お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

また夜間採集

2022年01月29日 | 採集
 年が明けてからは定置網や市場では面白い魚が見つからず、ブログネタは夜間採集ばかりになっている感じである。と、言う事で今回もいつもの港へ夜間採集に向かう。今回は干潮時であるが既に潮は満ちてくる方向なので最初から干上がった港内に降り、歩いて散策する。すると干上がった砂の上で小さな魚を発見。ハゼの仲間の様なのでこの港内に沢山生息しているヒメハゼと思われる。潮が引くタイミングで逃げ遅れてしまったのだろうか。よく見るとその個体の後ろの砂の上に小さな穴があり、砂に潜ったものの潮が満ちて来るのが遅く、耐えられなくて外に出て来たのだろうか。この港ではオオシロアナゴが干上がった砂の上で何度も見つかっているが、ヒメハゼは初めてである。流石にもう死んでいるだろうと思ったが、取り上げて水溜まりに入れると砂にまた潜って行き生きていた。確保しようとは思っていなかったので生きていて良かった。その後、波打ち際に流れてきた海藻が溜まっている場所があり、見るとミミズハゼの仲間を発見。逃げも隠れもするような気配もなくジッとしている。難なく採集する。普段は転石や礫の中に生息しているのだが、流れてきた海藻に隠れているつもりだったのだろうか。完全に海にいたのでオオミミズハゼかと思う。そうこうしているうちに潮が満ちて来たので岸壁に上がる。岸壁ではプランクトンがたくさん湧いており、見ていると透明なカレイ目の仔魚が泳いでいるのを発見し採集。その後も次から次へと泳いで来て、いくらでも採集出来そうな感じになって来る。だが、必要分だけ採集し、あとはスルーする。家に帰りミミズハゼを水槽に入れ撮影し写真を拡大して胸鰭を確認すると遊離軟条が1本しか確認できず普通のミミズハゼみたいである。また、カレイ目の仔魚は全て同じ種のように見え、眼はまだ普通の魚の様に左右両側にある。そのほか採集した魚を撮影し終了。





干上がった砂の上でヒメハゼ発見




ミミズハゼの仲間を発見






水槽に入れると普通のミミズハゼみたいである



カイワリ稚魚



タカノハダイ稚魚



カサゴ稚魚





カレイ目仔魚

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夜間採集でネズミフグ

2022年01月22日 | 採集
 今日は土曜日で夜間採集の日。いつもの様に港へと向かう。今日は満潮時な為、岸壁のみの採集となる。ひと通り見て回るがキタマクラばかりで何も見つからない。そのまま直ぐに帰ろうかと思うが先週が津波警報発令で直ぐに帰った為物足りなさがあり、もう少し粘ってみる。幸いプランクトンが結構いるので珍しい稚魚でも出ないかと座り込み集中する。すると稚魚ではなく大きなネズミフグが目の前に泳いで来たのでタモ網で掬う。ネズミフグは港での夜間採集では初採集である。たまたま先週の夜間採集でスロープに打ち上がった白骨化した個体を見たばかりである。初採集なので最初は標本用に確保しようと考えたが、家の冷凍庫に入らないサイズではないが、この個体を入れるといっぱいになってしまいそうなので確保するのを諦め、記録用に写真にだけ収め再放流する。その後も稚魚が来るのを待ってみるがプランクトンは沢山いるものの今回は出る気配すらしないので諦め終了となる。



ネズミフグ
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今季のマルヒラアジ

2022年01月21日 | 市場
これまで定置網や市場に揚がっていたマルヒラアジは頭部背縁が直線的な個体ばかりであった。それが4年前にいつもとは違うマルヒラアジを見つけ、頭部背縁が眼の前で凹み、体型が丸みを帯び、臀鰭に小白点がある事から、まだ見たことのないタイワンヨロイアジだろうと思い確保した(ブログ2017 7.28)。だが、大学に持ち込むとマルヒラアジと同定される。その後はポツポツとたまに市場に揚がるものの非常に個体数は少ない状況であった。それが昨年の11月頃から獲れ出したマルヒラアジは頭部背縁が凹む個体ばかりであり、今まで普通に見て来た頭部背縁が直線的な個体が見られない状況となっている。そして更に年が明けると揚がる量も増し、例年とは違う状況となっている。そして、先日やっと頭部背縁が直線的な個体も現れ、両個体が一緒に市場に揚がる。市場職員からもこれは魚種が違うのではと聞かれ、いつも見ている人が見ればその違いは一目瞭然と言える。どちらもマルヒラアジと言う事は性的二型があるのだろうか。となれば今までは雌雄のどちらかだけが獲れていたのだろうか。とにかく今年のマルヒラアジの出現は例年とは違い、今後どのように推移して行くかも気になる。今回は標本用に確保出来なかったが、今度はこの両個体を一緒に確保し、色々と調べてみようと思う。
マルヒラアジ(写真上:今季出現している個体  写真下:例年出現していた今までの個体)


頭部背縁が眼の前で凹む


頭部背縁が直線的


両個体が混ざって市場に揚がる
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まさかの津波警報発令

2022年01月15日 | 採集
 今日は土曜日恒例の夜間採集へと港へ行く。干潮時で干上がった港内に降り、歩いて散策。全くの無風状態で波も無く、海の中もよく見える。だが、散策しても何も見つからないのでまた小さな岩が散在する場所へ行き、ハタ科幼魚を求め石の裏を探す。すると魚ではないがタカラガイがいたので写真を撮ろうと携帯電話をポケットから出す。するとその画面には大きく津波警報発令の文字。深夜の港なので周りに人はいないが携帯をマナーモードにしていたので気付かなかった。今日の昼過ぎにトンガで海底火山の大規模噴火があり、その後、日本への津波の心配はないと報道されていた。また大規模噴火があり、今度は津波が来るのかと思い、一応急いで岸壁へ上がる。携帯では画面が小さく情報がよくわからない。更に津波警報が出れば警察や消防が港に巡回に来る恐れもあり、不審者扱いされるのも御免である。直ぐに帰りたいところではあるが、今日は干潮時で風が無く夜間採集には好条件なので安全なスロープの場所だけサッと見に行く。するとスロープ上に大きなネズミフグの死体が横たわっている。体型や棘が崩れることなく綺麗に白骨化している。時間がないので写真にだけ収める。匂いがしなければ持ち帰り、じっくりと観察したい位である。急いで海中もサッと見て帰路に就く。家に帰りテレビで津波の詳細を確認すると、新たな噴火ではなく昼間の噴火によるもので、今になって警報が出たみたいである。更に警報が出ていたのは奄美の方で県本土は警報ではなく注意報で、しかも太平洋側だけでこちらの東シナ海側には発令されていないではないか。何も収穫が無かったがその後は奄美が気になりテレビに釘付けとなる。



白骨化したネズミフグの死体


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タツウミヘビ属

2022年01月15日 | 市場
今日は市場での水揚げ作業も終わり市場内を散策。すると潮が速く潮待ちしていたお隣の定置網が操業を終え戻って来る。覗きに行くといつも標本用に魚を確保して来て下さる方が何か見つけたらしい。カゴの中に入っているという事で見に行くと見覚えのあるウミヘビ科の魚である。歯が非常に鋭く一見ウツボの仲間かと思わせるが小さな胸鰭があり、更に頭部の大きさの割に眼は非常に小さいのだが口は大きく裂けとても不気味でインパクトのある顔付のウミヘビ科の魚である。昔はうちの定置網にもよく入網しており、不気味さから見つけては直ぐに鉤で引っ掛け海に捨てていた。魚ボラが始まった当初も普通に獲れており、標本用に確保するとムラサキウミヘビと同定された。歯が鋭く長物だったので標本用に確保するのも登録作業をするのも当時では大変だった為、1個体でもあればいいかと思い、その後は確保していなかった。ところがそれからこのウミヘビ科の魚は急激に減ってしまい、滅多に見る事が出来なくなってしまったのである。更に最近鹿大所蔵標本のデータベースを見るとムラサキウミヘビの登録は無く、昔確保した個体はタツウミヘビ属の1種と再同定されていた。と言う事は魚種を突き止めるには標本も数が必要である。現在の魚ボラの学生達の技術であれば標本登録も心配ないので、このウミヘビ科の魚を探していたところであった。この個体は体がかなり傷んでおり、赤くなってしまっている。だが、今では滅多に見つからないので魚ボラの標本用に確保する。タツウミヘビ属は現在はムラサキウミヘビも含まれ国内では4種である。体に斑紋がなく頭部の形状からタツウミヘビかムラサキウミヘビとなる。頭長に対して全長が長い感じに見えるのでムラサキウミヘビのように思うが、昔から変わらずあとは魚ボラ任せとする。
*後日、魚ボラでムラサキウミヘビと同定されました。


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今年初の夜間採集

2022年01月02日 | 採集
 明けましておめでとうございます。昨年の後半はブログネタに溢れ、とても楽しいお魚三昧生活を送ることが出来ました。今年もその流れのままお伝え出来ればと思いますので、今年もお付き合いの程よろしくお願い致します。
 さて、今年一発目と言う事で期待したい夜間採集である。昨年の終わりにここの港内の砂が溜まっているので大きな船が入り掘削作業をしたのだが、結局採集には影響のない所を多く取ったみたいである。干潮時に干上がった港内に降り、歩いての散策はしばらくは出来ないものと思っていたのだが、今まで通り出来そうである。今日も干潮時なので今まで通り港内に降りて歩いて散策する。何も見つからないので以前にシラヌイハタの幼魚を採集した場所でハタ類の幼魚を探す。岩の下を探すがクモハゼばかりである。そのような状況の中、石の下でミミズハゼの仲間を見つける。水の中だが砂に潜らなかったのであっさりと採集する。干上がった場所で石の裏を探しミミズハゼの仲間を見つけたことはあるが、水中の石の下からは初めてである。水中では素早いのだが意外と簡単に採集することが出来た。そのほか、時期的にまだ早いがムツの稚魚なども採集し終了。家に帰り採集したミミズハゼの仲間を水槽に入れ撮影。その写真を拡大して胸鰭の遊離軟条を確認する。水中にいたのでオオミミズハゼだろうと思っていたが、遊離軟条が1本くらいしか確認出来ない。となると普通のミミズハゼとなるのだろうか。ミミズハゼ類は自分では殆ど理解出来ていないので、このまま生かしておいて魚ボラに持ち込み見てもらう事にする。




ミミズハゼの仲間



ムツ稚魚



クロダイ属かヘダイの稚魚かな

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