今朝の地元紙より。今までクロエソとして確保した魚ボラの標本の殆どがツケアゲエソらしい。
今日は土曜日なので恒例の夜間採集へ行と港へ行く。今回はまた干潮時で港内が干上がり、歩ける状態。波打ち際に何か上がっていないか歩いて探す。波打ち際は何も見つからず、近道して岸壁へと向かう。すると、途中でまたオオシロアナゴがゴロンと転がっているのを発見。弱っている感じだったのでバケツに海水を入れ、収容する。昨年も同じような状況があった。まだいないかと周囲を散策すると同じ状態のオオシロアナゴを発見。元気そうな個体を水の溜まっている所へ入れてみると急いで砂の中へと潜って行く。岸壁に戻るまでに5個体も発見する。このオオシロアナゴは何故砂の中から出て来てしまうのだろうか。死んではいないが皆弱った感じであり、このままの状態で潮が満ちて来るまで大丈夫なのだろうかと心配になる。ここの港では今までにアナゴ類となるとクロアナゴにダイナンウミヘビしか見た事がないが、前回も含め全てオオシロアナゴである。オオシロアナゴだけがこのような行動をするのだろうか。本当にこの行動が不思議であり、今後も見ていこう。
オオシロアナゴ
サザナミフグ
タカノハダイ幼魚
何気なくNature of Kagoshimaの新しい論文が出版されていないかネットをチェックする。するとヨコヅナマルコバン2個体目の記録の論文が掲載されている。2個体目が見つかるのも時間の問題だろうと思っていただけに驚きはない。ところが魚ボラの学生が報告書を書いて投稿したのだろうと思ったが、その論文を見て驚く。著者は魚ボラの学生ではなく福岡県の小学5年生である。この小学生と同じ苗字の学生がいるので一瞬勘違いしていた。この小学生は福岡のお魚博士としてメディアによく登場し、数年前から私もテレビを見て知っていた。そして疑問が色々と湧く。お魚博士とは言えまだ小学生で、どうしてヨコヅナマルコバンの事を知っているのだろうか。ヨコヅナマルコバンは昨年、魚類学雑誌に投稿し出版されたが、まだ図鑑などには載っておらず、この魚類学雑誌を見ないと知らないはずである。更にこの魚類学雑誌の最新版は魚類学会の会員しか閲覧はできない。学会の会員とは思えず、親が会員なのだろうかと悩む。また、調理をしていて同定のキーとなる頭骨の違いに気付いたそうで、同属他種との違いを知っているだけでも驚くが、それを調理していて気付くとは。論文の構成も普通のものと変わらない。少し違うのは食レポまで記載されており、読んでみると心が和む。本当に魚好きとはいえまだ小学生である。福岡の小学生という事で将来は鹿児島大学に入学して頂いて私が採集した魚の論文を書いてもらいたい。だが、大学生になるまでに私の方が体に限界が来そうである。
先月、このブログにテレビ番組の制作会社の方からコメントが入る。番組でホウボウを扱う事になり、私が4年前にブログでアップしたホウボウの稚魚の写真(ブログ 2016年1月10日)を説明の参考資料として使いたいという依頼であった。連絡を取り、詳しく話を聞くと、私もよく見る日本テレビの「鉄腕ダッシュ」という番組である。そこで私の写真を使ってもらえるのであれば大変に光栄で、有難い話である。勿論、写真の使用を喜んで許可する。ホウボウの稚魚の写真はそんなに珍しいものなのかとネットで画像検索すると、意外と沢山ある。私の写真は画質が粗く不鮮明なのだが、鮮明な写真が多数ある中、何故私の写真が選ばれたのかが気になっていた。そして今日が放映日。どのような場面で登場するのか楽しみにしていた。その番組内でホウボウの稚魚が採集される。ホウボウ科魚類の特徴は胸鰭下部3軟条が遊離軟条となり、これで底を歩くような行動をすることである。だが、この遊離軟条は仔魚の浮遊期にはまだなく、着底する直前で胸鰭下部の3軟条が遊離し、ホウボウ科の特徴が表れるのである。番組内で採集されたホウボウの稚魚の説明の過程でその胸鰭下部の遊離軟条の解説があり、私の写真はまだ遊離前という事で使われていた。夜間採集で採集した時は水面に浮遊していたので、まだ着底前の浮遊期の稚魚と思われ、胸鰭下部は遊離されてなく扇状の大きな胸鰭である。ネット上に沢山ある稚魚の写真は殆どが着底後で、胸鰭下部3軟条が足のように遊離されたものである。ネット上には胸鰭の遊離前の写真は非常に少なく、これで私の写真が不鮮明であったにも拘らず使ってもらえた理由がわかった。ほんの1~2秒ではあったが、使ってもらえとても嬉しい限りである。他の使用された写真にはそれぞれ撮影した方々の名前が入っていたが、私は断った。だが、映るのが1~2秒だったなら名前を載せてもらっても良かったかなとちょっと後悔している。
遊離前という事でブログの写真を使用