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(地雷除去訓練中のアフリカオニネズミ かなり大型のネズミです 【https://www.youtube.com/watch?v=GYry258lMbk】)
【1人当たりGDP:1966年の日本とほぼ同水準】
ポル・ポト派による虐殺、長い内戦による地雷問題、またはアンコールワットを中心とした観光地としてのイメージが強いカンボジアですが、今や生産拠点としても市場としても離陸しつつあるようです。
****悪夢の歴史を乗り越え急発展するカンボジア****
GDP成長率は東南アジアでトップクラス
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世界の服飾ブランドが生産拠点を設置
・・・・カンボジアはユニクロやH&Mなど多くの服飾ブランドが生産拠点を置く、世界有数の縫製工場でもあるのだ。カンボジアのGDPの約2割が製造業で構成されているが、そのほとんどが縫製業によるものである。縫製業は、観光業、農業と並んで重要なカンボジアの産業の一つである。
カンボジアで縫製業が成長したきっかけは、1997年にアメリカ合衆国に一般特恵関税制度の最恵国待遇を付与されたことに始まる。
現在、EUや日本も同様の待遇をカンボジアに付与しており、これらの先進国がカンボジア製品を輸入する際に低関税の恩恵を受けることができるようになった。
加えてカンボジアは人件費が安い。2015年1月からの最低月額賃金は128ドルに設定されているが、これは中国(深セン)の約4割、タイの約7割の水準である。
関税優遇と安価な人件費により、主として中国、台湾、香港からの外国投資がカンボジアに縫製工場を設立した。結果として、カンボジアの輸出額の7割~8割を縫製業関連の製品が占め、経済成長を牽引している。
1人当たりGDPは高度経済成長期の日本に匹敵
次に市場としてのカンボジアを見てみたい。カンボジアの人口は1500万人(2013年)。市場規模としてはまだそれほど大きくないが、その成長率は東南アジアの中でもトップクラスだ。
2009年のリーマンショック時にはアメリカ合衆国向け輸出が急減し、一時的にその成長にブレーキがかかったが、2009年~2013年の5年間のGDP平均成長率は7%であり、同時期のマレーシア(5.7%)、タイ(4.3%)、ベトナム(5.8%)と比較しても非常に高い値となっている。
また、カンボジアの1人当たりGDPは2013年に1006ドルとなった。タイ(5700ドル)やベトナム(1910ドル)と比較して見劣りすると考えがちだが、この値は、1966年の日本とほぼ同規模である。
66年の日本といえば、戦後から20年以上が経過し、高度経済成長期を謳歌していたころである。64年には東京オリンピックが開催され新幹線が開通し、66年には日産が「ダットサン・サニー」を、トヨタが「カローラ」の販売を開始した。
昨今、その成長性が注目されているミャンマーについても、2012~2013年のGDP成長率は6.3%であり、1人当たりGDPは868ドルである。高度経済成長期の日本および現在のミャンマーと比較していただければ、大きな購買力を持ち始め活気にあふれるカンボジアの人々をイメージすることができるかと思う。
中国や韓国の企業が積極的に投資
資源もなく、また長い内戦で国内産業基盤が破壊されたカンボジアでは、積極的な外資導入政策を採ってきた。外資の参入規制業種はなく、また経済特区を設置し法人税優遇などのインセンティブを提供している。
このようなカンボジアの投資環境、市場の成長性を見込み、すでに多くの中国や韓国の企業が投資を進めている。
カンボジア開発評議会によると、カンボジアで投資法が整備された1994年以降2011年までの国別直接投資額(累積)は中国がトップで89億ドル、投資額全体の約33%にのぼる。韓国が40億ドルで中国に次いで2位(15.1%)である。以下、マレーシア、英国、米国、ベトナムと続くが、日本の累積投資額ははるかに少なく1.5億ドルと全体のわずか0.6%にすぎない。
中国の投資は前述の縫製工場への投資の他、インフラや観光業など多岐にわたる。韓国企業では、LGやサムスンの電化製品の他、不動産投資への進出も著しい。
安定した政権のもと外資の投資環境を整備し、生産拠点としても市場としても離陸しつつあるカンボジアは、東南アジアでの次の投資先としてミャンマーと並んで有力な候補地となるだろう。【5月15日 堺 夏七子氏 JB Press】
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1966年の日本とほぼ同水準・・・・新幹線開通、サニー・カローラ・・・個人的には、ついこのあいだ経験した日々のような感もあります。
ちなみに西岸良平氏の漫画「三丁目の夕日」が1955年から1964年までを舞台としているとのことですから、現在のカンボジアは「三丁目の夕日」より一歩先に進んだあたりということにもなります。
日本はこのあと1人当たりGDPで、66年当時の1千ドル水準から1995年の42,516ドルまで一気に成長を加速させましたが、カンボジアが同じような軌道を描けるのかどうかは、これからの話です。
この種の統計数字が生活実態をどこまで反映しているのか・・・という問題はあるでしょうが、それはともかく、カンボジア、特に首都プノンペンが近年急速に変容していることは、しばしば指摘されることでもあります。
****残された経済フロンティア「カンボジア」の活況****
カンボジアの首都プノンペンの様子が、ここ5年間で一変した。
国際空港や自動車道路が綺麗に整備され、高層オフィス・ビルの建設、仏系大型高級ホテル・ソフィテルの開業、日系の大型商業施設「イオンモール」の開店、マレーシア資本による新たな大型カジノ・ホテル「ナガ・ワールド」の再オープンと、実に景気がいい。
急ピッチのインフラ整備
日本からのフライトはチャーター便を除き直行便がないため、バンコクを経由するのが一般的だが、最近はベトナムのホーチミン経由というルートも開拓されている。
バンコクから約1時間のフライトで、プノンペンに到着。一昔前のプノンペンであれば、夕刻に到着する機内から市内を見ても、華やかな明るさとは無縁な世界であった。
しかし機内から見える最近のプノンペンの夜景は違う。日没後にテニスやサッカーを楽しむ人口が増えたため、明るい夜間照明に囲まれた幾つものコートが目に飛び込んでくる。急速に中間層の人口が増えていることを示す現象だ。(中略)
ミャンマー人気に押されて、ニュース報道では精彩を欠くカンボジアだが、この5年間に海外からの直接投資、投機マネー、製造業の進出などによって、経済は活況を呈している。
カンボジアの国内総生産(GDP)成長率は6~7パーセント台で推移しており、高い経済成長を維持している。
チャイナ+1の進出先として、タイ、ベトナム、インドネシアが注目されることはあっても、カンボジアが話題に上ることは少なかった。
タイとベトナムに挟まれ、内戦の歴史が重くのしかかって、海に面していても内陸国のイメージが付きまとい、長らくカンボジアは海外の投資先リストから外されてきた。
しかしフン・セン首相の長期政権で政治は安定し、治安も改善され、急ピッチで経済インフラや工業団地が整備された。優遇税制によって海外企業を取り込むことにも成功するなど、カンボジアは何を隠そう、東南アジアの立派な優等生なのである。
歴史的にも親日国であるため、日系企業が中国で経験したような反日暴動や反日デモは皆無で、安心して操業ができる。
労働集約型の企業にとっては労働賃金の水準が最大の課題だが、とにかく東南アジアで最低レベルだ。しかも初等中等教育が進んだため、労働集約型産業に適した人材を確保できる強みがある。
「北朝鮮レストラン」が盛況のワケ
カンボジアにおける海外直接投資のトップ3は、韓国、中国、日本の東アジア勢で占められている。
高層ビルの建設では韓国が先陣を切り、不動産投資や投機では中国が熱心で、地道な製造業で日本が優位な立場にある。
とにかく韓国企業の看板が目につく。東南アジア諸国で、韓国企業の進出ぶりを推し量る目安は、北朝鮮レストランの盛況ぶりにあるといわれているが、東南アジアでも新興国のベトナム、ラオス、カンボジアを比較してみると、その数が多いのは1位プノンペン、2位ベトナムのハノイ、そして3位はラオスのビエンチャンとなる。(中略)
東南アジアの新経済フロンティアとして、メディアではミャンマー報道が席巻していたこともあり、日本の中小企業はミャンマー詣でを繰り返してきた。
しかし経済インフラが整っていないため、多くの企業がミャンマー進出を断念したが、帰国の途中にプノンペンに立ち寄り、その素晴らしさに気づいてプノンペン進出を即断した企業も多いと聞く。
プノンペンとヤンゴンを訪問する度に、メディア報道のイメージと現実とに、こんなにも大きな落差があることを感じる。まさに「百聞は一見に如かず」である。【7月24日 竹田いさみ氏 フォーサイト】
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“フン・セン首相の長期政権で政治は安定し、治安も改善・・・”は事実ですが、その政治の在り様に問題がない訳ではありません。その話は今回はパスしますが。
【“悪夢の歴史”の清算】
経済成長には熱心なフン・セン首相は、ポル・ポト政権の大量虐殺の責任を問うカンボジア特別法廷にはあまり熱意がなく、特別法廷はなかなか進展せず、被告の高齢化だけが進みます。
****ポト派元最高幹部の控訴審開始=カンボジア特別法廷****
1970年代後半にカンボジアのポル・ポト政権下で起きた大量虐殺をめぐり、人道に対する罪に問われたポト派の元最高幹部ヌオン・チア元人民代表議会議長(88)とキュー・サムファン元国家幹部会議長(83)の控訴審が2日、カンボジア特別法廷の最高裁で始まった。
一審は昨年8月、首都プノンペンから少なくとも200万人に上る住民が農村部に強制移住させられ多数の死者が出たことなどに絡み、両被告が殺人や政治的迫害といった非人道的行為に関わったと認定し、最高刑の終身刑を言い渡した。
特別法廷は二審制で、最高裁は2016年前半の判決言い渡しを目指している。両被告は一貫して無罪を主張し、計300以上の上訴理由を挙げて一審判決には「法律上および事実の誤認」があるとして最後まで争う姿勢を示している。【7月2日 時事】
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ポル・ポト政権下では1975年から79年までの4年弱の間に、当時の総人口約800万人のうち140万人とも200万人とも推計される人々が犠牲になったと言われています。
“悪夢の歴史を乗り越え急発展する”ということのためには、“悪夢”の清算が必要です。
この“悪夢”は地雷という遺産を今も残しています。
“カンボジア政府によると1979年以降、地雷や不発弾による死者は2万人近く、けが人は約4万4000人に上る。1970年代のクメール・ルージュによる虐殺など、数十年に及ぶ内戦の名残りで国内には今も地雷が多く埋まり、身体に障害を負う人が後を絶たない。”【7月16日 ロイター】
地雷除去作業ということでは、金属探知機を使った作業が一般的ですが、危険なうえに効率が悪い方法でもあります。
****金属探知機****
最も一般的な方法が、この金属探知機を用いた手法である。この方法が広く浸透した背景には、他に地雷を探知する機器が無かったことと、機器コストが安価だった事がある。
ただ、この方法は信頼性に欠けるという、重大な問題を有している。
前述したように、地雷に使用される金属は極端に少ない。そのため、金属探知機の感度を上げなければ、地雷を発見することはできない。だが、それは地中に埋まった釘や鉄片など、全ての金属に反応することを意味する。
つまり、金属探知機を使用するディマイナー達は、地雷原からすべての金属片を除去しているという事になる。
効率性の点では最悪である(2人1組で1日に調査できる範囲は3~6㎡程度)。また、カンボジアの土は高い金属含有量の鉱石ラテライトが含まれており、金属探知機が全ての地雷原でオールマイティーでない問題もある。
さらに、金属探知機は音の変化によって、金属の有無をディマイナーに知らせるものである。そのため、音の変化を聞き分けるには熟練した経験が必要となる。【Business Architecture http://bizarchitecture.web.fc2.com/jpn/proposal/mine/removal.htm】
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火薬の匂いを嗅ぎ取れるように特別に訓練された地雷探知犬はも使用されますが、訓練・維持の費用が高く、訓練期間も1年ほど必要とのことで、大量供給が困難です。
そこで登場したのが・・・・。
****カンボジアで「人命救助ネズミ」が活躍、短時間で地雷嗅ぎ分け****
カンボジアで地中に埋まった地雷の探知に、アフリカオニネズミが大活躍している。このネズミは、金属探知機を持った人間が数日かかかるところ、わずかな時間で地雷を見つけ出せるという。
ベルギーの非営利組織(NPO)APOPO(訂正)にタンザニアから連れてこられ、生後4週間から地雷探知用に訓練されたネズミたちだ。カンボジアの地雷除去兵が手にするロープの先につながれ、草むらに放たれると、地雷に含まれるTNT火薬を嗅ぎ分ける。地雷除去チームの責任者は「彼らは人命救助ネズミだ」と話す。(中略)
ネズミを使う地雷探知の最大の利点の一つは、体重が軽いため、地雷に近づいても爆発を引き起こさないことだという。【7月16日 ロイター】
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非常にユニークな方法ですが・・・・「ここは、ネズミを使って除去しましたから安全です。どうぞ」と言われても「・・・・お先にどうそ」と言いたくなるような・・・。ネズミへの偏見でしょうか。
危険で効率が悪い地雷除去作業の映像を観ると、いつも「もっと他に方法はないのだろうか?」と思ってしまいます。
実際、いろんなものがあるようです。
大規模なものでは、装甲車とショベルカーを一緒にしたようなものも。
また、ロボットの開発や、超音波ビームを使った方法なども。
ただ、満足な道路もないところ、ジャングルの奥地の狭い場所・・・などで低コストで使えるかという現実問題もあります。
地雷除去について検索していたところ、こんなシュールな装置もありました。“美しすぎる地雷除去装置”とも
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/1a/ab3734150f148afa469a3509ed84b59b.jpg?random=2c290db51e33be9e888b1663aed2d48f)
【http://commonpost.info/?p=52333】
アフガニスタン出身のデザイナーが制作した、砂漠を転がりながら地雷を除去する装置「Mine Kafon」。
先端の部分で風をとらえて危険エリアを動き回り、1体で3~4基の地雷を撤去できるそうです。
シュールなだけでなく、竹、鉄、プラスチックで作られていて、素材が手に入りやすいく安くで作れる利点もあるそうです。
ただ、風まかせで動き回る装置ということで、これだけでは「除去しました。安全です」と言われても。やはり「お先にどうぞ」と言いたくもなります。
もっとも、GPS装置をつけることで安全な場所を地図に表示できるようにする予定だそうです。
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