間が早く、今のところ仲買人はまだ誰も来ていない。魚種を確定する為にも仲買人が来る前に魚ボラの標本用に確保する。今回は10個体程揚がっており数個体確保したいところではあるが、やはり高値予想なので1個体のみ確保する。この魚、あれからも色々と考えたのだがやはり一番有力なのはイトウオニヒラアジである。イトウオニヒラアジの事は自分が一番よく知っていなければいけないのだが、未だに幼魚ですら迷うところがあり本当に難しい魚種である。仕事を終え、まだ見たことのない国内産イトウオニヒラアジのこのサイズに期待が膨らませながら大学へと走る。今日はたまたま水曜日という事で魚ボラの日である。学生やボランティアの人達が大勢集まっているので丁度良い。アジ科を研究している学生に調べてもらうが、形態的にはイトウオニヒラアジが一番近いがロウニンアジと数値が被るところが多々あり、慎重を期し結局はDNA解析も行い判断することとなる。イトウオニヒラアジは同定も本当に難しい魚種であると改めて痛感する。こうなると最低でももう数個体は標本が必要となるのだろうけど、せめて昨年の様にもう少し小さなサイズで市場に揚がってもらえないかと切に願う。










鰓耙をチェック

尾鰭後縁が黒い?




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ナガタチカマス初確保

2022年07月18日 | 定置網
 今日は定置網漁を終え市場で水揚げしていると、お隣の定置網船が帰港。いつも標本を確保して来てくれる人が遠くから身振り手振りで何やら持って来てくれた模様。船まで見に行くとナガタチカマスである。ナガタチカマスはここでは珍しく、昔市場に揚がった個体を地べたに置いて写真を撮ったことがあるだけで、薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)にもその写真が使われ、いまだに標本を確保しておらず、標本写真もない。実は先月も市場職員から魚の名を教えて欲しいとメッセージが来たのだが仕事中で気付かず、仕事が終わってからメッセージを見ると市場に揚がったナガタチカマスの写真であった。気付いた時は入札後で仲買が購入して行き、市場にはもう魚がない状況で確保することが出来なかった。残念で後悔していたがこんなに早くまた揚り、しかも今度は標本用に確保して頂いて本当に有難く、皆様の協力に感謝感激である。だが、このナガタチカマス。長さがあり、家の冷凍庫には入らない。今日は忙しく大学へ持ち込むことも出来ない。なので、明日大学へ走ろうかと今日は家の冷凍庫ではなく冷蔵庫で保管する。




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アカエソ属ばかり

2022年07月15日 | 採集
 もう7月である。例年なら5月頃から素潜り採集をするのだが、今年は仕事が忙しくまだ行っていない。仕事も一段落し、今日やっと今年初の素潜り採集に行く。海に入るともう夏の海。カラフルな魚がいるものの標本用に欲しい魚はなかなか見つからない。欲しい魚は見つからないものの、アカエソ属の姿はちらほら確認出来る。薩摩半島で記録の無いミナミアカエソを昨年から探している。昨年採集した個体は魚ボラでヒトスジエソと同定された(ブログ2021 10.14)(ブログ2021 10.19)。自分では同定出来ないのでアカエソ属の魚を見つけたら採集する。そんな感じで魚を探していたら、最終的にアカエソ属の魚ばかり6個体採集して終了となってしまう。アカエソ属の仲間は採集の仕方が少し違う。普通の魚はフェンスネットで採集する時、魚に気付かれない様に魚の後ろの方に網を仕掛け、魚の正面から追い込んで行く。だが、エソの場合、同じ様に正面から追い込もうとしても後ろへは逃げず、前方(自分の方)へ突進して来て逃げられてしまう。なので、エソの場合、前方に網を仕掛け魚の後ろから追い込む形となる。幸い、エソの前方に網をかなり近づけても逃げないうえ、真正面へ逃げてくれるので場所さえよければほぼ確実に網の中に追い込む事が出来る。今回も昨年の個体と同じ様に見えヒトスジエソっぽいが、1個体だけ体色が若干違う個体がいる。ミナミアカエソを期待してしまうが、ヒトスジエソではなかったとしても普通のアカエソなのだろうな。





アカエソ属の魚



アカエソ属の魚発見(2個体)



魚の前方をフェンスネットで囲む



フェンスネット



今日の成果(エソばかり)



上から2番目の個体の体色が濃い感じ






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ヤシャカマス初確保

2022年07月09日 | 市場
 今日は風が強く定置網漁の出漁を断念。陸で仕事をしていると風が止み、出漁。他の定置網も出漁する。操業を終え帰港し市場を覗くと大きなカマスの仲間が水揚げされている。これはと思い直ぐに見に行く。すると思った通りヤシャカマスの様に思える。ヤシャカマスは魚ボラの学生が論文を執筆し、2年前に日本初記録種として標準和名が提唱された。それまでに標本は確保していなかったのだが、これまで私が定置網や市場などで撮ったオニカマスの写真の中にヤシャカマスが混ざっており、論文に写真資料として使って頂いた。オニカマスと思って撮っていた写真は近年の個体は殆どがヤシャカマスで、逆にオニカマスが最近見つかっていない状況である。標本を確保していなかったので、今度見つけたらサイズに関係なく確保しようと思っていた。という事でこの個体を魚ボラの標本用として即座に確保する。勢いで確保したものの、このサイズは家の冷凍庫に入るはずもなく、今日は土曜日なうえ夕方には私も加盟している地域団体の草払いに参加しなければならない。仕事が終わり、大学に連絡してみると学生はいるみたいである。一応、大学へ往復する時間はギリギリあるので走る事に。だが、本当にギリギリなので大学の門で学生に標本を渡し、大学構内には入らずに帰宅。帰宅し準備して草払いもギリギリで間に合う。オニカマスはよく港の中などで幼魚を見掛ける。この幼魚もヤシャカマスが混ざっている可能性があるので、今度は幼魚も確保しようと思う。

ヤシャカマス








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3年おきのジンベエザメ

2022年07月07日 | 定置網
今日は定置網漁で網を起こしていくと水玉模様の大きな魚が目に入って来る。ジンベエザメである。今回のジンベエザメはとにかくデカい。網を絞ると全長で7メートルはある感じ。大人しく暴れないのでまだいいが、それでもこのサイズだと網の外に帰すのも大変である。網を沈めたり、船のクレーンを使って何とか逃がすことが出来た。魚ボラの標本にもならないサイズなので、せめて体に吸着しているコバンザメの仲間だけでも確保しようとタモ網で掬おうとする。すると、コバンザメもこちらを見ているようで網を出すとサッと裏側に逃げてしまう。時間を掛けてコバンザメを確保している場合ではないので諦め、ジンベエザメを逃がすことに専念する。前回ジンベエザメが入網したのがいつなのか調べると3年前の7月である。更にその前はその3年前であり、うちの定置網では3年おきにジンベエザメが入網している様である。となると、次回も3年後の2025年となるのだろうか。また会う日まで。
ジンベエザメ



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残念だけどホッとしたアカグツ幼魚

2022年07月06日 | 日記
 今日は定置網の仕事で沖作業。暑さもあり結構疲れた感がある。仕事が終わり帰宅すると別件で電話があり、車で向かう。終えて帰宅するとまた呼び出しと疲れているがゆっくり出来ない状況。夕方になってしまうがまた電話が鳴る。すると今度はお世話になっている深海エビ漁の方からである。今年の深海エビ漁の初漁だったそうで見たことのない白いアカグツの様な魚が獲れ、持ち帰って来てくれたとの事。これは気になるし確保して頂いているので受け取りに伺う。向かう途中、もしも珍しい魚であれば今から大学へ走らなければならなくなると思い、珍しい魚であって欲しい反面、家での冷凍保存で済む魚であってもらいたいという思いと錯綜する。魚を受け取ると体型はアカグツ属であるが体色は白く、各鰭の先端が黒い。鰭先が黒いのはヘリグロアカグツである。ヘリグロアカグツはこのサイズでは体色がまだ白いのかなと思いながら帰宅。急いで調べるとネット情報で同じサイズで体色が赤いヘリグロアカグツの画像を見つける。となると何だろうかと調べるも体色が白いアカグツ属の魚が見つからない。これは珍しい種かもしれないので魚ボラの先生に写真を送り電話する。すると、直ぐに調べてくれてアカグツの幼魚ではないかとの事。大学にも同じサイズ、体色、模様の標本があるとの事である。という事でこの標本は冷凍で構わないとなる。普通のアカグツの幼魚とわかり残念であるが、今から大学へ走らなくて済むので安心する。疲れていて今から大学へ走る気力もあまりなく、明日の仕事の事も考えればこれで良かったとホッとする方が強い感じである。この個体を見ると鰭を立てる必要もなさそうなので、折角だから家で標本写真を撮る事にする。標本を弄ることなく写真を撮るも、これだけで疲れがドッと来る。改めて大学へ走らずに済んで良かったと思う次第である。








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成長過程? ツノハタタテダイ幼魚

2022年07月04日 | 定置網
 1ヶ月近く掛け、定置網を新たなものにやり替える作業を行っていて、先週終了。今日からやっと定置網漁の再開である。漁模様はギンガメアジが多くまずまずの漁模様である。そんな中、市場で選別作業をしていると見慣れない小さな魚を発見。ツノハタタテダイの幼魚の様である。ツノハタタテダイは素潜り採集で見る事があり、採集もしている。でも定置網に入ることはない。だが、5月にハタタテダイ属のトリクチス幼生をお隣の定置網の方から頂いている(ブログ2022 5.27)。それが体側や臀鰭が黒く、今まで見た事が無い体色をしており、その体色からツノハタタテダイが思い浮かんでいた。今回、この個体が獲れ、以前の個体もツノハタタテダイではないかというのが濃厚になった感じである。この様に若魚や幼魚からわからなかった稚魚が判明していけば本当に本望である。でも、今回は稚魚から幼魚へ確定となるもう一段階の過程が欲しいところであり、今回の個体を得ることで前回がツノハタタテダイの稚魚であるとは確信できない。まだまだ稚魚を探す必要がある。



ツノハタタテダイ幼魚







前回頂いたトリクチス幼生

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