テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

将軍の、苦き夢。

2012-01-08 23:30:36 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 昨日&今日と、めちゃくちゃ寒~いここ東京・多摩地域……

「もうやだァーッ、こんなさむいィのッ!
 む?
 あわわッ、しつれいィしましたッ、
 こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるる!ぐるぐるるるがるがる!」(←訳:虎です!でもホント寒いんだよう!)

 寒の入りは伊達じゃないってことですわね。
 では、寒さが身に染みる日の読書タイムは、
 気持ちだけでも温かい国へ、さあ、どうぞ~!

  


 
             ―― ナポレオンのエジプト ――


 
 著者はニナ・バーリーさん、原著は2007年に、日本語版は2011年7月に発行されました。
 原題は『MIRAGE Napoleon's Scientists and Unveiling of Egypt』、
 『東方遠征に同行した科学者たちが遺したもの』と日本語副題が付されています。

 ナポレオンとエジプト――
 テディちゃ、このテーマから導き出される事象は何であるか、といえば?

「ふァいッ!
 テディちゃ、わきゃりまスゥ!
 ろぜッたすとーんッなのでス!」
「がるがるるるるぐる!」(←訳:大英博物館のアレだね!)

 ヒエログリフ解読のきっかけとなり、
 時間の砂に埋もれていたエジプトの歴史をも解明する大発見となった
 ロゼッタストーン――
 現在は英国の大英博物館に収められていますが、
 もともとはナポレオン指揮下の部隊が
 当時のエジプトから奪い取ったものでした。

 でも、なぜ?
 なぜナポレオンはエジプトへ遠征したのでしょう?
 遠征とロゼッタストーンは、どう結びつくのでしょうか?

 フランスとエジプトでは
 このあたりの経緯はよく知られています。
 けれど、その他の国々では
 殆ど知られていないナポレオンの東方遠征の発端と結末を、
 この御本は
 《科学者》
 をキーワードに再現してゆきます。

「ふむむッ……そうだッ!
 きッとォ、なぽれおんさんはァ~」
「ぐるがるがるるる!」(←訳:寒がりだったんだ!)

 いーえ、違います。
 フランス軍のエジプト遠征は、もちろん、
 18世紀当時の、フランス共和国政府が決定し、
 若き将軍・ナポレオンの采配に委ねられた軍事行動であり、
 また同時に……経済行動でもありました。

「けいざいッ??」
「がるるる?」(←訳:お金絡み??)

 フランスの敵国・イギリスは
 インドを植民地にして大儲けしている!
 じゃあ我がフランスはどうすればいいんだ?
 このまま黙って見ているのか?

 いやいや、対抗手段がない訳じゃないぞ!
 地中海を隔てたすぐそこに、
 あるじゃないか!
 まだどの国の植民地にもなっていない広大な国、
 エジプトという国が――!

 ナポレオン将軍も、
 アレクサンダー大王の東方遠征を想わせるこの侵攻作戦に
 大乗り気になりました。

 大王がしたように、
 遠征部隊には軍人だけでなく
 科学者たちもメンバーに加えよう!
 天文学者、数学者、博物学者、医者、化学者、
 エンジニア、植物学者、画家……!
 みんな連れてゆくぞー!

「わわわうッ、だいじょうぶゥでスかッ??」
「ぐるがるる!」(←訳:心配だねえ!)

 しかも。
 往時のフランス軍部は、
 マトモじゃなかったのでしょうか。
 なんとまあ、
 どこへ向かうのか、
 遠征先を全く明かさずに、
 5万人の大軍を港町トゥーロンに集結させます。
 その中に、151人の科学者と画家さんも含まれておりました……

  我々はどこへ行くのだろう?

 上りゆく暁星のような将軍ナポレオンを盲信する者、
 或いは
 やむなく権力者の命令に従わざるを得なかった者たちが
 異文化の地・エジプトで目にするものとは――

「こッ、こわいィでス!」
「がるるぐるぐるるがるるぐるっ?」(←訳:ハッピーエンドはあるのっ?!)
 
 ナポレオンマニアの方々も
 これは知らなかったのじゃないかしら?
 という驚きがあっちにも!こっちにも!
 歴史好きさん、必読の一冊です!
  
「のんふぃくしょんのォ、はくりょくッ!」
「がるるーぐるがるるるぐるがるる!」(←訳:ナポレオンへの見方が変わります!)

コメント
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