第4回みなとみらい賞准賞に、親友の表 邦彦氏(あかざ俳句会)が選ばれました。氏は現役のデザイナーで、あかざの編集長をされております。奥さまも息子さんも俳句をされ、色彩感覚の鋭い個性的作品を連発されております。同人仲間としておおいに喜んでいます。氏が応募された20句をご紹介いたしますので味わって下さい。
「水」
虹といふあやふやな脚立ちにけり
青しぐれ水の平を驚かす
百選の水足してある金魚かな
青葉風テナーの声の裏返る
風鈴や沖に雲湧く無人駅
夾竹桃空に深みのひとところ
空蝉をのせて水面のへこみたる
天瓜粉匂ひて時のはるかまで
不可思議な呪文のやうにところてん
凌霄花の吐き出す昼といふ媚薬
日の暮るるまでに間のあり山法師
待つまでの水はすべすべ蛍の夜
身の内に満ちて晩夏の波の音
闇あればこそ流灯の生き生きと
さざ波に銀河のかけら紛れけり
水槽に水の断面いなびかり
人体は聖なる器水の秋
流木のひときは白き焚火跡
折れさうなこころに島の花便り
堰の水落花をとどめ落ちにけり