今日は定置網漁を終え市場で水揚げ作業をしているとお隣の定置網船が帰港。すると直ぐにいつも標本提供してくれる方が来られて魚を頂く。見るとベラの仲間である。ベラの仲間はこの近辺には沢山いるのだが、定置網にはなかなか入らない。今回の個体はパッと見では種名が分からなく、以前に素潜り採集で1度だけ採った事のあるスジベラ(ブログ2017 8.23)かなと思う。家に帰り直ぐに以前採集したスジベラの写真を見てみる。すると似てはいるけどどこか違う感じがする。ネットでスジベラの画像を検索すると体の上半部が暗色でその所々に横帯があり、やはり似てはいるけど違う感じもする。ベラの仲間は性転換するのでその途中の可能性や成長に伴い容姿も変わる種が多く厄介である。一応、スジベラの近似種のカンムリベラ属を調べるが該当する種は見つからないのでやはりスジベラなのかと思う。でも尾鰭の上半部から先端に掛けて黒いのが気になりベラ科を全て見てみる。するとそっくりなイトベラを発見。この個体を検索図鑑で確認するとイトベラとなる。イトベラは今までに標本を確保しておらず、定置網や市場、素潜り採集でも見た事がない。薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2025)を確認すると生態写真は載っているものの標本写真は掲載されていない。普通種みたいであるが自分は知らない種であった。これで標本初確保となる。自分で標本写真を撮りたいがここの地域での魚ボラの初標本という事でホルマリンを使うのは遠慮し、鰭に穴をあけずに簡単に展鰭し簡易的に撮影するだけにする。珍しい種ではないみたいであるが釣るしか手に入れる手段のない種のようであるので定置網に入ってくれて更にそれを見つけてくれて本当にラッキーであった。この個体を見つけ確保して来てくれて、更にブログネタがなく困っていた時に本当に有難く感謝したい。
イトベラ