芭蕉翁39才の句に「世にふるもさらに宗祇のやどり哉」とあります。蕉風を確立する前の作品です。飯尾宗祗(いいお そうぎ)は西行、雪舟、利休などと翁のあこがれた文人で、室町時代に全国の武将らに連歌を指導しています。もともとは曹洞宗の僧でした。
宗祇の句に「世にふるもさらに時雨のやどり哉」があり、芭蕉の句はそのパロディ。「時雨」を「宗祇」に替えて無季の句です。
箱根湯本に早雲寺があり、ひつそりと宗祇の墓が建てられていました。弟子とともに京への帰路半ばで亡くなったのです。81歳というたいへんなご長寿でした。高名な文化人の墓前で、才うすき私によき詩が出来ますよにとお願いしました。