文部科学省の有識者会議で、学校の運動部活動の指導者が「やってはいけない体罰などの行為」と指導として「認められる行為」の具体例を盛り込んだガイドライン案を示したとの記事。
「殴る、蹴る」の暴力やパワハラ、炎天下のランニングのほか、身体や容姿、人格を否定する発言を「許されない指導」として例示し、バレーボールで技術向上の為に反復してレシーブさせること、柔道で初心者の生徒に受け身が必須である事を理解させ反復させることは認められる行為の例とした。その他にも「勝つことのみを重視し、過重な練習を強いることがないようにすることが必要」と勝利至上主義を否定し、指導が顧問に任せきりにならないよう校長のリーダーシップを強調した。
しょーもない・・・この手のニュースの感想はいつも同じだ。記事の中にはガイドライン案で示された行為の例が掲載されていた。許されないものとして「炎天下で水を飲ませない長時間ランニング」と書いてある。私の小学生の頃は運動中に水を飲むと「横っ腹が痛くなる」「だるくなる」と言われていた時代だったので、カラカラになるまで走らされたものだった。よくぞ、ここまでご無事で・・・と自分を褒め称えたくもなる
どんな競技でも必ずひとつは過酷な練習メニューがある。私の高校時代、バレー部では「ワンマン」と言われる練習メニューがあった。(学校によって異なるが)コート半面にボール投げる人とそのボールを受ける選手がひとりだけ入り、2~3分の時間を決めて、前後左右にボールが次々と投げ入れられ、ひたすらボールを追いかける・・・という練習である。時間だけを考えたら大した事は無いように思われがちだが、とにかく辛くてきつくて、終了を告げるホイッスルまでが永遠のような時間に思えたものだ。途中で「戻してしまう」メンバーも出るようなハードな練習だった。ただ恐怖から上手に滑りこめなかったフライングレシーブも何度も何度も飛び込むうちに体で覚えられたし、そのうち「ごまかし方」も覚えた。うちの高校の練習では一番最初はスパイクレシーブから始まり、上手く上がると途端に左右前後にボール投げられ、それを走りまくって飛び込むとすぐ逆側にボールを投げられる・・・つまり最初のスパイクレシーブを時間を掛けてレシーブをすれば時間が消化されるじゃんと気が付き、第一球目をなかなか上手くレシーブを上げないようにして、時間を稼いだものだ。そのツケが現在に至っているのかもしれない・・・ただワンマン終了後の解放感は格別だったし、何よりコートサイドで球拾いをするメンバーたちから掛けられる声援で頑張れたし、辛い時期を一緒に過ごした友人たちは今でもその話で盛り上がれる。ただただ辛いばかりの練習メニューであったが、このワンマンはガイドラインで言えば一体どこに選別される行為になるのだろうか?
勝利至上主義については、結論として「負けるよりは勝った方がやはり楽しい」である。「二番じゃ駄目なんですか?」ではつまらない。初めから準優勝目指して練習はしないだろう。やるからには勝ちたいものだ。ただその勝利が全国制覇レベルなのか?地区大会レベルなのか?の違いで、目指す勝利の内容はチームによって様々なので、一概に勝利至上主義が駄目だとは言えない。それは選手が希望するレベルのチームを選べばいいだけの話である。
ちなみに私の知る限り、エースや大黒柱と呼ばれる選手たちは、選手自身はもちろんのこと親御さんたちもほとんどが立派な人格者である。
いつも言っていることだが、「ごくごく一部」の人たちの為に、全体が萎縮してしまう世の中の流れは、非常に勿体無い。