『ひと突きふた突きで土俵の外へ相手を吹っ飛ばしてしまうお相撲さんが、ちょっとしたつまずきで自信をなくすと、真っ暗闇のトンネルに入ったように、何も見えなくなってしまうことがあるといいます。手も出なければ足も出なくなってしまう。
大事なのは、負けが込んでもあくまでも自分の相撲をとり続ける精神力で、それには、「これだけ稽古をしてるんだから、大丈夫なんだ」という心の支えが必要だというのです。それは相撲だけではありません。
どんな仕事でも、ふだん自信にあふれていても、その自信が土台から突きくずされるといった場面に、人生では幾度もぶつかります。そういうときに、自分で自分を信じる、いわば一本柱の土台がいかに心もとないものか、思い知らされます。
「自分にできる精いっぱいの努力をしたのだから、あとはおまかせしていれば、必ずお守りいただけるのだ」という、もう一つの支えができると、二本の柱でしっかりと立った土台ができてきます。そうなると、ちょっとやそっとのことで大きくくずれる心配はまずありません。』
庭野日敬著『開祖随感』より