テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

筆先に、太陽を。

2011-11-20 23:17:19 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ……おや?
 見慣れないバスが走っていますね?
 車体に大きくプリントされているのは……んまーっ!

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わほッ♪ あれはァ、ふぁんきーもんきーべいびーずゥ!」
「がるる!ぐるがるるるるるぐるがるるー!」(←訳:虎です!DJケミカルの顔が迫ってくるー!)

 はー、びっくりしました。
 私たちの地元・八王子の星『ファンキーモンキーベイビーズ』のおにいさんたちと
 ラッピングバス車両でお会いしようとは!

「おどろきィ、もんきーのきィ!」
「がるがるる!」(←訳:派手派手だ!)

 笑っちゃうしかない?愉快なバスを見送ったら、
 さあ、読書タイムでも
 くすり♪ふふっ♪となっていただきましょう。
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 笑う子規 ――


 
 著者は正岡子規さん、編者は天野祐吉さん、絵は南伸坊さん、2011年9月に発行されました。
 広告批評誌発行人、コラムニスト、童話作家として知られる天野さんは、
 松山市立子規記念博物館名誉館長さんであり、
 子規さんの俳句について、
 御本の冒頭でこう述べておられます。

 『ぼくの中にいる子規さんは、《明るい子規さん》《笑う子規さん》なんですね』

「あかるいィ??」
「ぐるるがるがる?」(←訳:笑う子規さん?)

 正岡子規さんは、1867(慶応3)年、伊予国に生まれました。
 肺の病気に罹ったのは二十一歳……
 のちに脊椎カリエスと診断され、
 1902(明治35)年、三十四歳で没します。
 その後半生、あまりにも短い後半生は、
 ただもう、痛みとの闘いでした。

 激痛にに叫び、呻き、
 幾度となく喀血し、
 寝返りも打てぬほど病状が悪化して、
 しかし、それでも子規さんは、
 病魔に魂のすべてを明け渡すことをしませんでした。

 苦痛に喘ぎながら、
 子規さんは、仰ぎ見ます。
 天野さんの言う《明るい》方を。

  『内のチョマが隣のタマを待つ夜かな』(29年)

「にゃんこのォ、うたッ??」
「ぐるがるる!」(←訳:春の句だね!)

  『桃太郎は桃金太郎は何からぞ』(35年)

  『明月ヤ枝豆ノ林酒ノ池』(34年)

  『冬の部に河豚の句多き句集哉』(33年)

 明治――
 ろくな鎮痛剤はなく、抗生物質もなかった時代です。
 治る見込みはないのだと、子規さん自身も悟っていたでしょうか。
 けれど、
 絶望的なはずの病床に、
 光はふりそそぐのです。
 明るい、
 子規さんの精神を奮い立たせるひかりが。

  『弘法は何と書きしぞ筆始(ふではじめ)』(25年)

「むむゥ~、さりげなくゥ、へんてこッ!」
「がるぐるるるがる!」(←訳:うんヘンテコかも!)

 子規さんの句に、
 天野さんの解説?文、
 南さんののびやかな絵。

 最強の三人組による
 “おかしみ”たっぷりの、
 そしてまた何ものにも矯められない美しさを湛えたコラボ句集、
 活字マニアさんのみならず、
 アート好きさんもどうか一読を!

「ではァ、さいごにィ、いッくゥ!」
「がるる~!」(←訳:どうぞ~!)

  『のどかさや娘が眠る猫が鳴く』(29年)
 
コメント
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