テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

闇夜に、フフフと忍び笑い?

2012-01-30 23:34:48 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 乾燥お天気に耐えかねて、
 アロマ機能付きの小さな加湿器を買っちゃいました~♪

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むぱッ! しろいィゆげがァ、もくもくッ!」
「がるる!ぐるるぐるがるがるるがるがる!」(←訳:虎です!浦島太郎ごっこしたくなるぅ!)

 もくもく、ぽわぽわ……
 ついつい御伽噺を思い浮かべたくなる湯気の向こうに現われいでたるは、
 さあ、本日の一冊ですよ~!

  


 
             ―― 花咲小路四丁目の聖人 ――


 
 著者は小路幸也さん、2011年11月に発行されました。
 “アーケードマニア”“商店街マニア”さんが目にしたら
 うっとり見入ってしまいそうな表紙装画は、上杉忠弘さん!
 可愛らしい画ですね~♪♪

「むかしふゥ~のォ、しょうてんがいィッ!」
「がるるぐるがるるるる!」(←訳:懐かしい感じがするよ!)

 現代日本の、とある地方都市の、
 私鉄駅の近くに伸びるアーケードには
 『花咲小路商店街』の文字。

 この御本は、
 ちょっと寂れかけている『花咲小路商店街』を舞台に展開する、
 《ピカレスク・ロマン》――
 すなわち《悪漢小説》です!

「あわわッ、あわッ、あッかんッ?!?」
「がるぐるっ?」(←訳:悪人なのっ?)

 悪漢!ワルいやつ!
 ……といっても、実はその本性はさまざま、なんですよ。

 例えば《座頭市》シリーズ。
 バッタバッタと斬りまくる市さんは、
 たぶん悪人であり、けれど善人の要素も失っていません。

 《怪人二十面相》も、完全な悪、とは言い難いキャラさんですし、
 《鼠小僧》は、悪事と善行を同時にやってのけるタイプです。

 そして、この物語に登場する悪漢さんは
 《ルパン》シリーズの系譜に連なる御方ですから……

 《怪盗》さんですね!

「かいィとうゥッ!」
「ぐるるがるぐるがるるるるっ?」(←訳:三世ですかっおじいちゃんですかっ?)

 そうね、おじいちゃんの方、でしょうかしら。
 モーリス・ルブランさん著《アルセーヌ・リュパン》シリーズの香り漂う、
 『花咲小路商店街』の怪盗さんは、
 かつて
 《Last Gentleman-Thief“SAINT”》
 の名で知られた御仁です。
 日本語に訳するなら
 《最後の泥棒紳士“セイント”》。

 《SAINT》の特徴は、
 傷つけず、脅かさず、捕まらず。

 1950年代末~60年代、
 英国の上流階級から美術品や金品を次々と盗み出し、
 一度も捕まらぬまま、
 いつの間にか消息を絶った世紀の大泥棒。

 いまも当時の騒ぎを憶えている英国人は多く、
 TVで《SAINT》の特集が組まれたりする程です。
 が、日本では殆ど知られていないこの《泥棒紳士》さん、
 『花咲小路商店街』とは
 複雑な関係を有している御方なのでした。

 複雑といえば、
 ものがたりの語り手『私』こと矢車亜弥(やぐるま・あや)さんの心境も、
 充分に複雑です。

 小耳にはさんだ、不思議な事件。
 子どものイタズラとしか思えない、なんてことない事件だけれど……
 《SAINT》が、またやった!
 ああ、もう!
 引退して、おとなしくしていてくれたらいいのに!
 だって、《SAINT》の正体は――

「むむッ? だれでスかァッ?」
「がるるぐるっ?」(←訳:正体は誰っ?)

 《SAINT》の正体と、
 彼が今回、
 微笑みつつ企む“悪事”とは……?

 機智とユーモアに富む、
 世紀の大泥棒さんをめぐっての物語は、
 もちろん《東京バンドワゴン》シリーズ愛読者さんに
 大のおすすめ!

「おおどろぼうにはァ~ようちゅういィッ!」
「がるるぐるがるぐるるるっ!」(←訳:怪盗に惚れちゃダメだぜっ!)
 
 
コメント
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