ふとしたご縁で、大田区立郷土博物館の特別展「川瀬巴水 版画で旅する日本の風景」を知る。
川瀬巴水の爽明な版画に逢ふのは、これで今年三度目。
前回は六月初めに神奈川縣平塚市の美術館で企画展があったので“遠征”したが、會期末に近かったためか平日の午前中にも拘わらずやたらヒトが多くて落ち着いて観られず、残念な氣分だけが残った。
しかし、今回はほぼ無人の會場内で、静かにゆったりと自分の調子で、豊富に展開する昔日の東京風景を旅する。
川瀬巴水の版画には光と陰の色調に静謐な美しさがあり、その独特な世界はやはり、ひとり静かに旅するに限る。
東京には、見たい歴史がいろいろある──
さう思ったことが、今回いちばんの収穫。
これだけの内容で觀覧無料とは、申し訳ない氣がした。