迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

さてきょうちかきやまやま。

2014-03-23 20:09:24 | 浮世見聞記
今年も能を舞う機会を得て、「蝉丸」を舞い仕る。

これまで「安宅」、「加茂」と、勇壮な男性系の舞が続いたが、今回は初めて、女性のシテをつとめる。

扇は、十年ほど前に、博多の骨董市で手に入れたものを用いた。

ふだんは箪笥の奥底にしまわれ、時おり取り出しては眺めるだけの古物で終わったかもしれないこの扇を、本来の用途によって“魂”を吹き込めたのを、嬉しく思う。



謡いは、「羽衣」「猩々」「天鼓」「花月」の、四曲をつとめる。

あとの二曲は、初めて謡う曲。

どちらも少年が遊舞する曲だ。

しかし、「花月」は半聖半俗の、「天鼓」は幽霊と、性格は大きく異なる。



その違いを謡いわけられるようになるには、

こりゃ、

一生かかる。





さりながらいまは、

「今回もやり遂げた!」

という達成感と安堵感に、浸ることにしよう。
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