迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

名代の川じゃ。

2019-01-23 17:57:59 | 浮世見聞記
私は決して、好き好んでその町へ出かけたわけではなかった。 そこはすでに、 川の向かふの、 よその「國」だったからだ。 しかし私は、その人に会ふことだけを今日の利点と考へ、 オトナと云ふお面をつけて、 川を越へた。 猿楽師はかつて、 旅藝人であった。 彼らは、 あらゆる國の堺を越へて、 猿楽を演じつづけた。 無駄なものはすべて削ぎ落とす知恵は、 その日々から生み出 . . . 本文を読む
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