迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

美器美茶。

2023-05-18 22:38:00 | 浮世見聞記
散歩に訪れる公園で恒例の陶器市が開かれてゐると云ふので、散歩がてら覗いてみる。と云っても特に陶器に興味があるわけでもなく、また詳しいわけでもないが、覗いて歩くこと自体は樂しいものだ。さうして結んだ御縁が、波佐見焼の茶碗¥200。冩真では正確な色合ひが出てゐないのだが、深みのある緑色がパッと目を惹き、これにお茶を淹れたらお茶の旨味が引き立つだらうと感じて、即決す。食べ物の美味しさは器が引き立てるとは . . . 本文を読む
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市川猿之助さんと両親が救急搬送父段四郎さんと母親は死亡

2023-05-18 14:55:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20230518k0000m040078000c?fm=d今日午前十時頃、目黒區目黒の自宅で一家三人が倒れてゐるのを訪れたマネージャー氏が發見、母親はその場で死亡が確認され、父親の四代目市川段四郎氏は搬送先の病院で死亡、息子の四代目市川猿之助氏は命に . . . 本文を読む
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ニッポン徘徊──“關東のいずもさん”

2023-05-17 21:16:00 | 浮世見聞記
東京都心では31℃越えの真夏日となった今日、神奈川縣秦野市に鎮座まします出雲大社相模分祠──“關東のいずもさん”に初めて参拝す。明治二十一年(1888年)、當地累代の神職の家に生まれた草山貞胤翁が出雲大社より御分靈をこの地に鎮祭云々、出雲大社の分祠は全國でもこの社のみ云々、雲州までは遠くてなかなか行けずとも、ここな . . . 本文を読む
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皐月風再縁戯場。

2023-05-16 21:45:00 | 浮世見聞記
河原崎國太郎を觀に、前進座の五月國立劇場公演に行く。この劇團の「魚屋宗五郎」は故人中村梅之助の主演で何度か目にし、その時の女房おはまは先代の嵐芳三郎、そして先代国太郎の愛弟子だった現在(いま)は脱退してゐない瀬川菊之丞の満を持しての舞薹、そしてあの頃は序幕で愛妾おつたばかりを演ってゐた當代國太郎のおはまを、今回初めて觀る。(※先代国太郎の愛妾おつた)決して期待以下ではなかった代はりに期待以上のもの . . . 本文を読む
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心願心拝。

2023-05-15 19:11:00 | 浮世見聞記
雨もほとんど上った夕方、目黒不動尊──お不動さんに参拝できる御縁を得る。門前をかすめることは度々あれど、なかなか山門を潜れるだけの余裕がなく、そのたびに殘念に思って時を過ごし、やっと今日の御縁となる。薄雲の向こふから差す太陽に、明日は確かに訪れることを知り、氣持ちは晴れやかに石段を踏む。門前には白井權八と遊女小紫の比翼塚。現世であらうと、来世であらうと、大事なのは、自分にだけは嘘をつかず、念じ續け . . . 本文を読む
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皐月な初音。

2023-05-15 08:43:00 | 浮世見聞記
今朝、窓を開けると雨音の向こふに、鶯の挨拶を聴いた。我が町で、今年初めてやうやく逢へた春告鳥のこゑ。居場所を“外来種”にどんどん追ひやられ、どんどん愛想を尽かされ、今年あたりから我が町ではもふ逢へないかもしれぬと諦めかけてゐたところへ、やっとの初音。まだまだ捨てたものではないな。捨てるのは、最後の最期。 . . . 本文を読む
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余韻的風味。

2023-05-14 21:04:00 | 浮世見聞記
地元のスーパーで見つけた、両國國技館地下の“社食”で出されてゐるカレーを再現したと謳ったレトルトカレー。春巡業を先月に觀て、大して盛り上がらない内容だったながら、余韻に浸るやうな氣分でお高い出費をして食してみる。すこし煮詰まって濃くなったやうなお味で、私は嫌いではない。「頑張った自分へのご褒美」のやうな時に限ったはうが、ずっと有難味を持續できる、そんなお味。本日、大相撲夏場所の初日。 . . . 本文を読む
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ひとり静の優美。

2023-05-13 21:40:00 | 浮世見聞記
思ってゐたほどのひどい雨とはならず、夕方には殆ど上がったので、渋谷區千駄ヶ谷の鳩森八幡神社で行なはれた薪能を覗きに行く。狂言は和泉流三宅右近一家の「佐渡狐」、私は“袖の下”がモノを云ふこのテの噺が大好きだ。能は金春流“櫻間會”による「二人静」。静御前の靈が憑依して舞を舞ふ菜摘女の背後で、静御前當人の靈が同装で舞ふかうした“二人(ににん)モノ”は、いくら動きが揃ってゐても . . . 本文を読む
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マイナ保険証誤登録7300件別人の情報閲覧可能に

2023-05-12 22:53:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2023051201001220?fm=dコンビニで住民票の冩しをプリントアウトしたら、赤の他人の情報が出て来た──これぞ、お國ぐるみの個人情報漏洩。恐ろしいことです。どうせ“紐付け”作業を行なったのは、下請け孫請け玄孫受けの、派遣アルバイトか何か . . . 本文を読む
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世々竹々。

2023-05-12 08:15:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送の寶生流「放下僧」を聴く。父を討たれた兄弟の仇討ち噺で、弟に説得された兄は、すでに出家した身ながら僧形の遊藝者である“放下(はうか)”に化けて、弟と共に仇討ちに出立する。ワキ方がつとめる相手の仇役は黒の塗笠を深々と被った姿で登場し、笠が影になって顔が見えないところが如何にも訳アリで、視覺的にもわかりやすく、私には面白い。目指す仇に上手く接近した兄弟は、相手が遊藝に見とれてゐ . . . 本文を読む
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星麗遺文。

2023-05-11 18:21:00 | 浮世見聞記
國學院大學博物館の「土御門家がみた宇宙─江戸時代の天文観測─」展を觀る。安倍晴明の子孫にあたる公家の土御門家が遺した江戸時代の天文觀測の古文書を通して、三百年前の人々が目にした夜空の壮大な煌めきを仰ぐ。祭祀祈祷の元締のほか、天体の表情から吉凶を讀み取り、ミカドへ密奏することも家職としてゐた土御門家の天体觀測術は、世界的にも水準の高かったことが近年の研究から明らかになっており、(※案内チラシより)さ . . . 本文を読む
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千葉県木更津市で震度5強の地震M5.4津波の心配なし

2023-05-11 06:45:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20230511k0000m040010000c?fm=d午前4:16頃、房州南部を震源とする地震が發生、木更津で震度5強云々、私の住む町では震度4云々、大きな橫揺れがやや長く續き寝床で身構へるが、佛前に供えた水はこぼれず。津波の心配は無し、房州内と . . . 本文を読む
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「京急電鉄」子ども運賃、全区間75円均一に10月1日からICカード乗車で

2023-05-10 22:32:00 | 鐵路
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/ntv_news24/nation/ntv_news24-2023051004328566?fm=d原材料費の高騰を言ひ訳にした“ナントカの一つ覺え”な値上げの發表ばかりが續いて、「もふいい、そんなのは聞きたくない!」な氣分のなか、久しぶりに良心的な報に接しました。──と、云ひたいとこ . . . 本文を読む
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ニッポン徘徊──“砂村隠亡堀”

2023-05-10 18:25:00 | 浮世見聞記
東京都江東區海辺と南砂町の境を流れる橫十間川──歌舞伎劇「東海道四谷怪談」で“だんまり”が演じられる“砂村隠亡堀”の旧跡を訪ねる。この“だんまり”で演奏される下座音樂が「露は尾花」、昨年九月に大阪で觀た前進座版「東海道四谷怪談」のこの場で、“茶屋女おもん”に扮した河原崎國太郎の華やかさが強く印象に殘り、それを自分なりに取り入れて作品にしたいと拵へたのが、現代手猿樂の「春雨おもん」、端唄「春雨」の冒 . . . 本文を読む
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坂坦嶮坦。

2023-05-09 22:55:00 | 浮世見聞記
鬱陶しい雨が昨日に過ぎ、今日は朝から晴天で、冷たい風も心地良し。權之助坂を吹き抜ける皐月風に當りながら、遠い土地への“夢”を手に入れた知り人の話しを思ひ出して、私はいつから同じ土地に拘泥(こだは)るやうになったのだらうと、自分に問ひかける。坂は上るのが先か、下るのが先か──向かうに見える景色は同じじゃぞよ。 . . . 本文を読む
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