カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

葛城路に揺れる優しい花

2019年10月02日 | ☆ ふるさと・大和

 

九品寺の横の水路にそっと隠れざくような萩の花が好きです。

万葉集では、1番多く詠われているのが、萩の花だというのに、秋になって咲く花を待ちわびた、万葉人に

惹かれます。

萩の万葉歌は141首ですが、ふと今目に触れた数首をここに書き残します。

 

 真葛原靡く秋風吹くごとに阿太の大野の萩の花散る 作者不詳 巻10-2096

  (大野とは人里はなれた野を言います。の葉が裏返り萩の花が散り敷いている景色のすさまじさ。)
 沙額田の野辺の秋萩時なれば今盛りなり折りてかざさむ   作者不詳 巻10-2106

  (枝や花を髪に挿す、あるいはかずらとして頭に巻き、植物の生命力や活力、精気を身体に受け、その力にあやかろうとしました。)
 大夫の心はなしに秋萩の恋のみにやもなづみてありなむ   作者不詳 巻10-2122

  (太夫にあるまじき、恋のとりこになっているわが身を自嘲的に。)
 秋萩は雁に逢はじと言へればか声を聞きては花に散りぬる   作者不詳 巻10-2026

   (雁が来る頃には、すでに萩の花は散ってしまっている。恋人と会えない、すれ違いの状態なのでしょう。)
 秋萩の咲たる野辺にさを鹿は散らまく惜しみ鳴き行くものを   作者不詳 巻10-2155

  (萩の花が散るのを惜しんで鳴いている鹿よ。妻を求めて鳴く鹿の気持ちになって詠んだ歌。萩の初花を妻としようとしている --萩の原には常に鹿が見られることから鹿の妻とみなして。)
 

1番初めに挙げた詠は私の住む町の、阿田の大野を詠んでいます。

「真葛原」から命名してもらったという友人がいます。

きっと、お父さんはこの万葉歌がお好きだったのでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

秋風に揺れるのは、萩だけでなく、コスモスの優しい花の佇まいも、この葛城路に

今花盛りです。

彼岸花だけだったのが、最近急にコスモスが多くなりました。

秋に此処を度々訪れるのが、楽しみになっています。

コメント (4)
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