テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

 ― 未来のピアニスト ―

2014-02-04 21:35:17 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 はるがァ~きましたねッ♪」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!雪だけど立春!)

 こんにちは、ネーさです。
 立春にはちょこっと寒過ぎる今日の読書タイムは、
 こちらの新書を御紹介いたしましょう。
 活字マニアさんも音楽好きさんも、さあ、どうぞ~!

  



 
         ―― フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか ――



 著者は浦久俊彦(うらひさ・としひこ)さん、2013年12月に発行されました。
 なんと煽情的な!と
 びっくりしちゃう御本の題名ですが、
 ええ、気にしないでください、
 ここに描かれているのは心理学や精神医学ではなく……

 或るひとりの音楽家の生涯です。

「それがァ、りすとさんッ、でスかッ?」
「ぐるがるるるる!」(←訳:天才ピアニスト!)

 フランツ・リストさん(1811~1886)。

 鍵聖とも称すべき天才音楽家さん、であり、
 私たちはリストさんに関する様々な伝説を耳にしていますよね。

   その超絶技巧。
   その美しい容姿。
   そのモテっぷり。
   その栄光。

「きょうかしょにもォ~」
「がっるるる!」(←訳:載ってます!)

 音楽史の巨人としての鍵聖像。

 しかし、著者・浦久さんはそんな上っ面の略伝には
 物足りなさを感じていました。

   ピアノの天才で、モテまくりで。
   それはそうなんだけど、
   それだけじゃない。

 
 なぜ、世界はもっと知ろうとしないのか、
 理解しようとしないのか、
 リストさんがこの世に何をもたらしたのかを。

「うむむゥ~、りすとさんのォ~…」
「ぐるるがる!」(←訳:偉業の真実!)

 どのような時代と国に生まれたのか、
 どのようにピアノの基礎を学んでいったのかを追いながら、
 著者・浦久さんは徐々に
 リストさんの特異性を描写してゆきます。

 特異とは、つまり、リストさんの未来性。
 “時代を先取りした”と
 言い換えてもいいかもしれませんね。

 リサイタルという発表/表現形式を創り上げ、
 ピアニストなる立ち位置を確立させ、
 コンサート・ツアーでヨーロッパ中を巡り、
 楽器としてのピアノを完成させる。

 そしてまた、
 良き教師であり、
 最高のアドヴァイザーであり、
 援助者でもあったリストさん。

「たくさんのォ、おでしさんッ!」
「がるがるるるる!」(←訳:数えきれないよ!)

 天才で、モテて、などというと
 人は強欲な金の亡者を連想するでしょうか?
 リストさんもそうであったと?

 事実は、違いました。

 リストさんは
 彼に教えを乞いに来る者を拒みませんでした。
 紹介状があれば誰でも受け入れたのだそうです。
 しかも、
 レッスン料は、すべて無料。

「ええッ? むりょうゥ??」
「ぐるるがるるるる?」(←訳:お金を取らないの?)

 レッスン料だけではありません。
 リストさんはいわゆる慈善公演も頻繁に行っています。
 まるで、19世紀にたったひとりでバンドエイドを実現させるかのように。

 こうして、次々と崩れてゆく既成の楽聖像。
 ページが進むごとに生まれてゆく、
 新しい《或る音楽家》の相貌。

「しらなかッたことがァ、いッぱいィ!」
「がるがるるぐるるがる!」(→訳:いま音楽の歴史が動く!)

 著者・浦久さんは
 リストさんと19世紀の欧州世界を
 立体的に、複合的に組み立て、
 私たち読み手に分かりやすく
 《生きた音=声》
 を響かせてくれます。

 さあ、本屋さんで、図書館で、
 この御本を見つけたら、ぜひ手に取ってください!
 激おすすめの一冊ですよ~♪




コメント
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