今日は定置網漁でタキゲンロクダイが獲れる。今日は水族館が乗船しているが、タキゲンロクダイは標本として確保しているもののまだ数が必要な為、今回は標本用として確保する。タキゲンロクダイはここでは珍しいのだが、以前に同じ日に定置網で成魚・幼魚を確保したことがある。今回の個体はサイズ的には大きいのだが、背鰭軟条部に幼魚に見られる目玉模様の目状斑が残っている。これでタキゲンロクダイはいくつか標本用に確保できたが、未だに普通種のゲンロクダイは出会ったことが無い。
今日はしものせき水族館海響館の職員が定置網漁に乗船。以前から注文頂いていたフグ類を受け取りに来る。前日から来て定置網漁に乗船するも、この日の収穫は無い。注文頂いていたナミダフグのほかカイユウセンニンフグ、ハリセンボン等を船に生かしていたので、それらを搬出。今回は斃死魚はなく全て渡すことができる。
今日は定置網漁を終え帰港するとお隣の定置網でリュウグウノツカイが獲れたと聞く。更に生かしてあるとの事。見に行くと大きな1トンタンクにそれまた大きなリュウグウノツカイが横たわっている。横たわっているが鰭を動かしており、時より狭いタンク内を泳ぐ。ただでさえ扱いの難しいリュウグウノツカイであるが、この大きなサイズを市場まで生かして持ち帰るのは大変だったであろう。既に水族館に連絡してあるそうで、受け取りに来るらしい。水族館で泳ぐ姿を見てみたいものである。
今日はもう1種、選別作業中にカワハギ科の幼魚を見つける。見るとうちの定置網でよく獲れるウスバハギを小さくした感じである。だが、ウスバハギの幼魚はこのサイズだと成魚とは違う体型をしており、ウスバハギの幼魚ではない。となると見た感じではうちではまだ獲れた事が無いサラサハギやゴイシウマヅラハギに似ている。持ち帰り調べると当てにしていたサラサハギやゴイシウマヅラハギとは背鰭軟条数が少なく違うみたいである。その背鰭軟条数から他のカワハギ科を調べるとヨソギが当てはまる。ヨソギは雌雄で体型が違うがそのどちらとも見た感じで全く違う。となると何だろうか。いつものパターンで標本用に確保し、あとは魚ボラ任せとする。
今日は定置網漁を終え、市場で選別作業をしていると、その中から細長い魚が出て来る。テンガイハタかサケガシラの幼魚と思われる。だが、既に魚の中で揉まれたらしく体表は銀粉のようなものは全て剥げ、ボロボロの状態である。珍しい魚ではあるが標本も確保済みであり、うちの定置網ではそこまで珍しいとは思えない。普通ならこの状態を見れば残念なのだろうけど、そこまでは思わず迷わず廃棄する。
今日は定置網でウミヒゴイ属の魚が数個体獲れる。これは今年日本初記録種として標準和名が提唱されたミナベヒメジである。先月もこのブログで紹介したばかりである。今年の初記録種ではあるが、普通にこれだけ獲れても何の驚きも無い。やっぱり今でも普通種である。今日獲れたミナベヒメジも標本用に確保はせずそのまま水揚げとなる。
今夜の夜間採集でメバル属のほかにもう2種採集する。海面を眺めているとゴミがちょこちょこ動いているのが目に付く。魚だろうかと採集するとテングノオトシゴの幼魚のようである。以前にもこの場所で何度か採集しているが、今回は今までで一番小さく、指の先にちょこんと乗るサイズである。そのほかエソ科魚類の稚魚を何個体も採集できる。持ち帰り写真を撮るとテングノオトシゴの様子がどこか違う。テングノオトシゴは胴体と尾が一体化している感じであるが、この個体は違う。となるとウミテングとなる。あちこちと色々調べるとウミテングの幼魚のようである。現場では小さ過ぎて良く分からないうえ、以前にもテングノオトシゴを何度か採集していたのでそう思い込んでいたみたいである。ウミテングの幼魚は初めてである。
今日は土曜日と言う事で港に夜間採集へ行く。穏やかで透明度も良く、海中が良く見える。海中を覗き物色していると、カサゴのような魚を見つけ掬い取る。捕った魚を見るとまたまたメバル属の幼魚である。メバル属の幼魚は今年定置網で二度にわたり採集されている。今回はそれが更に成長した個体の様である。体側の小黒点が斑紋に変わりつつある感じである。その後ももう1個体確保できる。更にそれらしき魚を見つけるが逃してしまう。結局メバル属幼魚は2個体確保する。持ち帰り調べると胸鰭は16軟条である。となるとクロメバルの幼魚となる。メバル属魚類は鹿児島では珍しいのだが、今までに定置網でクロメバルの成魚を何度か獲っている。今年は海水温が非常に低くメバルにとっても生息できるような環境なのだろうか。となると後に海水温が例年通り上がれば死滅してしまうのだろうか。
今日は定置網でサツマカサゴが獲れる。サツマカサゴは定置網で良く獲れ、珍しくは無いのだが、今回は体色がいつものとは違い珍しく標本用に確保する。このオレンジ色の体色は魚の上からこのオレンジ色を被せたような感じである。このような体色は今までにオニカサゴで何度か見た事があり、これは海中の岩の色に化けた感じで擬態していると思われる。サツマカサゴでは初めて見た体色である。
*後日、マルスベカサゴScorpaenopsis macrochir Ogilby, 1910に同定されました。
*後日、マルスベカサゴScorpaenopsis macrochir Ogilby, 1910に同定されました。
今日は定置網の漁獲物の選別作業をしているとまたメバル属の幼魚を見つける。前回よりもさらに成長した感じである。しかも今回は2個体も見つける。持ち帰り調べると胸鰭16軟条、臀鰭7軟条である。この結果に該当するのはクロメバルである。クロメバルをネットで検索すると良く似た写真も見つける。今年は海水温が例年よりもかなり低く、メバル属の魚にとってはこの海水温が好都合なのだろうか。メバル属魚類の成長過程が見れるように今後もちょくちょく獲れてほしい。