テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 地中海に、《星》を追って ―

2013-03-27 21:52:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……あめェ??」
「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!雨だね!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日の東京近郊は小雨模様となってしまい、
 残念ながらお花見は諦めて、さあ、読書タ~イム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  



 
               ―― カラヴァッジオからの旅 ――



 著者は千葉成夫(ちば・しげお)さん、2012年11月に発行されました。
 現代美術、またフェルメールに関する美術批評/研究で知られる著者・千葉さんの、
 のべ9年間に渡る《カラヴァッジオ実見》の記録です。

「いたりあァのォ~、まえすとろッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:巨匠さんです!)

 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオさん(1571~1610)。
 時代的には、
 ルネサンスとマニエリスムが終わりに近付き、
 バロックへ移行しようとしている時期の画家さん、と言えましょうか。
 
 ヨーロッパでは特に人気が高く、
 研究書なども多数刊行されているのですが、
 日本では、いわゆる《通好み》の画家さんである、と捉える気風がありますね。
 印象派や、レオナルドさん、フェルメールさんの
 すご~い人気に比べると……

「てーまがァ、おもいィ!」
「がるるぐるる!」(←訳:画面も暗いし!)

 重くても、暗くても、その作品は揺るぎません。

 さかのぼれば、1973年夏。
 パリ留学中の著者・千葉さんは
 欧州各地の美術館を訪ね歩く旅をしていました。
 そして、ローマでカラヴァッジオさんの作品に出会ったのですが、
 カラヴァッジオさんの諸作品、
 その本物を見に行こう!と思い定め、
 あらためて旅立ったのは、2003年のことでした。

「りょこうッ、いいなァ~♪」
「ぐるぐるるる!」(←訳:絵画を観る旅!)

 カラヴァッジオさんへの旅、ではなくて
 カラヴァッジオさんの作品を基点とした、
 いうなれば、
 星から次の星へ、と
 さまよう箒星のように
 千葉さんは南ヨーロッパを駆けめぐります。

 マルタ島、シチリア島のパレルモ、ローマ……

「あついィ!」
「がるがるるる!」(←訳:真夏だもんね!)

 カラヴァッジオさんは、まことに面妖な画家さんです。

 驚異的な技量、
 恐るべき写実力、
 画面を構築し、
 光を捉える感覚と、
 劇的な、まさに劇的な、色彩のセンス!

 しかし。
 劇作家ピーター・シェーファーさんが『アマデウス』で描いた
 遊び好きでちょっとアウトサイダーなモーツァルトさんは
 フィクションだったのですが、
 カラヴァッジオさんの方は、
 フィクションではない本物の、真性アウトダイダーでした。

 グーで殴り合う喧嘩、刃傷沙汰なんて日常茶飯事。
 それがエスカレートして、
 殺人事件を起こし逃亡、
 逃れついたマルタ島でも暴行事件で捕われ収監、
 脱獄、新たに身を寄せた先でもまた騒乱。

「でもォ、どこかァ~」
「ぐるがる!」(←訳:憎めない!)

 魅力的な、魔力的な、
 カラヴァッジオさんに会う旅、見る旅。

 絵画好きさんに
 ぜひともおすすめしたい熱いアートブックです。
 旅好きさんも、マルタやシチリアなどの珍しい情報は必読!
 数奇な大画家さんの遺した名作を千葉さんとともに、
 ゆっくり、じっくり、
 追跡いたしましょう!


 
コメント
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