迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

花は季節ごとの便りなり。

2018-08-22 23:30:51 | 浮世見聞記
今日も身近なところでヒトが熱中症で搬送され、私もさすがに疲れを感じさせられたこの季節、今を盛りに咲き誇ってゐるのが、ヒャクジツコウ、百日紅、さるすべりだ。

学生時代に読んだ三島由紀夫の「近代能楽集」のなかに“百日紅”といふ名詞が出てきて、それで読みともども覚えた花だ。

百日紅の“花言葉”は「雄弁」「愛嬌」などださうだが、私はどうも、この花言葉といふものが馴染めない。

もともと西欧貴族の言葉遊びから始まったもののやうで、それが明治維新以降に日本へ輸入されたいわゆる外来文化、日本には無かった感性だからだらうか。



その百日紅も、もとはと言へば英國から渡って来た外来種だ。


さりながら。


無心に咲く花に、國籍を問ふは野暮なるぞ。

國は、あとからヒトが造ったもの。

花はそれより遙か昔から、この大地に根を下ろしてゐるのだ。
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