テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 書物迷宮探訪録 ~

2014-02-11 21:47:49 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ひゃああッ!ほらーでスかッ??」
「がるる!ぐるがるる~!」(←訳:虎です!この表紙は~!)

 こんにちは、ネーさです。
 本日の読書タイムは……どうですか、このビジュアル!
 さすが、あの御方ね!と言いたくなっちゃう表紙デザインですよ♪
 さあ、ファンの皆さま、どうか御一緒に、こちらを、どうぞ~!

  



 
          ―― 書楼 弔堂 (しょろう とむらいどう) ――



 著者は京極夏彦さん、2013年11月に発行されました。
 『破曉(はぎょう)』と付されているのは、
 副題でしょうか、
 それとも巻名なのでしょうか……?

「うむむゥ~、なぞォでス!」
「ぐるるるる!」(←訳:謎めいてる!)

 御本題名の『書楼』という言葉にニヤリとした活字マニアさんは、
 ええ、おそらく筋金入りの京極さんのファンの方々ですね。

 映画化もされた大人気の《百鬼夜行》シリーズに登場するのは
 古書店・京極堂店主にして
 武蔵清明神社の宮司さんである中禅寺明彦さん。

 『書楼』って、本屋さんのことじゃないかしら?
 だったら、この御本は
 待ちに待った《百鬼夜行》シリーズの新作?
 また中禅寺さんの快刀乱麻名推理に会えるの?

「ふァ~、そうなのでスかァ??」
「がるーぐるるるがるっる!」(←訳:ホラーでなくてよかった!)

 しかし、残念ながら……
 この御本は、
 《百鬼夜行》シリーズ新作ではありません。

 中禅寺さんたちが活躍するのは
 昭和――第二次世界大戦が終わって数年後の時代なのに対し、
 こちらの御本の舞台は、
 明治の日本です。

 けれどもそれは、明治、という新時代が
 世間に根付いた時期の明示ではなく、
 違和感を端々におぼえながら、
 人々が暮らしていた頃の明治。
 
「ぶんめいかいかッ!」
「ぐるぐるる!」(←訳:ざんぎり頭!)

 新しい文化や流行や常識、社会の仕組み。
 そんなものに馴染みきれぬのか、
 毎日をばんやり過ごしているのは、
 かつて士族であった高遠(たかとお)さん。

 今日もぼんやり出歩いていた高遠さんは、
 ふとしたきっかけで
 近所に書舗(ほんや)が在ると気付かされます。

「えッ、どこどこォ?」
「がるるぐるがるる?」(←訳:どこに本屋さんが?)

 探せば、確かにありました、その本屋さんは。

 でも、本屋さんらしくない……?

 畑の向こう、
 田舎道をちょい行って、
 樹木の奥には……三階建ての、燈台みたいな建物?

 それに、板戸に貼られた紙に書かれている文字は……

 《弔》?

「ほッ、ほらーでスかッ、やぱりィ!」
「ぐるるがるるぅ!」(←訳:お化け屋敷だぁ!)

 いいえ、そこは本当に本屋さんでした。
 《弔堂》という屋号の
 書舗だったのです。

 和書、洋書。
 古いもの、新しいもの。
 扱わぬ書籍はない、
 あらゆる書物がそこにはある、《書楼 弔堂》。

「それならァ、かつじまにあのォ、あこがれッ!」
「がるぐるぐる!」(←訳:夢の本屋さん!)

 夢のような?
 或いは、悪夢のような?

 そんな《弔堂》で
 高遠さんが出会うのは、
 書物を求めるお客さんたちが巡り会うのは
 さて、どのような本であることか――

 デビュー作『姑獲鳥の夏』を想わせるこの御本は
 京極さんらしさが炸裂する
 ミステリアスな“書物の迷宮”譚です。

「まよッたらァ~…」
「ぐるがるるるる??」(←訳:出て来られない??)

 ほのかな明かりを頼りに、
 さあ、探して会ってみましょう、
 迷宮の案内人、《弔堂》御主人さんに。

 全活字マニア諸氏に、おすすめの一冊です。
 ぜひ!


 
コメント
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