テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

おとなの、観点。

2013-03-29 21:42:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むゥ! みどりがァ、まぶしィッ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳: 虎です!ケヤキの新緑!)

 こんにちは、ネーさです。
 サクラ花の美しさもさりながら、ケヤキの新芽の緑も眩しい週末ですね。
 本日は、読書タイム復活!
 春休み中のお子ちゃまたちには手が届かない、
 オトナな一冊を、さあ、どうぞ~!

  



 
              ―― 想いの軌跡 1975-2012 ――



 著者は塩野七生(しおの・ななみ)さん、2012年12月に発行されました。
 『UN PERCORSO DI PENSIERO』と伊語題名が付されています。
 書名にありますように、
 1975年から2012年にかけて塩野さんが著した文章を集め、
 編み上げたのがこの御本です。

「れきしのォおはなしィ、でスかッ??」
「ぐーるるがるるがるる?」(←訳:ローマやルネサンスの?)

 歴史家(と申し上げてよろしいですよね?)塩野さんの代表作といえば、
 『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』、
 『海の都の物語』、
 そして『ローマ人の物語』、
 『十字軍物語』……
 いずれも歴史を、
 それもヨーロッパの歴史をテーマにした作品です。

 この御本に収められている各文章も、
 ヨーロッパの戦史、文化、国ごとの人間の気質など、
 やはり《歴史》に直結したものが殆ど、なのですが。

 エッセイ的な作品
 サッカーの勝敗を分析するインタビュー形式の章も、
 塩野さんが手掛けちゃうと、
 もう何ともユニーク!

「さッかァー??」
「がるるるぐるるぅ?」(←訳:詳しいんですかぁ?)

   イタリアに三十年以上も住んでいて、
   サッカーを知らないではすまないのですよ。

 と、塩野さんは文中で語っておられます。
 そうよね、サッカー、つまりカルチョの本場ですもの!
 チャンピオンズリーグの試合運びも、
 選手たちの性格、所属チーム、監督たちの作戦、
 プレイヤーとしての心構えも、
 冷静に、歴史家の眼で分析する塩野さん……!

 何が勝ち負けを決定したのかを、
 これほど深く追究してゆくサッカー論、いえ、カルチョ論は、
 他にありません!

「えいがにもォ、くわしィのでス!」
「ぐるぐるがるる!」(←訳:ここでも分析力!)

 以前にも御紹介いたしましたが、
 イタリアの名監督ルキノ・ヴィスコンティさんと
 親しい間柄であった塩野さん。

 この御本には、
 ヴィスコンティさんについて
 余人には描き得ない素晴らしい〘ヴィスコンティ小論〙も
 収録されています。
 第四章《忘れ得ぬ人びと》の『私が見たヴィスコンティ』は
 映画ファンさん必読の名文ですよ!

「だれもォしらないィ~!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:巨匠さんの素顔!)

 黒澤明さん作品の考察、
 そして塩野さんの本領ともいうべき、
 ローマ史にまつわる、
 『ローマ人の物語』に書き入れられなかったこぼれ話、
 取材時の思い出と、
 《彼ら》への共感。

 ローマやルネサンスを
 塩野さんの作品から識り、
 感銘を受けた活字マニアさんには
 激おすすめの御本です。

 イタリアに住むということ、
 ヨーロッパで暮らすということを――

「しりたいィ、おかたはァ!」
「ぐるがるるるー!」(←訳:ぜひ読んでねー!)




 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする