『著名な社会学者で東京都立大学教授の宮台真司さん(63)が昨年11月29日、東京都八王子市の同大南大沢キャンパス構内で刃物を持った男に襲われて顔などを切られ、全治約1ヶ月の重傷を負った事件で、警視庁が容疑者として行方を追っていた男が自殺していたことがわかった。』──
『男は事件から17日後の昨年12月16日、現場から約9キロ南の神奈川県相模原市内の実家近くの別宅で首を吊った状態で死んでいるのを母親が見つけていた。41歳だった。警視庁は家宅捜索などで遺留品などを分析し、被疑者死亡で書類送検する方針だ。』──
まさに、「死人に口なし」。
犯行の動機と云ふ、もっとも重要な事柄がけっきょく判らぬまま終はる、實にもどかしい結末。
その四カ月前に發生した安倍元首相銃撃事件に触發されたのではないか、とも思へるが、詰まるところ「藪の中」。
ただ、自決と云ふもっとも卑怯なやり方で逃げおおせたこと、そして親も絡んでゐるらしいところに、この人物のすべてが表れてゐると察するのみ。
そして、“引きこもり”と云ふ浮世と接點を持たない人種ゆゑ捜査網に引っ掛からなかったことは、警視廰と神奈川縣警が元来犬猿の仲ゆゑに情報共有がなされなかったこと共々、現代の病巣として大いに検討されるべきだらう。