今から30年くらい前に面白かったマンガに、「柔道部物語」というのがあった。
確か単行本は全巻で11,2冊だったと思うが、結構面白がって全巻買ったのを思い出す。
作者は、新潟県出身の小林まこと。
「新賀田県」と変えられてあったが、それ以外にも新潟県人なら心当たりのある固有名詞がよく出てきていたのも、私は好きだった。
この「柔道部物語」というマンガを、五輪3連覇の偉業を果たした野村忠宏氏が語っていたTV番組が放映されているのを、先日見た。
NHKの「スポーツ・ラボ」という番組で、「ぼくらはマンガで強くなった」というシリーズがある。
そこで今回扱っていたのが、「柔道部物語」である。
「柔道野村“背負い”の秘密」という内容だった。
野村氏が小学生時代に夢中になって読んでいたのが、このマンガだと言う。
このマンガの特徴は、高校柔道部の実態を、マンガ家小林まことが自分の経験をもとに描いていったものだった。
主人公の得意技は、背負い投げ。
これは、野村の得意技であると同時に、古賀の得意技でもあった。
主人公と同じで、弱かったからこそ、野村は、強くなりたいと主人公と同じ背負い投げを磨いていったのだと言う。
作者の小林が、大学生だった柔道家古賀稔彦自身からファンレターをもらったことをきっかけに、高校柔道で主人公が強くなっていくマンガに方向転換したのだとか。
古賀を追いかけていくうちに、柔道の技の詳細な部分が分かるようになり、それをマンガにリアルに表現するようになったのだとか。
そして、その表現を真似て、野村が柔道の技を研究していったのだそうだ。
実は、野村の初めての五輪3回戦で負けていた試合を、時間ぎりぎりで片手の背負い投げで一本を取り、勝ったことによって、その後の3連覇につながった。
もし、そこで負けていたら、3連覇はなかった。
実は、その片手の背負い投げは、古賀が試合で片手一本で決めたのを見て、小林がマンガに描いていたのだと言う。
野村が、片手でも投げられるというマンガの場面を思い出して、トライしたのだというから、驚きだ。
こうして、片手背負いで、古賀―小林―野村がつながってしまった。
この事実に、古賀も野村も驚いていた。
面白かった。
マンガも好きだし、スポーツも好きな私にとって、とても見ていて楽しく興味深い番組となった。
なお、この番組は今週末また再放送するということだ。