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(2024年7月、政府の増税策に対する抗議活動で死亡したデモ参加者を追悼する行事に参加する若者ら。ナイロビで撮影【1月19日 ロイター】)
【ケニア 生活費需品への大衆課税に若者らが反発】
アフリカ東部のケニアでは昨年6~7月、政府の増税案に抗議するデモが激化し混乱しました。
****増税案めぐる政府への抗議デモが激化 39人死亡 ケニア****
ケニアでは、増税案をめぐる政府への抗議デモが広がっていて、2日も首都ナイロビで治安部隊との衝突が起きるなど、混乱が続いています。
ケニアでは、先月25日、政府の増税案に抗議するデモが激化し、首都ナイロビにある議会にデモ隊の一部が突入したことから、死傷者が出る事態となっていました。
これを受けルト大統領は、増税案の撤回を表明しましたが、デモはおさまらず、今度は、大統領の辞任を求めデモが続いているという事です。2日もナイロビではデモ隊と治安部隊の衝突が起きています。
ケニアの人権団体によりますと、治安当局がデモ隊に向け発砲したことなどから、これまでに39人が死亡しているということです。
ルト大統領は、増税案の代わりに、政府の大幅な歳出削減を計画しているとしていますが、辞任を求める声が広がる中で、混乱が続くおそれが高まっています。【2024年7月3日 日テレNEWS】
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ケニアでは、正規の雇用ではなく、身近の様々な品物の転売など自らの知恵や才覚で(ときにドラッグや泥棒、又は買春など様々な犯罪も)生計を立てる若者らをハッスルする者「ハスラー」と呼ぶようです。
政府の増税案は生活費需品への新たな課税であり、こうした「ハスラー」など大衆に負担を課す内容でした。
ケニアのルト大統領は大衆に訴えるポピュリズムの波に乗って大統領になった政治家です。大衆の人気をつかんだはずの大統領が一転して大衆からの抗議の矢面に。
****<820億ドルの債務の責任は誰に?>大衆の支持を得たはずのケニア大統領が抗議暴動にあった理由****
フィナンシャル・タイムズ(FT)紙のアフリカ担当編集長のピリングが、7月18日付けの論説‘Kenya’s populist president has misread the popular mood’で、ケニアのルト大統領の国際的評価が国内問題により損なわれているが、その背景には根深い問題があり、既成の政治体制の改革ができればその評価を回復できるかもしれない、と論じている。要旨は次の通り。
5月、ケニアのルト大統領は、アフリカからの16年振りの国賓としてホワイトハウスでバイデンの歓迎を受けた。しかし7月になると、ルトは、国内で民衆の反乱に直面することになり、全国的な抗議運動は国会を襲撃するまでに至り、彼は内閣を解任し、増税法案を撤回した。
2022年、ルトは、自らの知恵やハードワークで生計をたてる「ハスラー」たちに働きかけることによりポピュリズムのうねりに乗って政権を獲得した。5,600万人の国民のうち300万人しか正規雇用されていないケニアで、インフォーマル経済の大衆に手を差し伸べることは、選挙の起爆剤となった。
ルトは、現職のケニヤッタの支持を得ずに出馬し、大衆に働きかける手法で国政の扉を開け、多くの点で彼の選挙革命は称賛に値する。
ルトは、都市化し十分な情報を持つ有権者にサービスや機会の提供を約束する政府との間の社会契約という現代的な考えを利用した。
しかし、民衆の感情をかき立てたルトは、もはや自らがコントロールできない力を解き放ったのだ。抗議デモにはリーダーはおらず、買収するような大物もいなければ、民族間の対立を煽るものでもない。
彼は、大統領として、正常な状態ではなく破綻しつつある財政状況を引き継いだのだ(彼は前政権で副大統領だった)。ケニヤッタ政権は、膨大な額の借金をし、使い、浪費した。
その多くは、中国が建設した40億ドルを超える鉄道等を含む贅沢なプロジェクトに浪費され、経済的見返りを得ることなくケニアの負債を増大させた。ケニヤッタは当初の220億ドルの負債に510億ドルを追加したとされる。これらの債務返済に歳入の38%が当てられこれでは持続不可能である。
ルトは、巧みな財務政策によってデフォルトを回避した。しかし、国際通貨基金(IMF)お墨付きの増税計画によって自らの支持基盤に打撃を与え、税収を現在の国内総生産(GDP)の15%から最終的には25%に拡大しなければならなかった。
フォーマルセクターの納税者の数があまりにも少なく、インフォーマルセクターの大衆から徴税することは苦痛をもたらし、平均所得が2,000ドルの国民から23億ドルを搾り取るだけでも大変なことだ。その動機が国際的な債権者への返済である場合、それは不可能であることが証明された。
ルトは、ポピュリストにしては、大衆の気持ちを読むのが下手だ。暴力と脅迫によるデモの鎮圧に失敗し、屈服せざるを得なくなった。そして今、彼は自分が属している政治家階級に怒りをぶつけている。
今後は、盗みを減らし行いを改善すると約束した。ルトがその誓約を果たすことができれば、国内外での評判を回復できるかもしれない。
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IMFの欠陥
最近のケニアにおける国民の反政府活動が暴動状態に拡大した事態については、いくつかの注目すべき側面がある。
まず、外交的には、ルト大統領は、就任後、国際金融改革や気候変動問題等について先進国に協調的な主張を行い、外国投資受入れや債務再編を避けて財政再建に努力するとの姿勢を示し、IMFや米国から評価されていた。(中略)
次に、暴動の原因であるが、直接的には、ケニアがデフォルトを回避するため、IMFからの融資を受ける条件として大幅な増税法案を成立させたことにあった。820億ドルに達するといわれる債務の二国間ベース最大の貸し手は中国である。
前任のケニヤッタ大統領はそのレガシー作りのために採算を無視して、商業上の借り入れと共に中国マネーを鉄道や高速道路などの巨大なインフラプロジェクトにつぎ込んだ。途上国の政治指導者の資質とそこにつけ込んだ中国の無責任な融資政策に問題があった。
そして、IMFの役割についてである。基礎食料品、燃料、その他の生活必需品に新たな課税を行うことは、ただでさえ貧困とインフラに苦しむ国民大衆の怒りをかうことは目に見えていたように思われる。
IMFは、当初今回の増税法案を称賛したと伝えられるが、これを実施すれば、何が起こるかについてIMF官僚は関心が無いか、理解が及ばなかったのであろうか。
このようにIMFのコンディショナリティを受け入れた結果、国民の反発を招き政情が不安定化した例は過去にも例は多く、IMFの欠陥のようにも思える。途上国に対する融資の場合、貸し手と借り手の立場は対等とは言えず、借り手は無理をしがちであることが考慮されるべきであろう。(後略)【2024年8月9日 WEDGE】
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【モザンビーク 大統領選挙での不正疑惑への抗議】
一方、アフリカ南東部(マダガスカルの対岸)のモザンビークでは昨年10月の大統領選挙で与党候補が勝利したものの、不正があったとして混乱が起きました。
****公式選挙結果発表も、政府と選管への不信は強まる****
モザンビーク選挙管理委員会(CNE)は10月24日、同月9日に投票が実施された大統領・国会・州議会議員選挙の公式集計結果を発表した。
大統領選挙では、与党モザンビーク解放戦線(FRELIMO)が擁立するダニエル・チャポ氏が得票率70.67%(有効得票491万2,762票)で勝利した。「モザンビーク発展のための楽観的な党」(PODEMOS)の後援を受け、無所属候補として立候補したベナンシオ・モンドラーネ氏は得票率20.32%(141万2,517票)で次点となった。(中略)
今回の集計結果について、国内外の市民団体や野党側勢力は疑問を呈している。EU選挙監視団は22日と25日に発表した声明で、票集計の不正や選挙結果の改変を指摘しており、CNEが発表した結果は指摘事項に対する疑念を払拭するものではないとしている。
モンドラーネ氏は24日夜に自身のフェイスブックで行ったライブ演説で、公式結果は不正なものだと述べ、支持者に対し抗議活動の継続を呼びかけた。同氏の配信は大きな注目を集め、最大同時接続数は10万を超えた。
配信翌日の25日午後から26日朝にかけ、モザンビークのほぼ全土において、主に携帯電話会社が提供するインターネット回線が不調、または遮断される事態が発生した。
モザンビークでは、モンドラーネ氏の配信やデモ隊と警察との衝突など、不正選挙への抗議に関連する動画がSNSを通じて多く拡散されており、メディアや一部の市民団体は、政府による意図的な通信制限だと訴えている。【2024年10月30日 JETRO】
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混乱は年末時点でも続いていました。(現状は把握していません)
****モザンビークで大統領選結果への抗議デモ激化…130人以上死亡、刑務所から1530人脱走****
AFP通信によると、モザンビークで大統領選の結果に対する抗議運動が激化し、(昨年12月)23〜25日の3日間で130人以上が死亡した。混乱に乗じて首都マプトの刑務所から約1530人の囚人が脱走した。
10月に行われた大統領選では、与党モザンビーク解放戦線の候補が勝利宣言し、野党は不正があったとして抗議運動を続けている。今月23日、裁判所が選挙結果を確定したことを受け、抗議運動が激化し、マプトなどで暴動に発展した。地元の選挙監視団体によると、10月以降の死者は260人、拘束者は4000人に上る。
大統領選を巡っては、SNSの使用が制限され、記者の拘束も相次ぎ、欧米の人権団体は疑義を訴えている。野党は陣営の弁護士が暗殺されたと主張している。
モザンビークはアフリカ最貧国の一つだが、液化天然ガス(LNG)が豊富で、日本企業が参画するガス開発事業が中断したままになっている。【12月28日 読売】
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【若者らの“愛国心や将来が良くなるとの期待”からの抗議行動】
ケニアでも、モザンビークでも、抗議行動の主体は、自らの権利を認識し、インターネットを通じて改革を訴える力を増している若者世代です。
“人口構成が世界で最も若いアフリカでは、根強い汚職や拙い政治運営、生活費高騰、失業率上昇などに不満を抱える若者が主導する政治活動が広がっている。”とも。
****政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジタル駆使し抗議活動****
ケニアの民主活動家ボニフェース・ムワンギさんは過去何年にもわたって数え切れないほどのデモに参加してきたが、昨年6月と7日に行われた反政府デモはあらゆる期待を超える形になった。
ムワンギさんが目にしたのは、力強く覚醒した若者たちがソーシャルメディアを駆使し、増税が盛り込まれた予算法案への抗議を呼びかけるという今までになかった展開だ。
「デモの動員に最も力を発揮したのはZ世代だった。彼らはTikTok(ティックトック)、インスタグラム、X上に存在し、街頭に出現した人々の大多数は若者だった」とトムソン・ロイター財団に語った。
ムワンギさんは「歴史上初めてケニア人が一つの目的、つまり予算法案撤回に向けて団結した。われわれは自分たちが持つ力に目覚め、説明責任や意義ある改革を要求する活動的な市民となりつつある」と胸を張る。
こうした抗議が実を結び、ルト大統領は評判の悪かった法案を取り下げ、閣僚を更迭したほか、無駄な支出の削減を約束せざるを得なくなった。
人口構成が世界で最も若いアフリカでは、根強い汚職や拙い政治運営、生活費高騰、失業率上昇などに不満を抱える若者が主導する政治活動が広がっている。
ケニアやガーナ、ウガンダ、ナイジェリア、モザンビークなどのZ世代やミレニアル世代が昨年相次いで抗議の声を上げ、今年もそうした活動はさらに強まりそうだ。
インターナショナル・クライシス・グループのアフリカ担当プログラムディレクター、ムリティ・ムティガ氏は、若者らの不満の一因として、食料と燃料の価格を押し上げたコロナ禍やロシアとウクライナの戦争による痛手からアフリカ経済がなかなか立ち直れない点を挙げた。
ムティガ氏によると、次第に自らの権利を認識し、インターネットを通じて改革を訴える力を増している若者世代には、社会全体への恨みのような感情も高まってきている。
同氏は「若者は両親世代よりも多くを求め、受け取る情報も増えている。彼らは政治面でより行動的になり、今年はデモが増加する可能性があると思う」と述べた。
<幻滅感>
アフリカは各大陸の中で最も人口増加率と若者の比率が高い。サハラ砂漠以南(サブサハラ)地域の人口の70%は30歳未満だ。
これらの若者の幻滅を、雇用機会の乏しさが助長している。国際労働機関(ILO)の調査では、サブサハラ地域の若者約5300万人の5人に1人余りは仕事や教育、職業訓練に全く縁がない。
24年にアフリカ13カ国の18歳から25歳までの5600人強を対象に実施した調査によると、回答者の4分の3は仕事を見つけるのが難しいと述べ、3分の2は政府の雇用創出に向けた取り組みに満足していないと訴えた。また5人に4人は汚職に懸念を持っているとも明かした。
こうした中で、若者が政府批判に動き始めるのは不思議ではない、と複数の専門家は話す。
ノルウェーのクリスチャンミケルセン研究所で上席研究員を務めるアスラク・オレ氏は、アフリカの若者はさえない経済成長や少ない雇用、多額の公的債務と緊縮財政に苛立ちを募らせていると指摘。その点から、公益ではなく私利私欲のために働いていると見なす政治家を糾弾していると説明した。
モザンビークでは昨年10月の大統領選で選挙管理委員会が与党モザンビーク解放戦線(FRELIMO)の候補が勝利したと発表すると、その後3カ月余りも49年わたる与党支配で生じた汚職や失業、生活費高騰への抗議デモが続いた。
ガーナでも昨年12月7日の大統領・議会選に先立ち、若者が街頭に集まって同国の債務危機や物価高に抗議した。
ある市民は、大統領選ではビジネスマン出身の新人候補に投票したと明かす。この新人が有力候補だったマハマ前大統領に勝てないと分かっていたが、今の政治にうんざりしており、デジタル経済を雇用創出や国家近代化の手段として考えられる政治家が出てきてほしかったと強調した。
<犠牲あっても>
若者の抗議活動には犠牲も伴う。警官との衝突で何百人もが拘束されたり殺害されたりしたほか、行方不明者も少なくない。
ケニアでは複数の有力人権団体から、当局が警官による殺害事件を隠蔽(いんぺい)し、Z世代のデモ参加者が絡む誘拐や不法拘束について口をつぐんでいるとの非難が出ている。
同国国家人権委員会の記録では、昨年6―12月に起きたデモで消息が分からなくなったのは82人で、29人は今も行方不明、最低でも40人は殺害された。
モザンビークでもデモ隊と警官の衝突で少なくとも278人が殺害され、2000世帯余りは隣国マラウィで難民申請中だ。
それでもナイジェリアの活動家リニュ・オデュアラさんは、若者が立ち上がる動きが衰えることはないと言い切る。
Xで80万人を超えるフォロワーがいるオデュアラさんは「若者による抗議は愛国心や将来が良くなるとの期待から生じていて、犯罪ではない。改革と、私たちの正当な権利への要求だと見てもらう必要がある」と語り、若者の声を無視することは政府にとって大きな政治的リスクになると警告した。【1月19日 ロイター】
ムワンギさんが目にしたのは、力強く覚醒した若者たちがソーシャルメディアを駆使し、増税が盛り込まれた予算法案への抗議を呼びかけるという今までになかった展開だ。
「デモの動員に最も力を発揮したのはZ世代だった。彼らはTikTok(ティックトック)、インスタグラム、X上に存在し、街頭に出現した人々の大多数は若者だった」とトムソン・ロイター財団に語った。
ムワンギさんは「歴史上初めてケニア人が一つの目的、つまり予算法案撤回に向けて団結した。われわれは自分たちが持つ力に目覚め、説明責任や意義ある改革を要求する活動的な市民となりつつある」と胸を張る。
こうした抗議が実を結び、ルト大統領は評判の悪かった法案を取り下げ、閣僚を更迭したほか、無駄な支出の削減を約束せざるを得なくなった。
人口構成が世界で最も若いアフリカでは、根強い汚職や拙い政治運営、生活費高騰、失業率上昇などに不満を抱える若者が主導する政治活動が広がっている。
ケニアやガーナ、ウガンダ、ナイジェリア、モザンビークなどのZ世代やミレニアル世代が昨年相次いで抗議の声を上げ、今年もそうした活動はさらに強まりそうだ。
インターナショナル・クライシス・グループのアフリカ担当プログラムディレクター、ムリティ・ムティガ氏は、若者らの不満の一因として、食料と燃料の価格を押し上げたコロナ禍やロシアとウクライナの戦争による痛手からアフリカ経済がなかなか立ち直れない点を挙げた。
ムティガ氏によると、次第に自らの権利を認識し、インターネットを通じて改革を訴える力を増している若者世代には、社会全体への恨みのような感情も高まってきている。
同氏は「若者は両親世代よりも多くを求め、受け取る情報も増えている。彼らは政治面でより行動的になり、今年はデモが増加する可能性があると思う」と述べた。
<幻滅感>
アフリカは各大陸の中で最も人口増加率と若者の比率が高い。サハラ砂漠以南(サブサハラ)地域の人口の70%は30歳未満だ。
これらの若者の幻滅を、雇用機会の乏しさが助長している。国際労働機関(ILO)の調査では、サブサハラ地域の若者約5300万人の5人に1人余りは仕事や教育、職業訓練に全く縁がない。
24年にアフリカ13カ国の18歳から25歳までの5600人強を対象に実施した調査によると、回答者の4分の3は仕事を見つけるのが難しいと述べ、3分の2は政府の雇用創出に向けた取り組みに満足していないと訴えた。また5人に4人は汚職に懸念を持っているとも明かした。
こうした中で、若者が政府批判に動き始めるのは不思議ではない、と複数の専門家は話す。
ノルウェーのクリスチャンミケルセン研究所で上席研究員を務めるアスラク・オレ氏は、アフリカの若者はさえない経済成長や少ない雇用、多額の公的債務と緊縮財政に苛立ちを募らせていると指摘。その点から、公益ではなく私利私欲のために働いていると見なす政治家を糾弾していると説明した。
モザンビークでは昨年10月の大統領選で選挙管理委員会が与党モザンビーク解放戦線(FRELIMO)の候補が勝利したと発表すると、その後3カ月余りも49年わたる与党支配で生じた汚職や失業、生活費高騰への抗議デモが続いた。
ガーナでも昨年12月7日の大統領・議会選に先立ち、若者が街頭に集まって同国の債務危機や物価高に抗議した。
ある市民は、大統領選ではビジネスマン出身の新人候補に投票したと明かす。この新人が有力候補だったマハマ前大統領に勝てないと分かっていたが、今の政治にうんざりしており、デジタル経済を雇用創出や国家近代化の手段として考えられる政治家が出てきてほしかったと強調した。
<犠牲あっても>
若者の抗議活動には犠牲も伴う。警官との衝突で何百人もが拘束されたり殺害されたりしたほか、行方不明者も少なくない。
ケニアでは複数の有力人権団体から、当局が警官による殺害事件を隠蔽(いんぺい)し、Z世代のデモ参加者が絡む誘拐や不法拘束について口をつぐんでいるとの非難が出ている。
同国国家人権委員会の記録では、昨年6―12月に起きたデモで消息が分からなくなったのは82人で、29人は今も行方不明、最低でも40人は殺害された。
モザンビークでもデモ隊と警官の衝突で少なくとも278人が殺害され、2000世帯余りは隣国マラウィで難民申請中だ。
それでもナイジェリアの活動家リニュ・オデュアラさんは、若者が立ち上がる動きが衰えることはないと言い切る。
Xで80万人を超えるフォロワーがいるオデュアラさんは「若者による抗議は愛国心や将来が良くなるとの期待から生じていて、犯罪ではない。改革と、私たちの正当な権利への要求だと見てもらう必要がある」と語り、若者の声を無視することは政府にとって大きな政治的リスクになると警告した。【1月19日 ロイター】
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“若者による抗議は愛国心や将来が良くなるとの期待から生じていて、犯罪ではない”にしても、期待どおりの結果をもたらすとも限りません。
かつての「アラブの春」はほとんどの国で強権支配や内戦を惹起する形で終わりました。
“愛国心や将来が良くなるとの期待”からの抗議行動が政治・社会の改善につながるように、これまでの教訓を学ぶ必要があります。
抗議行動を統率する仕組みをどうするのかが一番重要でしょう。現在の抗議行動はSNSなどを駆使し、組織によらない活動が特徴とはなっていますが、単に不満のガス抜きではなく成果につなげるためには何らかのコントロールする仕組みなりリーダーなりが必要でしょう。
国際社会の支援は、現在の中ロとアメリカが対立・硬直した状況ではあまり期待できません。