テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

伝説のその人は。

2012-01-27 23:37:28 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 さあ、今日も2012ショコラニュースを!……とゆきたいところですが、
 本日は、食欲よりも読書欲~♪

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えェ~? ちょこれーとはァ、おあずけェでスかァ??」
「がるる!ぐるっがるるがる!」(←訳:虎です!もっとショコラを!)

 そうね、
 でも、この御本は、
 《サロン・デュ・ショコラ》誕生の地フランス・パリと
 縁深い一冊でもあるんですよ。
 なので、美食家さんも活字マニアさんも、どうぞ御一緒に~!
 
  


 
           ―― 蕩尽王、パリをゆく ――



 著者は鹿島茂さん、2011年11月に発行されました。
 『薩摩治郎八伝(さつまじろはちでん)』と副題が付されています。

「みすたー・さつまッ??」
「がるるぐるがるるぐる?」(←訳:薩摩の国のひとですか?)

 薩摩治郎八(さつま・じろはち)さん(1901~1978)は、
 名字こそ薩摩ですけれど、
 九州出身の御方ではありません。
 『バロン薩摩』とも呼称された治郎八さんは、
 近江出身の祖父を持つ、
 日本きっての大富豪さんでした。

「ばろんッ?!?」
「がるる!!」(←訳:大富豪!!)

 大富豪も大富豪、治郎八さんは、本物の大富豪さん。

 つい先日、“お金持ちのボンボン”さんの散財ぶりが、
 現代にもポケットマネー百億円をバラ撒けちゃう日本人がいるのね!と
 新聞やTVを賑わせました。
 
 が、治郎八さんは、スケールが違います。
 著者・鹿島さんによれば、

 『今日の貨幣価値にして
  二百億円とも八百億円』

 という、巨大な財産を蕩尽(とうじん)した御方なのです。

「あわわわわッ、はッぴゃくおくゥ!」
「がるるぐるるるっ!」(←訳:究極の無駄遣いっ!)

 いいえ、無駄遣いなんて、とんでもない!
 治郎八さんは、
 一見『形のないもの』にお金を注ぎ込んだようでいて、
 しかし、
 『最も後世に残る』
 お金の使い方をしたのでした。

 明治期、木綿貿易商の祖父・薩摩治兵衛(さつま・じへえ)さんが
 一代で成した巨万の富。
 三代目の御曹司・治郎八さんは、
 もっと財産を増やすんだ♪なんて思いません。
 早々に学校生活からドロップアウト。
 欧州行き旅客船上の人となって、
 到着したのは、霧のロンドン。
 時は1920年、
 治郎八さん、御年十九の冬の出来事です。

「ろんどんッ、でスかァ~♪」
「がるるぐる!」(←訳:小説みたい!)

 ロンドンで、青年紳士の体裁を整えた治郎八さんの周囲には、
 少しずつ、人脈が形成されてゆきます。
 舞姫イサドラ・ダンカンさん、
 作家コナン・ドイルさん、
 アラビアのロレンスさん……
 そうして後にはモーリス・ラヴェルさん、
 藤田嗣治さんらパリ在住の日本人アーティストさんたちと
 治郎八さんは知り合いました。

「しんじられないィ~てんかいッ!」
「がるるぐるぐるる!」(←訳:小説を超えてるよ!)

 社交界の寵児となった治郎八さんの交遊録を、
 著者・鹿島さんは探偵のように追跡し、
 《蕩尽王》の生涯を細部まで調べてゆきます。
 現代にはもう、
 いえ、これから以降も、
 二度と現れないであろう“破格のひと”の素顔を。

「これがァ、ほんもののォ、せれぶりてィ!」
「がるぐるがるっぐる……!」(←訳:むかしのヒトって……!)

 “破格のひと”は、何を得、何を残したのでしょう?
 その蕩尽は、無駄であったのか有益であったのか――

 伝説の大富豪さんの記録、
 歴史好きさんに、
 すべての活字マニアさんに、
 おすすめです!
 
 

   
コメント
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