お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

驚き!真っ白なサメ

2017年12月28日 | 定置網
 今年も残り僅かとなり、今日は今年最後の定置網操業。網を起こしていくと白く大きな目立つ魚が泳いでいる。体の形からはサメのように見えるが体色が引っ掛かる。網を絞るとその姿は見つからない。漁獲した魚を大ダモで何度も掬うがやはり揚がってこない。サメは何個体も揚がってきたので弱ったサメが腹を上に向けて泳いでいて白く見えたのだろうか。魚を掬い終わる間近に網の底の方に白い物体が見える。網を揚げると真っ白いサメである。サメの頭部が網に突き刺さり泳げずに既に死んでいる。白いサメを見るのは初めてである。体形からメジロザメの仲間と思われる。サメの仲間で白い種は存在しないのでアルビノか色彩異常個体と思われる。既に死んでいるので標本用に確保する。泳いでいるのを見た時は体中が本当に真っ白であったが、網に刺さっていたうえ、恐らくその体の上を何度も大ダモで擦ったと思われるので体表がスレて赤くなってしまっている。また、年末なので生きた状態で確保出来たら、かごしま水族館の正月の目玉になっていたと思うとちょっと残念である。生きていれば珍しいサメではあるが標本となるとアルビノや色彩異常くらいでは論文のネタにもならないだろうかと思うが、サメなので家で冷凍はできないので今日のうちに鹿児島大学へと走る。だが、夕方には点検に出している車を引き取りに行くのでとんぼ返りとなりそう。実は昨日も今後の打ち合わせで鹿大へ行ったばかりである。学生も昨日を最後に帰省すると言っていた。誰かいるだろうかと連絡すると受け入れできるとの事でほっとする。時間がないので急いで大学へ持ち込み、あとは学生に頼み帰宅し車の受け取りも間に合う。今年最後の漁で珍しい白いサメが獲れ、今年のブログを締め括れて良かったと思う。来年もブログネタに苦しまないような面白い年になってもらいたい。
*後日、魚ボラでハナザメのアルビノ個体と同定されました。






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まさかの特定外来生物出現! カダヤシ

2017年12月23日 | 採集
 今日はクリスマスイブの前日である。更に年末も間近と言うことで今年最後の土曜日恒例の夜間採集となりそうである。海中を覗くと足元から逃げる魚を見つけタモ網で掬う。ボラの幼魚かなと思いながら網の中を覗いて驚く。カダヤシである。家の周りの用水路にたくさん生息しているカダヤシであるが、海で見るのは初めてである。恐らく雨で川から流されてきたものと思われる。本来カダヤシは河川だけでなく汽水域にも生息する魚なので、海でもある程度は生きていけるのだろう。昔は用水路で捕まえ家の水槽でも飼育していたカダヤシであるが、現在は特定外来生物に指定されている。標本用に採集しているので問題ないのだろうが、いつもは綺麗な標本写真を撮る為になるべく生きた状態で持ち帰るのだが、特定外来生物は生きた状態で運ぶことも禁止されている。と言うことでこの場で直ぐに標本となってもらう。今日はそのほか久し振りにサイウオの仲間を2個体、マツカサウオの幼魚も2個体採集。更にさっぱりわからない稚魚も数種採集し終了。今回のカダヤシの採集はブログとしてはネタになり良かったのだが、何だか複雑な心境である。




カダヤシ



サイウオの仲間



マツカサウオ幼魚



イソギンポ稚魚?



ヘダイ?クロダイ?稚魚



???

後日FBでアマダイ属の稚魚と教えて頂きました。ありがとうございました。

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初確保 ヒレグロコショウダイ

2017年12月20日 | 市場
 今日は定置網漁を終え、市場で水揚げしながら揚がっている魚を見ると長年探していた魚が目に付く。ヒレグロコショウダイである。ヒレグロコショウダイは昔市場で見つけ、自分で簡単な写真には収めていたもののそれからは見ていなかった。よく似るムスジコショウダイはポツポツと見掛けるものの、魚ボラで標本を収集するようになってからはヒレグロコショウダイを見つける事が出来ず、写真による記録はあるものの標本を確保していない魚である為探していた。これでようやく魚ボラの標本用に確保する。昔撮った写真の記録を見ると2004年の5月であり、実に13年と半年振りのご対面となった。

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タイワンアイノコイワシ

2017年12月16日 | 定置網
 毎年12月になると定置網にもカタクチイワシやウルメイワシの稚魚であるシラスが入り、網を絞っていくと水面が一面シラスに覆われる。水揚げする程は獲れないので、自分達で食べる分だけでもと網目の細かいタモ網で掬い取っている。今日は持ち帰ったシラスにゴミが混ざってないかチェックをしていると少し大きめの個体が混ざっていて取り除く。カタクチイワシかと思うが、よく見ると体の中央部に銀色帯が通っている。調べてみるとタイワンアイノコイワシと思われる。今までにも定置網で獲れてはいたが体表が弱いのかボロボロの状態で見つかる事が殆どである。今回は網を絞り上げる前に他の大きな魚に揉まれずに掬った事や、体の周りがシラスで覆われ、それがクッションとなり傷付く事なく綺麗な状態が維持されたと思われる。綺麗な状態なので折角だから標本用に確保する。

生シラス



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ヒラアジ三昧

2017年12月13日 | 定置網
 今日は定置網漁でヒラアジ類が多く入網。そのヒラアジ類も普段は魚種が2~4種位と片寄るのだが、今日は様々な魚種が揃う。比較する為に各魚種を標本用に確保する。だが、あと普段ならこれにマルヒラアジにリュウキュウヨロイアジやイトヒラ・テンジクアジなども獲れるのだが、やはり全てが揃うことはない。折角なので今日のヒラアジ類を紹介。

ギンガメアジ



ロウニンアジ



オニヒラアジ



イトウオニヒラアジ



カスミアジ



ヨロイアジ



ヒシカイワリ



ミヤカミヒラアジ

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初入網だけど・・・カスミフグ

2017年12月13日 | 定置網
今日は定置網で見覚えのあるようなフグが1個体獲れる。だが、腹部を見るとラインが入っていない。カスミフグである。カスミフグは今までに定置網で獲れたことがなく、今回が初入網である。また市場でも見たことはなくここでは珍しいフグである。だが、このブログでも報告したが、今年の1月7日に同じく定置網でカスミフグとスジモヨウフグの交雑種が獲れている(ブログ2017 1.7)。その時は未記載種もしくは国内未記録種ではないかと期待したが交雑種とわかりガッカリしたのをよく覚えている。今回は交雑種ではなくカスミフグ単体ということで珍しいフグであり、一応は初入網である。本来ならば嬉しいはずであるが、その前に交雑種が獲れている事で嬉しさも半減である。今回のカスミフグが先に獲れ、後から交雑種が獲れてくれれば良かったのだが。
今回初入網のカスミフグ


今年1月に獲れたカスミフグ×スジモヨウフグの交雑種
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メタボなスズキ

2017年12月09日 | 定置網
 今日は定置網でスズキが1個体獲れる。よく肥えており美味しそうである。だが、スズキという魚は口が大きく獰猛で、本来は荒々しい魚のイメージがあり釣り人からも人気の魚である。だが、この個体は体が肥えているので頭部や尾鰭が小さく見えてしまい、そのスズキらしい荒々しさに欠けている感じである。漁業者の立場から見れば素晴らしい体形だが、スズキらしさに欠けている感じである。
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日本初記録種 新称イワツキクロダイ

2017年12月08日 | 魚ボラ
 昨年の今日、うちの定置網で獲れた謎なクロダイ属の魚。その日のうちに鹿児島大学へ持ち込んだものの、その場では同定できずに終わる。後日、魚ボラの先生が見て、その特徴的な顔つきに見覚えがあり、調べたところ日本ではまだ見つかっていないAcanthopagrus taiwanensis Iwatsuki and Carpenter, 2006と同定される。そして日本魚類学雑誌に論文が投稿され、標準和名をイワツキクロダイと提唱される。種名のイワツキとは魚類学者で宮崎大学教授の岩槻教授である。岩槻教授は魚ボラの先生の恩師である。またこの魚を新種記載したのも岩槻教授である。新種記載したのも岩槻教授であり、先生からの要望もあったので今回イワツキクロダイとなる。これで魚ボラの先生も恩師に恩返しができたのではないだろうか。魚ボラの先生には私もサクヤヒメジの学名やイトウオニヒラアジの標準和名に私の名を付けて頂いた。うちの網でこのイワツキクロダイを確保することができたので、私も魚ボラの先生に少しは恩返しができただろうか。今度は魚ボラの先生用にオニカサゴ属の未記載種もしくは未記録種を見つけ出し、学生に論文を書いてもらい、魚ボラの先生の名を付ける番である。それで学生達共々と恩返しをすることが一番の理想である。





上:イワツキクロダイ  下:クロダイ

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ふたつの新聞記事

2017年12月08日 | 日記
 今朝、いつものように新聞を見ると魚関連の記事を見つける。このブログでも紹介した図鑑「鹿児島湾の魚類」の記事である。更に別の欄には「鹿児島の海で魚5種初確認」と題して、今回発行された魚類学雑誌に掲載された鹿児島県で得られた初記録種についての記事が載っている。同じ新聞に鹿児島大学総合研究博物館魚類研究室関連の記事がふたつも載るなんて今までには無いことである。だが、いつもは未記載種、初記録種の場合は社会欄に載り、更に論文を書いた学生の顔写真も載るのだが、今回は社会欄に図鑑の記事が載ったことで別な欄となり、その為か学生の名は記載されたものの顔写真はお預けとなってしまう。更にこの5種に含まれているうちの定置網で獲れた初記録種は提唱された魚種名すら載っていない。だが、魚種名が載らなかったのは逆にラッキーだったかもしれない。今回提唱された魚種名は特殊な理由でついた名なので、もしも新聞に載っていたら地元の人達にこの名前について聞かれ、その度に説明しなければならなかったであろう。でも、やはり新聞に載り、ひとりでも多くの方にこの魚について知ってもらいたいという気持ちもあり、とても複雑な気持ちである。



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