『私が立正佼成会の会長になったのは31歳の時でした。頭も黒々としていたのですが、50年余も説法してきますと、屋根もだいぶいたんでまいりました。しかし、これは自然現象ですから、ちっとも苦にはなりません。
今日まで、人さまに一心にご法を説かせていただいてこれたことがなによりもありがたくて、その日その日に起こったことを日記に書いたあとに、「今日も楽しく終わった。ありがたいお手配だった」と書き加えるのです。
こうして毎日の変化を感謝で素直に受け止める生き方が、そのまま「生老病死を度(ど)し涅槃を究竟(くきょう)する」ことだといってもいいのではないか、と私は思うのです。
年のわりに老けこんでしまう人と、とてもその年には見えない人とがいますね。その差が、年とともに開いてきて、五十歳を過ぎるとプラス・マイナス十歳以上になるといいます。それは気力の差が大きく影響しているように思えます。
どんな変化も感謝で受けようとする心から、謙虚さ、優しさ、楽しさがあふれてきます。幸せの源泉は、そのへんにあるのではないでしょうか。』
庭野日敬著『開祖随感』より