今日は定置網漁を終え、市場内を散策すると活魚のコーナーにチャイルマルハタとクエが水揚げされている。両種とも片手に乗るくらいの小さなサイズである。クエは以前からも小さなサイズは水揚げされているのだが、チャイロマルハタでこのサイズは初めてではないだろうか。チャイルマルハタは獲れ出した頃はかなり大きな個体ばかりであったが、年々、特にここ近年は徐々に小さな個体が獲れるようになっている。このまま行けば数年後には手のひらサイズが獲れるのではないかと期待してしまう。標本サイズまであと少しである。
今日は定置網漁に出漁する前にいつも標本を提供してくれる漁師さんが来て、小さなウツボの仲間を標本用に持ってきてくれる。見た目に見たこと無いウツボであったがこれから出漁なのでそのまま氷水に入れ保存する。仕事終了後、家に持ち帰り見て見ると種がわからない。さらに特徴的なのは尾鰭の先端が尖って無く、真っ直ぐに切った感じである。だがこの特徴で調べてもそのようなウツボの種はなく、奇形の可能性もある。ほかの特徴は鰭の上方部が白い。結局自分では同定出来ず魚ボラ任せとする。魚ボラの標本用に冷凍保存する。
後日ミナミミゾレウツボと同定されました。
後日ミナミミゾレウツボと同定されました。
今日、定置網で大きなクロマグロが獲れる。だが、そのクロマグロの腹部に穴が開いている。この穴のお陰でキズもの扱いされ、値も半減してしまう。この穴であるが大きな市場に並んでいるマグロ類では良く見られる穴に良く似ている。市場のマグロに開いている穴はダルマザメの仕業である。ダルマザメは小さい体ではあるが、マグロ類やその他の外洋性の大型魚類、更にはイルカ、クジラにまで噛みつき、このような穴を体に開ける。うちの定置網やここの市場に揚がっているマグロ類にこの穴が開いているのは見た事がなく、これが初めてである。ダルマザメがこのように噛みつくのは延縄に掛って泳げなくなったマグロ類に噛みつくものと思っていた。ところが定置網で獲れたマグロにこの穴があるとはどのような事だろうか。定置網内にダルマザメはいなかった。延縄には掛ったもののダルマザメに噛みつかれた後針が外れ逃げたのだろうか。疑問が残る出来事である。マグロを傷ものにして値段を下げたのだから、せめてダルマザメを標本として確保したかった思いである。
以前に県の方から講話の依頼を受けていた。南九州水産海洋研究集会で気候講演会が行われ、気象庁や各研究機関などの先生方が発表をする中、私も近年の温暖化について漁業者の立場から「定置網の漁獲物にみられる南方系魚類」と題して発表する。皆さんは膨大なデータを基に解析され発表されるのだが、私は正確なデータも無く肌感覚だけで発表するので事実か間違っているのかわからない状況での発表となる。
そして今日その日を迎える。県の催しだが何故か会場は私が魚ボラで通う鹿児島大学内である。魚ボラの先生やみんなには黙っていたのだが、場所が場所だけにバレているのではとは思っていた。また、講演会の広報もいろいろな所で行われており絶望的であったが、自分がここで講話をする事は小さくしか載っていないのでひょっとしたら知られずに済むかとも思っていた。講演会が始まり会場内を見渡すと魚ボラ関係者の姿はなくホッとする。だが、自分が発表の前の休憩時間に会場外へ出ると魚ボラの先生を始め、魚ボラ関係者とバッタリ会い、調査に行っていていないと思っていた学生まで姿を見せていた。ただ漁業の話だけなら問題ないが、県内に出現する魚の話をするので、県内の魚を良く知る魚ボラの人達がいる前での話となると緊張が更に増す。自分が話した内容は近年の南方系魚類の出現は温暖化の影響ではなく黒潮の影響で、その黒潮によって運ばれてきた魚が定着しているのは温暖化の影響という内容。データに基づいていないので何とも言えないが、各機関の先生方の発表の中に同じ内容の方がいたので間違えではないのかなといった感じではある。これからはただ初記録種を探すのではなく、広く魚の出現減少状況を見て行かなければと思う次第である。
そして今日その日を迎える。県の催しだが何故か会場は私が魚ボラで通う鹿児島大学内である。魚ボラの先生やみんなには黙っていたのだが、場所が場所だけにバレているのではとは思っていた。また、講演会の広報もいろいろな所で行われており絶望的であったが、自分がここで講話をする事は小さくしか載っていないのでひょっとしたら知られずに済むかとも思っていた。講演会が始まり会場内を見渡すと魚ボラ関係者の姿はなくホッとする。だが、自分が発表の前の休憩時間に会場外へ出ると魚ボラの先生を始め、魚ボラ関係者とバッタリ会い、調査に行っていていないと思っていた学生まで姿を見せていた。ただ漁業の話だけなら問題ないが、県内に出現する魚の話をするので、県内の魚を良く知る魚ボラの人達がいる前での話となると緊張が更に増す。自分が話した内容は近年の南方系魚類の出現は温暖化の影響ではなく黒潮の影響で、その黒潮によって運ばれてきた魚が定着しているのは温暖化の影響という内容。データに基づいていないので何とも言えないが、各機関の先生方の発表の中に同じ内容の方がいたので間違えではないのかなといった感じではある。これからはただ初記録種を探すのではなく、広く魚の出現減少状況を見て行かなければと思う次第である。
以前は全く姿を見掛ける事がなかったイタチウオ。イタチウオの分布域は南日本となっているが、今まで定置網でも市場でも見掛けなかったのでここ鹿児島にはいないものだと思っていた。ところが近年、ポツポツと市場で見掛けるようになる。今までも生息していたがイタチウオが獲れる、混獲される漁がなかったのだろうか。それとも近年増えて来ているのだろうか。そして今日は遂に活魚として水揚げされている。今までは水揚げされていなかったので、最近は漁協職員や仲買人からよく聞かれる魚である。今後も増え続け、普通種となるのだろうか。