” われがカビた饅頭になることこそ、井伊が安泰である証しであろ? ”
次郎法師が直親に返した言葉です。
私は、一瞬、ん? と考えましたが、
深い!
カッコイイ!
ここにふたつ饅頭が↑ありますね♪
「カビた饅頭」
そもそも、これは南渓和尚が、直親のこと、井伊家のことで、
心が揺らいでいる次郎法師に、問いかけた話で、
南渓は次郎法師の前に、饅頭をふたつ差し出し、
” 超の国の道威(どうい)という王には、中と伯という大臣がいた。
甲乙付けがたい二人だったが、争いが起こり道威はどちらか一人を
追い出さねばならぬ状況になった。
そこで王は考えが有って、中と伯に二つずつ饅頭を渡した。
すると二人ともその場で一個ずつ食べ、
中は残り一つをおなかの空いている子供に与えた。
伯は残りを大事に持ち歩き、いつしかカビさせて食べられぬ様にしてしまった ”
これを聞いて、次郎は王が残した大臣は、「中」だと言ったが、
南渓の言った答は「伯」であった。
さて、その理由は?
と、南渓は次郎法師に問うた。
一方、直親からは、「次郎は死んだもん作戦」を持ちかけられ、
一旦、遺書まで書き出した次郎の目に入ったのは、あの饅頭ふたつ。
南渓和尚からの問いかけをまた考え直していた時、
思い出した言葉は、南渓和尚の
「女子にこそあれ次郎法師というところかの…」
この頃の事でしたね~
次郎という名は、井伊家の家督を継ぐ者の幼名であるということ。
今、井伊直親という後継ぎが出来、安泰ではあるが、
この先、何が起こるか誰にも分からない。
次郎は「次郎は死んだもん作戦」には乗らず、
井伊の危機に備え、補欠として生き残る事を心に決めた。
こうして、次郎法師と井伊直親の初恋は別れ別れの道を辿ることと相成りました。
あ~あ、感想文を書くはずが、あらすじになってしまい、小学生の頃が思い出されます。
『〇〇ちゃんは、その時どう思ったのかな?』
なんて、担任の先生の赤ペンの「ひとこと」が浮き上がる様に見えたものです。
またしても、南渓和尚の禅問答が光っていました。
南渓和尚、かっこよすぎ。
上の写真の、黒い法衣の裾広がりのラインがまたいいですね。
あ、いけません。
煩悩が…
ところで、百八つの煩悩と言いますが、なぜ108なのか?
それは、「四苦八苦」だから
(4X9)+(8x9)=108
また、
一年は12か月、24節気、72侯なので
12+24+72=108
或いは単純に、煩悩はたくさんあるから。
と言うような具合で諸説あります。
次郎法師の禅寺修行の様子は、あまり見れませんでしたが、
多分、さして変わりない日々を淡々とこなして居たのだと思います。
そんなところへ直親が帰ってきたことにより、
ザワザワと胸騒ぎの次郎でしたが、初恋は結ばれることなく、
井伊谷の竜宮小僧への道を選んだのでした。
切ないね。
そんな時は、労働で煩悩を散らしましょう!
それではまた井伊谷で…