御無沙汰しておりました、一年ぶりのパラレル・クマワールドへ、ようこそ!
テディクマ世界きっての大都市ロンドンにも、
刻々と新年が近づいているようですね。
おや? しかし……
クマ界初の諮問探偵にして比類なき頭脳の持ち主、
テディちゃムズの下宿では、
新年を迎える祝祭気分とは異なる空気が……?
「あああ~ァ、つまんないね、テディちゃムズ!」
シロクマベアの医学博士ユキノジョン・H・ワトソン氏は言うのでした。
「どうしたんだいッ、ユキノジョン・H・ワトソンくんッ?
なにかァ、ふまんなのッ?」
「だってね、テディちゃムズ!
クリスマスは、あんなに御馳走尽くしだったのに、
新年てヤツぁ、つまらないよ!
特別なメニューがない!
プレゼントも、ない!
ピカデリー広場で皆と一緒にカウントダウンするのは面白いけど、
他には何がある?」
「そうだねェ~……」
安楽椅子に腰掛けて、
ハッカ菓子入り玩具のパイプをくわえたテディちゃムズも、
おもむろに頷きます。
想い起こせば。
こんがり焼けた大きなチキン。
柔らかなローストビーフ。
つけあわせのヨークシャープディング。
ブランデーたっぷりのフルーツケーキや、
数ヶ月かけて作ったクリスマスプディングを、ぱくっ!もぐっ!
ツリーの下には、リボンで飾られたプレゼントの包み……
そうですね、
クリスマスは美味しいもの美しいもの山盛りの季節でございましたよ。
それに比べますと、
年越しパーティの食卓は華がない、と申しましょうか。
満腹になった聖夜の、あの皿この皿を思うにつけ、
過ぎてしまったばかりのクリスマスが
ひどく懐かしく感じられるクマたちなのでした。
と、そこへ。
りりりん、と鳴るのは、
玄関のベルの音。
ベーカー街221Bに、今ごろ誰が?
「テディちゃムズ!
手紙だ!
速達だよ!」
良い暇つぶしとばかり、
階下へ駆けていったユキノジョン・H・ワトソンが、
一通の封書を手に戻ってまいりました。
「君宛てだよ!
差出人は――あっ!」
「うむッ!
さしだしにんはァ……さー・へんりーッ!!」
差出人の署名は、ヘンリー・バスカビル卿!
しかも、筆跡は何事かに動揺したかのように震えています。
真剣な面持ちで、テディちゃムズは封を切りました。
便箋が一枚、はらはらと舞い落ちます。
拾い上げたその紙に書かれていたのは……
《 バスカビルの虎、あらわる! HELP!! 》
テディちゃムズと、ユキノジョン・H・ワトソン、
顔を見合わせてハモりました。
「と、虎?!」
「と、とらッ!」
(次回へ、続く!)
テディクマ世界きっての大都市ロンドンにも、
刻々と新年が近づいているようですね。
おや? しかし……
クマ界初の諮問探偵にして比類なき頭脳の持ち主、
テディちゃムズの下宿では、
新年を迎える祝祭気分とは異なる空気が……?
「あああ~ァ、つまんないね、テディちゃムズ!」
シロクマベアの医学博士ユキノジョン・H・ワトソン氏は言うのでした。
「どうしたんだいッ、ユキノジョン・H・ワトソンくんッ?
なにかァ、ふまんなのッ?」
「だってね、テディちゃムズ!
クリスマスは、あんなに御馳走尽くしだったのに、
新年てヤツぁ、つまらないよ!
特別なメニューがない!
プレゼントも、ない!
ピカデリー広場で皆と一緒にカウントダウンするのは面白いけど、
他には何がある?」
「そうだねェ~……」
安楽椅子に腰掛けて、
ハッカ菓子入り玩具のパイプをくわえたテディちゃムズも、
おもむろに頷きます。
想い起こせば。
こんがり焼けた大きなチキン。
柔らかなローストビーフ。
つけあわせのヨークシャープディング。
ブランデーたっぷりのフルーツケーキや、
数ヶ月かけて作ったクリスマスプディングを、ぱくっ!もぐっ!
ツリーの下には、リボンで飾られたプレゼントの包み……
そうですね、
クリスマスは美味しいもの美しいもの山盛りの季節でございましたよ。
それに比べますと、
年越しパーティの食卓は華がない、と申しましょうか。
満腹になった聖夜の、あの皿この皿を思うにつけ、
過ぎてしまったばかりのクリスマスが
ひどく懐かしく感じられるクマたちなのでした。
と、そこへ。
りりりん、と鳴るのは、
玄関のベルの音。
ベーカー街221Bに、今ごろ誰が?
「テディちゃムズ!
手紙だ!
速達だよ!」
良い暇つぶしとばかり、
階下へ駆けていったユキノジョン・H・ワトソンが、
一通の封書を手に戻ってまいりました。
「君宛てだよ!
差出人は――あっ!」
「うむッ!
さしだしにんはァ……さー・へんりーッ!!」
差出人の署名は、ヘンリー・バスカビル卿!
しかも、筆跡は何事かに動揺したかのように震えています。
真剣な面持ちで、テディちゃムズは封を切りました。
便箋が一枚、はらはらと舞い落ちます。
拾い上げたその紙に書かれていたのは……
《 バスカビルの虎、あらわる! HELP!! 》
テディちゃムズと、ユキノジョン・H・ワトソン、
顔を見合わせてハモりました。
「と、虎?!」
「と、とらッ!」
(次回へ、続く!)