テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 僕のなくしもの ~

2013-06-07 21:53:20 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 こんざつゥこんざつゥ、だいこんざつゥ!」
「がるる!ぐっるがーるるぐるるる!」(←訳:虎です!トップシーズンだもんね!)

 こんにちは、ネーさです。
 何がトップシーズンといって、アジサイのお花が綺麗なのは
 6月のいま、ですね♪
 鎌倉近辺など、アジサイの名所は大混雑しているそうですよ。
 本日の読書タイムで御紹介いたします一冊も、
 大混雑ならぬ大人気!
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



 
            ―― 世界から猫が消えたなら ――



 著者は川村元気(かわむら・げんき)さん、2012年10月に発行されました。
 2012年、つまり昨年末から出版界で大きな話題となっているこの御本の、
 著者・川村さんは、プロの作家さんではありません。

 映画好きさんは、御存知でしょうね、
 『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』などの
 映画プロデューサーこそ、川村さん!

「えいがァせいさくしゃさんッ!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:そして作家さん!)

 この御本が初の著作となる川村さんの、
 “書くきっかけ”は何だったのでしょう?
 
 以前に、川村さんがFMラジオ番組にゲスト出演した際、
 このようなお話をされておりましたよ。

    ぼく、ケータイを失くしちゃったんです――
    ええ、嘘じゃなく。

   
「えええェッ? それはァ~…!」
「がるる!」(←訳:ピンチ!)

    もう真っ青になりました。
    だってケータイのデータには、仕事関係の連絡先、友人知人のメルアド、
    みーんな入っているんですから!

    どうしよう、と困りはてて、
    そうだ!事務所にとりあえず一報を!と思ったけれど、
    肝心のその事務所の電話番号さえケータイの中……

「うわァ~…」
「ぐるる~…」

    弱ったなぁ~……。

 と、がっくり気落ちし、へこみきって、
 よろよろと電車に乗り込んだ川村さんを待っていたのは、
 ケータイやスマホを操作する乗客さんたちの姿。
 川村さん、羨望と後悔に歯噛みしながら。

 ふと、車外を見やれば。

 そこには、美しい夕景が。

「ゆうやけッ??」
「がるっ??」(←訳:茜空??)

 夕景を目にした川村さんは、ハッと思い至ります。

   この美しい景色に気付くこと、見ることが出来たのは、
   ケータイを失くしたから。
   もしケータイを失くさなかったら、
   きっとぼくもケータイに夢中で
   車両内で顔を上げることも無かっただろう。

   ケータイを失くして、
   その代わりに
   ぼくが得たもの――

 そんな風に、川村さんは執筆の出発点を話しておられたのですが……。

「さいねんッ、でしたねッ!」
「ぐるがるるるぐぅるるっる!」(←訳:でも災難だけじゃなかった!)

 この御本の語り手『僕』も、
 もうすぐ、或る大事なものを失おうとしています。
 ヒトなら誰しも失いたくない、大事なものを。

   いや、まだだ!
   まだ失くすわけには行かない!
   まだまだ、ダメだ!

 足掻く『僕』の前に差し出されたのは、
 抗い難い、
 なんとも魅惑的な《取引き》の申し出でした。

 《この世界からひとつだけ何かを消す。そうすればあなたは――》

「むむむゥ、あやしィッ!」
「がるぐるがるるる!」(←訳:けど無視できない!)

   何かを得るためには、
   何かを失わなくてはならない。

 そうと分かっていながら、
 痛いほど身に沁みて知っていながら、
 『僕』が下す決断は……?

「どッ、どうしようゥッ??」
「ぐるがるるー!」(←訳:難し過ぎるー!)

 深刻に、切実に、
 けれどユーモアも忘れずに。
 失うものと、得るもの、
 ふたつが載った天秤はどちらに傾くのか――

 さあ、これ以上の解説は不要です。
 活字マニアの皆さま、
 ぜひぜひ、《僕の失くしもの話》を、一読あれ!



  
 
コメント
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