國立公文書館の夏の特別展「お札に描かれた人物─公文書で見る紙幣の歴史─」を觀る。
今年七月より發行の新紙幣に因んだ企画で、明治に始まった近代ニッポンの紙幣の歩み云々よりも、これまでの紙幣に選ばれてきた歴代肖像画を、銅版画美術を觀る感覺で樂しむ。
(※フラッシュ無しで撮影可、以下同)
紙幣の歴史は、そのまま偽造との闘ひの歴史にて、明治元年に紙幣の前身たる太政官札が發行された時、そのイタチごっこの火蓋は切って落とされたのである!
さりながら、偽造にも當然カネがかかるわけで、そのあたりを偽造屋はどう考へてゐるのだらう。
そしてその費用は、やはり真券(ホンモノ)で捻出してゐるのかしらん。
……知りたいとも思はぬが。
ニセモノで思ひ出した小咄。
亜細亜の忘國を旅行中の日本人觀光客が、ブランド物と稱するバッグをしつこく賣りつけやうとする現地人に言った。
「それ、ニセモノだろ」
現地人は怒って言った。
「ノー! ニセモノちがう! ホンモノそっくりヨ!」