『分かりすぎるほど分かっているつもりの相手なのに、ちょっとした言葉で夫婦の仲がギクシャクしてしまい、それが高じて、
「あんな人とは夢にも思わなかった」「私のことなど、まるで分かってくれていなかったんだ」「だまされた」と、離婚にまでいたってしまうようなことも、ままあるのです。
また、子育てや家のローンで力を合わせてがんばってきて、やがて子どもが巣立って夫婦二人っきりで向かい合うようになったら、共通の話題さえ見つからないといったご夫婦もおられます。
じつは、そこからが本番なのですね。いくら長いこと夫婦でいたといっても、ただ一緒に暮らしているだけで、夫婦が同じ考えになれるものではありません。
男性と女性では、発想の大もとが違ってあたりまえです。
むしろ、その違いを理解しようとつとめるのが、夫婦の暮らしだともいえましょう。互いを理解しようとして、思いやり、いたわり合うことで、夫婦の味が生まれてくるのです。
「感謝の眼で見なければ、本当のものの姿が分からぬ」と京都大学名誉教授の平澤 興先生はおっしゃっておられました。』
庭野日敬著『開祖随感』より