春と秋の「おかげマルシェ」で現代手猿樂を舞はせてもらってゐる上目黒氷川神社で、今回は「和の文化祭」と云ふ企画が行なはれ、神樂殿で「月小町」を初演する。
百歳の小野小町を描いた能樂の老女物を基本に、老女の姿をいくつか取材して一曲にまとめたもので、
上演に相應しい場所や雰囲氣になかなか當を得られずにゐたところ、
和モノに的を絞った今回の催しと御縁があり、やうやく日の目を見る。
音響係として手傳ってくれた、大學で雅樂を學んでゐると云ふ青年に、先月ここで舞った「河原左大臣」──源融のことを話してみたところ、さすが瞬時に内容を理解して、久しぶりに日本語(コトバ)が通じたやうな嬉しさを覺ゆ。