お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

記録

2007年11月29日 | 定置網

 今日は我が定置網でブログネタを探すも見つからず諦め、他の定置網の水揚げを覗く。するとUpeneus poriを見つける。今月に入り、うちや他所の定置網で確認しており、まだ日本での初記録種としての論文が投稿されていないので全て標本として確保している。そして今日はここの定置網の水揚げが全て終わり最終的に8個体確保する事ができた。定置網1ヶ統で1日に8個体も入網したのは初めてである。U.poriは海水温が20℃前後になる5月と11月に出現しているのだが、今年の5月は海水温が20℃になっても確認する事ができなかった。そして今月に入り1年振りの対面となったのだがこの数。まだまだ増えそうな気配である。U.poriは体表が非常に弱く痛みやすい。鮮度良く家に持ち帰り魚ボラの日まで冷凍保存するため、確保したら直ぐに海水氷に浸け家に持ち帰っていた。しかしどんなに冷やしても体表はズルズルになり最悪は剥けてしまう。だが何個体も扱っていくうちに、冷えていても水に浸けていると体表がズル剥け状態となってしまう事が分かった。今回からは氷水の中に浸けるのではなく、体表や鰭が乾かない程度に湿らせて持ち帰る。やはりこの方が状態が良かった。今後も標本用として確保していくつもりではあるが、いったいどのくらい捕れるのであろうか?
*後日未記載種とわかり、2011年に標準和名サクヤヒメジと提唱されました。
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市場便り

2007年11月27日 | 市場

 今日は水揚げ後、束の間ではあったが市場内を覗く。するとカスリハタが活魚で水揚げされている。カスリハタは私がこの市場で見るのは2個体目で珍しい種である。とても大きくなるハタで、グレートバリアリーフ(確か?)ではポテトコッドと呼ばれダイバーによく慣れていて、一緒に泳ぐ姿が名物となっている。この個体は体長30~40センチ程で小さく、標本としてはとても手頃なサイズであった。しかも珍しいので今後手頃なサイズが獲れる保障は無いので標本用に確保したかった。だが、この日はどこの定置網も水揚げ量が多く、既に入札時間が過ぎているのに水揚げが終わらず、漁協職員は皆バタバタしていた。漁協職員に購入を頼みたかったのだが自分も水揚げが終わるのを待つほど時間は無く、結局漁協職員を捉まえることができず標本確保を断念する。前回見た個体も小さかったのでまた獲れることを祈りたい。また、活魚だったので水族館に搬出して大きく育て、優雅に泳ぐ姿を間近で見てみたいものである。それにしても小さい個体ではあるが冬時期のハタである。標本用に購入できたとしても伝票を見れば目が飛び出ていたかもしれない。
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無残な姿

2007年11月24日 | 定置網

 最近ブログ用のネタが無く困っていたところ、ヒラアジ類が獲れ出し面白く、ブログネタもヒラアジ類が続いてしまっている。今日も面白いヒラアジ類がいないかと定置網を起こす。するとヒラソウダが多く網の中で暴れている。船用の大ダモで魚を掬い、船に積み込んでいるとタモの縁から白いヒモのようなものが落ちる。タチウオの幼魚かなと思って取り上げると鰭が赤い。背鰭前部の軟条が長く、腹鰭が1条で長く、途中に膜質の付属物が付いている。リュウグウノツカイである。フリソデウオやテンガイハタなどは毎年もしくは2年に一度は獲れるのだが、リュウグウノツカイは今までにも数個体しか獲れたことが無く稀種である。今まで定置網で獲れたリュウグウノツカイはとても小さなサイズばかりで標本としては最適である。ところがこの姿。体はボロボロなうえ半分程しか残っていない。もう半分を探したが見つからなかった。リュウグウノツカイはよく目立つのだが、最近は特にヒラアジ類にしか目が行かず見つけ出さなかったのだろうか?後悔する。ただ、大ダモの中に入ってしまっていたら大きなヒラソウダに潰され見つけ出さなかったと思うので、このような状態であっても見つけられた事が良かったと思わなければ。リュウグウノツカイは体が非常に折れやすく、今まで獲れた個体も尾部が無かったり、途中が折れたりしていた。よく海岸に打ちあがって話題になる大きな個体も体が完全でないのはそのためであろう。10年以上前、一度だけうちの定置網で完全な状態で獲れ、水族館に生きた状態で搬出したことがある。しかし、水族館で飼育は困難と判断され、綺麗な状態のまま貴重な標本として保存された。今回のこの個体も綺麗な状態で獲れたのであれば、直ぐにでも大学に持ち込み綺麗な写真を撮り、標本登録したいところであったのだが、今回は冷凍保存し、魚ボラの時にでも持ち込み標本登録する予定。
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自分だけ大騒動

2007年11月23日 | 定置網

 うちの定置網では獲れないのだが、最近大きめのカスミアジがよく水揚げされているなぁと思っていた。体色が緑っぽく体側に小黒点が散在していたのでカスミアジと自分で思い込んでいた。思い込みとは怖いもので全く疑いの余地がなかった。昨日も標本用に少しは確保しておこうかなと思いながら、ただ眺めていた。入札後、市場に魚が無くなってからふと思い出した。そういえばカスミアジの尾鰭は上下両葉とも黒っぽかったよなぁ。最近水揚げされている個体はみんな尾鰭下葉が黄色い。ひよっとして探している日本初記録種ではないだろうか?そう思っても既に魚はない。また水揚げされないだろうかと思っていたら、今日うちの定置網でも数個体獲れた。日本初記録種の可能性があるので全て標本用に確保する。よく観察するとやはりカスミアジでは無い。ほぼ間違いないだろうと思い、その場で直ぐ先生に電話する。帰宅したら直ぐに大学に持ち込もうかなと考えながら帰る。帰宅後念のため同定してみる。するとあれっオニヒラアジ?確かにオニヒラアジの尾鰭下葉は黄色い。さらに体形や形態もピッタリ。最近オニヒラアジの事を調べていたにもかかわらず、この魚に対しては全くオニヒラアジを疑っていなかった。今まで獲った事のあるこのサイズのオニヒラアジは全て体色が銀白色であった。この個体は黄緑色であったのでカスミアジしか頭に無かった。何度も言うが思い込みは怖い。先生に電話で同定結果を報告する。今すぐに大学へ持ち込む必要も無くなった。
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○○○オニヒラアジ

2007年11月21日 | 定置網

 今日は定置網でロウニンアジが数個体獲れ、その中に尾鰭の下葉全体が黄色い個体が1個体だけいた。ロウニンアジより頭部の背縁がなだらかに下降しているのでオニヒラアジと思い確保し、今日の魚ボラに持ち込む。展鰭し、鰭条数を調べる。すると背鰭軟条数が20軟条であった。オニヒラアジは21~23である。自分の数え方が間違っているのかと思い、魚ボラの学生に数えてもらうがやはり20である。20軟条だとロウニンアジになってしまうが尾鰭下葉の色彩を考えると違う。もしやと思い、先生が投稿済みの日本初記録種○○○オニヒラアジの論文を見せてもらう。すると背鰭軟条数は20軟条となっている。さらに主上顎骨後端は瞳孔の後端に達するとなっている。この個体もその通りである。先生がその場にいらっしゃらなかったので電話で色々と尋ねると、どうやらこの個体が○○○オニヒラアジ(学名は覚えていない)と分かった。来月雑誌が発行されるのでそこで標準和名が提唱される。

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ミナミギンガメアジ

2007年11月19日 | 定置網

 昨日は凄い時化となり海が荒れた。時化明けには珍しい魚が獲れることが多いので、今日は期待して定置網を起こす。すると思った以上に色々な種類の魚が獲れる。そんな中、ミナミギンガメアジを見つける。今までは幼魚しか獲れた事が無かったのだが、この個体は体長が30センチ近くもある。最大体長を考えればまだまだ若魚であろうか。このサイズは獲るのも見るのも初めてであったが、見てすぐにミナミギンガメアジと分かった。ギンガメアジに似ているという感じは全く無く、明らかに違い体高が低く全体的に細長い感じがする。体色は幼魚とほとんど同じで黄緑色である。今日はうちの定置網で3個体獲れ、全て確保する。食べてみたい気もするのだがこれからは個体数が増えてくるだろうと勝手に想像し、まずは標本として確保する。

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もう1種

2007年11月19日 | 定置網

 今日は魚種が多く、魚を探すのも大変であった。そんな中、このギンガメアジ?の幼魚が目に付いた。普段見るギンガメメアジの幼魚とは何か違う感じがしたので確保し持ち帰る。どこが違うのかと言われても答えられないのだが、いつも見るギンガメアジの幼魚とは雰囲気?が違う。黒色横帯は6本確認でき、ギンガメアジと同じである。よく観察すると少しではあるが吻端が下顎より上顎の方が前方に突出している。顔つきばかり見ればコバンアジの幼魚に似ている。また、尾鰭も大きい感じがして体形もどこか違う感じがする。オニヒラアジの幼魚をまだ見たことが無いのだがこれだろうか?さらに写真を撮ろうと鰭立てすると臀鰭の最初の2棘が1棘しか確認できない。アジ科は2棘あるのがあたり前なのでこの魚自体が奇形なのだろうか?とにかく標本は確保してあるので、今度魚ボラで形態を調べてハッキリさせたい。でもやっぱり普通のギンガメアジの幼魚なのかなぁ。
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シマウミスズメ

2007年11月15日 | 採集

 最近、ブログ用のネタになる魚が捕れないので、家の水槽で泳いでいるシマウミスズメを撮影。この個体は先週の素潜り採集で捕獲した個体である。この日採集した魚は全て活かした状態で持ち帰った。息子に採集した魚を見せると、このサイコロのようなシマウミスズメを見つけ、可愛いから水槽で飼いたいと言い出したのである。前回、ギマの時にも書いたが今までにシマウミスズメは傷のある個体しか捕れた事が無く、今回採集した個体は全くの無傷で標本用として最適であった。だが、結局水槽で飼うことになってしまった。魚ボラの日まで活かしておいて子どもに見つかったら死んだという事にすればいいかと考えていた。ところが今日、水槽内を見ると何かおかしい。シマウミスズメの胸鰭がスレて無くなっている。おまけに尾鰭もスレ掛かっている。せっかく無傷の個体を採集できたと思っていたのに・・・。水槽に入れておくとこのようなことになる場合がある。だが逆に鰭膜が切れた魚を水槽で少しの間飼育していたら元通りになった事もある。標本を冷凍すると眼が白くなったりする事がある。魚ボラで鮮度の良い状態で写真は撮りたいものの、採集したら活かしておくべきか傷付かないうちに冷凍した方が良いのかいつも悩むところである。
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素潜り採集

2007年11月10日 | 採集

 今日は潜りに行こうと考えていたのだが、仕事が終わる頃海上は時化模様となってしまう。風向きとは反対の場所でもこれだけ風が吹けば潜れないかなと、ほとんど諦めながら見に行くとそこの場所だけ凪げていた。運が良いなと思いながら急いで帰り、準備をして素潜り採集を行なう。この場所はヘビギンポ類採集のポイントである。潜る早々1個体ゲット。幸先いいなと思うも束の間、ヘビギンポ採集用のタモ網の枠が折れてしまう。普段は予備を持って来ているのだが今回は急いでいて忘れていた。今日は何かと運がいいなと思っていたのだが開始早々ヘビギンポの採集は終了となってしまう。あとは網目の大きなタモしかないのでそのほかの魚を採集するしかなくなってしまった。だがこの場所はヘビギンポ以外は魚種が少ないポイント。だが今日はこの場所しか潜れないので仕方なくそのまま続行。するとヤッコ類の幼魚を見つける。岩の割れ目に逃げられてしまうが、今回こいつを捕らないと惨敗だなと思い、割れ目から再び出てくるのを長いこと待ったが何とか採集することができた。このタイプの幼魚は数種いるのでその場で同定できなかったが、調べるとサザナミヤッコの幼魚であった。今回はそのほか数種採集でき、ヘビギンポ類は捕れなかったものの、悔いを残すことなく無事終了。

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きれいなギマ

2007年11月06日 | 定置網

 今日は定置網でギマが獲れる。ギマは少ないものの毎年獲れ、決して珍しい魚ではない。だが今回の個体はちょっと珍しい。というのもうちの定置網で今まで獲れたギマには必ず体のどこかに傷があった。だから今までそのような写真しか撮っていない。今回初めて全く無傷のギマを捕ることができた。もちろん写真を撮り、標本用に確保する。それにしても今までのギマはなぜ傷ついていたのだろうか?ひょっとすると傷が無く元気に泳ぐ個体は定置網に入ることなく、体が傷つき弱っている個体のみが網に入ってしまうのだろうか?ギマは水揚げできない魚であるうえ、腹鰭の棘が太く他の魚を傷つけてしまうので、標本用に確保さえできれば獲れない方が良い。このギマのように傷ついた個体しか獲れない魚がもう1種いる。シマウミスズメである。こちらは未だに傷のない個体を獲ったことが無い。
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稀種?

2007年11月05日 | 定置網

 今日は定置網でオキヒイラギの中に少し大きな個体を見つける。タイワンヒイラギかなと思って取り上げるとヒイラギであった。ヒイラギは分布域が南日本となっているのだが、うちの定置網では16年間でこの個体が2個体目となる。うちの定置網ではタイワンヒイラギやコバンヒイラギなど分布域が琉球列島となっているヒイラギ類の方がたくさん獲れている。ヒイラギは画像をよく目にするので生息数が少ないとは思わないのだがどうなのだろうか。港の中にあれだけたくさんいるナガサキスズメダイは定置網には入らないので、ヒイラギもこの辺にはたくさんいるのだが定置網に入らないだけなのだろうか。この辺りのヒイラギの情報を知りたいところである。
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素潜り採集

2007年11月04日 | 採集

 お陰様で無事にブログ1周年を迎える事ができた。ところが最近、ネタになるような魚が獲れない。今日は訳あって隣の漁協の定置網に乗船。よって前夜は夜間採集も行なっていない。この定置網に期待したが収穫ゼロ。その後は息子の行事に参加。行事が終わり、その後の予定が無い。採集に行くしかないと思い、時間はあまり無いが素潜り採集に行く。今回は主にベラ類狙い。見ているが未だに採集していないベラの仲間がたくさんいるからである。ベラの集まる場所を探していると見たこと無い魚を見つけてしまう。体形からヤッコの仲間だと分かるが名前が分からない。これは採集しなければと思いアタックするも、あと少しというところで交わされてしまう。逃げてくれれば諦めるのだが、その近辺から離れない。タイミングをみて何度もチャレンジするも結局採集できなかった。無駄な体力と時間を使ってしまう。図鑑を見るとアブラヤッコであった。そんなこんなで既に海の中も暗くなってくる。急いでベラを探すと見たこと無いベラを見つける。こちらも一度網に入ったがすぐ逃げられてしまう。諦めたのだがまた魚の方から戻ってきたので今度は慎重に行ない無事に採集する。まだ幼魚のようで名前は分からない。次第に海の中も暗くなり、魚の種が判別できなくなるまで採集を行ない、あと数種採集できた。家に帰り図鑑で調べるがよく分からない。これかなと思う種をネットで調べ判明。シマタレクチベラの幼魚ではないだろうか?水中で見たときは地味な色であったがよく見ると鮮やかである。念のため魚ボラで再同定してもらおうと思う。
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