迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

めんえきのないおとこども。

2016-11-13 21:12:06 | 浮世見聞記
国立能楽堂で、金春流の「一角仙人」を観る。


鹿の胎内から生まれても、龍神を滝壺に封じ込める神通力を持ってゐても、異性に対する免疫を持ってゐなかったがために、破滅に追ひ込まれた一角仙人―


実際、この頃は若い女性に免疫の無いかうしたオトコの話しを、よく聞くやうになったと思ふ。


田舎鉄道の車内で女子高生の体に触れてお縄になった“優良”小学校教師―

酔った勢ひ(と、言ふことになってゐる)で女性に体に触れた警察職員―


地位のあるオトコが、その時の気の迷ひで全てを失ふさまは、まさに今日観た舞台そのものだ。


聞いたところによると、この頃はコドモが見るやうな漫画やTV番組では、“お色気”につながる場面は一切カットしてゐるらしい。

『未成年者に悪影響を及ぼすおそれがあるため』

といふのが、その理由ださうな。

そんなことを真顔で宣ふ輩の尊顔(ツラ)は、だいたい想像がつく。

だから、「ドラえもん」の定番だったしずかちゃんの入浴シーンは、現在では消滅してゐるといふ。


なんだかんだともっともらしいことを抜かして相手にケチをつけ、なんでもかんでも「ダメ、ダメ、ダメ!」と封じ込めるのが、いまのオトナのシゴトっぷりである。

デリケートな部分を、いかに上手くコドモに教へるかが、本職の腕の見せどころのはずなのだが、さうした技量や知恵など既に退化した輩ばかりが、いまは業界を席巻してゐるのだらう。


性に対する免疫のないコドモが増殖した結果どうなるか―



そんな“現実的一角仙人”は、すでに某有名大学の学生どものあたりから、ぼちぼちと現れてゐる……。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« つきのおかぐら。 | トップ | ほこりたかくこるいをまもり... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。