午前中から雨がいやな勢ひで降ったり止んだり、昼頃に一度上がったが、夕方には再びザッと降り出して、町で生活する者にとって雨など恵みでもなんでも無いと、ただ腹が立つ。
この雨の塊は最上川流域に甚大な被害をもたらし、
鐵路をも押し流す。
羽越本線と米坂線が接續する坂町驛はホームが水没する被害に見舞はれ、鶴岡市へ黒川能を觀に行く際には必ず通る馴染みのある驛だけに、衝撃をうける。
さう云へば、數年前の夏に佐渡島へ“佐渡寶生”を觀に行った帰り、やはり大雨で信越本線の新潟~長岡間が不通となったため、急遽行程を変更して新潟から羽越本線で坂町へ北上して米坂線に入り米澤へ出、さらに奥羽本線に乗り換へて福島へ抜け、東北本線で東京まで下った思ひ出がある。
その時に、これからは夏に普通列車での旅行は危険だと身にしみたものだ。
そして、あの時に助けられた鐵路の一部が大雨被害を受けたことに、いよいよ夏の旅行は古き良き懐かしき思ひ出と、認めねばならぬか。