東京都港区に隣接する品川区上大崎一丁目、住宅街のなかに小さなお寺がいくつも集まる地域の一角で見つけた、昔なつかしいポンプ。
人目があったので試さなかったが、水は出るらしい。
両側に無愛想なビルが続く表通りから一歩奥へ入れば、昔の“生活”を感じられるこんな光景が、東京の中心部と雖も、まだまだ見られるわけだ。
地方から仕事で上京した人が、
「東京は人が住むところではない。仕事をするだけところだ」
と口にしてゐるのを、耳にすることがある。
東京に良い印象が無いのは、それは単に、仕事がつまらなかったからだ。
そして、つまらない人間とばかり、付き合ってゐたからだ。
さらに、その視野のなかだけで、生きてゐたからだ。
その場所が、たまたま東京だったといふにすぎない。
かういふ人は、東京以外の土地で仕事をしてゐても、必ず同じことを言ふだらう。
さういふ私は、“仕事”のために大阪で七年間を過ごした。
たった一人で関西にやって来た東京者にとって、師匠だけが唯一の頼りであったが、二年後に急逝してしまった。
しかしあとの五年は、仕事上の援助者のおかげもあり、なんとか日々を過ごすことが出来た。
生活は大変であったが、辛ひなどとは思わなかった。
それは、一つ一つの仕事が充実してゐたからだ。
手猿楽師 嵐悳江の原点は、あのとき七年間を過ごした、大阪にある。
さて、品川区上大崎から少し歩けば、すぐ港区白金台に至る。
地面の下で地下鉄が枝分かれする「白金高輪駅」にほど近ひ白金二丁目で、こんな注意書きのコインパーキングを見つけた。
小便云々はわかるとしても、「出庫3分」以内、「入庫2分」以内とは、なんて小うるさい駐車場だらう!
その一分差は何なのだ。
同じ所要時間では、ダメなのか。
たしかに、駐車場のまえは狭い道で、しかもすぐ近くには信号がある。
渋滞をつくらないやう、迅速に動けといふことか。
たまにしか車を運転しない万年若葉は、ここは敬遠すべきだらう。
しかし、一ヶ所に三点もの小ウルサイ注意書きがあると、なんだかさういふヒトの顔を、思ひ浮かべてしまふ……。
人目があったので試さなかったが、水は出るらしい。
両側に無愛想なビルが続く表通りから一歩奥へ入れば、昔の“生活”を感じられるこんな光景が、東京の中心部と雖も、まだまだ見られるわけだ。
地方から仕事で上京した人が、
「東京は人が住むところではない。仕事をするだけところだ」
と口にしてゐるのを、耳にすることがある。
東京に良い印象が無いのは、それは単に、仕事がつまらなかったからだ。
そして、つまらない人間とばかり、付き合ってゐたからだ。
さらに、その視野のなかだけで、生きてゐたからだ。
その場所が、たまたま東京だったといふにすぎない。
かういふ人は、東京以外の土地で仕事をしてゐても、必ず同じことを言ふだらう。
さういふ私は、“仕事”のために大阪で七年間を過ごした。
たった一人で関西にやって来た東京者にとって、師匠だけが唯一の頼りであったが、二年後に急逝してしまった。
しかしあとの五年は、仕事上の援助者のおかげもあり、なんとか日々を過ごすことが出来た。
生活は大変であったが、辛ひなどとは思わなかった。
それは、一つ一つの仕事が充実してゐたからだ。
手猿楽師 嵐悳江の原点は、あのとき七年間を過ごした、大阪にある。
さて、品川区上大崎から少し歩けば、すぐ港区白金台に至る。
地面の下で地下鉄が枝分かれする「白金高輪駅」にほど近ひ白金二丁目で、こんな注意書きのコインパーキングを見つけた。
小便云々はわかるとしても、「出庫3分」以内、「入庫2分」以内とは、なんて小うるさい駐車場だらう!
その一分差は何なのだ。
同じ所要時間では、ダメなのか。
たしかに、駐車場のまえは狭い道で、しかもすぐ近くには信号がある。
渋滞をつくらないやう、迅速に動けといふことか。
たまにしか車を運転しない万年若葉は、ここは敬遠すべきだらう。
しかし、一ヶ所に三点もの小ウルサイ注意書きがあると、なんだかさういふヒトの顔を、思ひ浮かべてしまふ……。