テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ひとコマの、貴いきらめき。

2014-02-07 21:40:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ~こんざつゥなしッ♪」
「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!空いてるね!)

 こんにちは、ネーさです。
 東京都民の私、今日は期日前投票に行ってまいりましたよ。
 夕方だったせいか、混雑も行列もありませんでした♪
 では、大仕事が済んだ日の読書タイムは、
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  


              ―― 華胥の幽夢 ――


 著者は小野不由美さん、画像の新潮社文庫版は2014年1月に発行されました。
 先日は『丕緒の鳥』を御紹介いたしましたが、
 こちらも人気の《十二国記》シリーズ中の一冊!
 『華胥』は『かしょ』と、
 『幽夢』は『ゆめ』とお読みくださいね。

「こんかいィもォ、ふぁんたじッくゥ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:異世界のお話!)

 はるかな異界、十二国。
 しかし、はるかな異世界は、
 平和で美しい夢のような国……とはゆきません。

 王朝が生まれては倒れ、
 王は道を見失い、
 民は困窮する。

 
 この御本に収録されている短編5作品はいずれも、
 皆ハッピーで不満もなし♪
 とは言えない物語ばかり……。

「ふァ~…」(←ため息してます)
「がるゥ~…」(←こっちもため息)

 国を治める側も
 治められる側も、それぞれに苦しい。

 が、とりわけ、異色な“苦悩”が描かれているのは
 御本の二番目に収められた
 『乗月(じょうげつ)』
 という作品でしょうか。

「いしょくゥ~?」
「ぐるがるるる?」(←訳:どう異色なの?)

   民衆をしいたげる暴君を討つ。

   では、その後、暴君を討った《首謀者》はどうするか?

 ええ、下克上とか革命とか維新とか、
 言うのは簡単ですけれど、
 やってのけるのは難しいものです。

 反乱計画って、大概は事前に権力者側に漏れ、
 潰されてしまうものですからね。

 下克上が成功するなぁんて、
 確率的には、たぶんゼロに等しいくらいの、
 超レアケース。

「じゃあァ、もしもォ~…」
「がるぐるぅっるる?」(←訳:成功しちゃったら?)

 下克上を成し遂げてしまった、
 つまり暴君を討つのに成功してしまった人物が、
 月渓(げっけい)さん――
 『乗月』の、いわば主役さんです。

 暴君から国を救った月渓さん。
 官吏たちも国民も彼に感謝しているのに、
 月渓さんは鬱々としています。
 その理由とは、いったい……?

「こころのォ、おくそこにはァ?」
「ぐるがるる?」(←訳:何があるの?)

 暗鬱を超え、
 清々しい読後感をもたらす『乗月』。
 ほほえましく可憐な『書簡(しょかん)』。
 異世界の、
 巨大な歴史のうねりの、ほんの瞬間を切り取ったひとこま。

 
 《十二国記》シリーズのファンの方々は
 とうに講談社文庫版の同作を読んでおられるでしょうが、
 こちらの新潮社文庫版では
 細部に改変が施されています。
 特に、漢字が変えてある箇所が目についたように思いますよ。
 ファンの皆さまは、ぜひこちらの新版も一読を!

「しりーずのォ、しんさくゥ!」
「がるぐるがるるるぐる!」(←訳:早く読みたいです!)



コメント
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