午後から陽が差して来たので、明日香へ行ってきました。
明日香と言っても、一番行き慣れた、国営飛鳥歴史公園です。
芝生広場の土手に沿って、秋の七草の何かを見ることができたらと、思いついたままのお出かけでした。
ところが今日夕方からイベントがあるので、その準備が始まっていて、土手に沿って歩くことができません。
1番の目当てのナンバンキセルの咲いている所にに直行しました。
ススキの根方です。
ススキは、万葉集ではおばなとか萱とか沢山詠われています。
ナンバンキセルについて、万葉集では、たった1首だけ詠われていることを、家に帰ってから調べていて
知りました。
ナンバンキセルという名ではなく、「思い草」という名で詠まれていました。
道の辺(へ)の 尾花(をばな)が下の 思ひ草 今更々(いまさらさら)に 何か思はむ
道のほとりの尾花(ススキ)の陰の思い草ではないか。今さら何を思い迷うことがありましょ
うか。私はあなたの愛を信じ、あなた一人を頼りに思っております。
「思ひ草」の名は、横向きのややうつむきかげんにつく花を、もの思いにしずむ佳人の
さまに見立てたものだと思う。万葉歌はそうした印象をそのまま詠んだ歌ですが、ススキ
などの根に寄生してひっそりと咲くこの花の生態を的確にとらえられ、人知れずひとりひそ
かに思い悩む女の姿が浮かぶ。万葉集で「思ひ草」が詠まれているのはこの1首だけ。
撮ってきた写真を見ながら、「思い草」と詠んだ作者の気持ちを静かに思いやりました。