テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 取り戻す、光 ――

2013-06-04 21:49:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 どォなッたでスかァ~ッ??」
「がるる!ぐっる~っ??」(←訳:虎です!どっち~っ??)

 こんにちは、ネーさです。
 どっち?どっちなの?日本代表はワールドカップへ行けるのっ?!?
 とハラハラし通しだった皆さま、
 やりましたねー!
 W杯出場決定ですってー!

「やたッ!!!」
「ぐっるっる~!」(←訳:やったった~!!)

 ふぅぅ~……選手&スタッフの皆さん、お疲れ様、ありがとう!
 さあ、闘い済んでホッと一息ついたところで、
 今日も読書タ~イム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  



 
          ―― モネ、ゴッホ、ピカソも治療した 絵のお医者さん ――



 著者は岩井希久子(いわい・きくこ)さん、2013年6月に発行されました。
 『修復家・岩井希久子の仕事』と副題が付されています。

 いやーもう!
 面白い御本でした!
 私ネーさ、一気読みいたしましたよー!

「ふァ~?? おもしろいィ??」
「ぐるがるるるるぅ??」(←訳:これ小説ですかぁ??)

 おっとと、失礼しました、
 ちゃあんと説明いたしますね。
 この御本は、フィクションではなく、ノンフィクションです。
 ジャンル的には、
 アート系ノンフィクションにあたる作品でしょうか。

 副題からお分かりのように、
 著者・岩井さんのお仕事は絵画の修復家さん。

 修復家って、どんな仕事なのか。
 どのような専門知識や技術を有し、
 どのような手順で、
 絵画を“蘇生”させてゆくのか。

 最近ようやく、
 修復家という方々がいるのだと、
 世間にも認知されてきたようですが、
 御自身の業績をもとに、
 日本の美術品修復家の第一人者である岩井さんは解説します。

 修復作業の実情、
 修復する意味と意義、
 そして、理想の修復とは――

「かいがのォ、しゅうふくゥ~!」
「がっるるぐるるる!」(←訳:すっごく大変そう!)

 ええ、すごく、物凄く大変なお仕事です。
 けれど岩井さんの筆は、
 お仕事の労苦を述べつつも、
 治す喜び、
 困難な作業に挑む決意に、
 より大きく力を割いています。

 モネさん、ゴッホさん、ピカソさん。
 近代に制作され、100年経てはいないような巨匠さんたちの作品も、
 保存状態が悪ければ
 たちまち修復が必要になります。
 保管に気を付けてはいても、
 使われた画材の劣化によって
 やはり大規模な修復が必要になる場合もあります。
 
 いえ、そもそも。

 定期的なメンテナンスは必須です!

 ただ置いておくだけ、でも、
 美術品って汚れちゃうものなのよ!

「ほこりィ、とかッ?」
「ぐるがる?」(←訳:酸化とか?)

 微細な塵、汚れ、
 昔の旧式な修復作業の痕跡を除き、
 最適な状態にもってゆく。

 
 岩井さんのお仕事は、
 スリルとサスペンスそのものであり、
 同時にひしひしと感じさせられます。

  もっと《修復》に理解を!と。

「もッともッとォ?」
「がるぅ?」(←訳:理解ぃ?)

 美術品の修復&保存の重要性について、
 日本ではまだまだ理解されておらず、
 人員も設備も全く足りていない、
 と岩井さんは訴えています。

 本文中で語られるいくつもの実例に、
 アート好きな活字マニアさんは失神しそうになるでしょう。
 ええ、この部分は、面白い、だなんて言ってはいられませんよ!
 さあ、声を上げなくちゃ!

「もッとォ、しゅうふくゥをォ!」
「ぐっるがるる!」(←訳:もっと保存を!)

 数々の名作を修復し、
 手ずから新技術を開発してゆく岩井さんのお仕事を、
 じっくり読み込んで、追体験!
 大いに驚き、ハラハラさせられ、喜び、
 そうして、日本の美術館の未来を想う――

 この御本を知り、
 修復家というお仕事を知ることで、
 何かが変われば……!

「かわるとォいいなッ!」
「がるる~!」(←訳:変われ~!)

 稀有な光を湛えたノンフィクション作品を、
 美を愛する活字マニアの皆さま、ぜひ!


コメント
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