テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

観るひと、ここにあり。

2015-03-19 21:40:30 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 ざんねんだけどォ、おめでとうゥ~なのでス!」
「がるる!ぐるるるるがるるるる!」(←訳:虎です!残念なのはドルトムント!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい! おめでとうなのはユヴェントス!
 祝!CL8強&準々決勝進出!
 おかげで今日は一日気分よく過ごせましたわ♪
 さあ、その勢いに便乗して、
 本日も読書タイムを、どうぞ~!

  



           ―― 志賀直哉、映画に行く ――



 著者は貴田庄(きだ・しょう)さん、2015年2月に発行されました。
 『エジソンから小津安二郎まで見た男』と副題が付されています。

「えいがァまにあァ、ここにィありッ!」
「ぐるがるぐるるるる!」(←訳:文豪さんなんだけど!)

 志賀直哉さん(1883~1971)さんは、
 『暗夜行路』『城の崎にて』
 『小僧の神様』などを代表作とする小説家さんです。
 明治から昭和にかけて活躍し、
 当時の日本文壇に大きな影響を与えた作家さんでなのですが、
 あまり知られていないことに……

 志賀さん、
 ちょっとした映画マニアさんだったのでした。

「えいがかんにィ、かよいィましたッ!」
「がるるぐるがるるる!」(←訳:試写会にも行きます!)

 映画、といっても
 現代のそれと同一に考えるのは早計でしょうか。

 明治の時代、
 それは活動写真と呼ばれていました。

 白黒の粗い映像に、
 弁士さんがセリフをあて、
 音楽ももちろん楽団がライブ演奏――が、普通だったのです。

 そうして後代、
 “トーキー”の時代へ。

「えいぞうがァ、しゃべるゥ!」
「ぐるがるぅ!」(←訳:音が出るぅ!)

 歴史の大転換点を、
 映画を愛する文豪さんはどう感じたのか。
 いえ、その前に、
 映画というものの何が、
 志賀さんを惹きつけたのか。

 著者・貴田さんは
 志賀さんの映画愛に
 《観客の映画史》を読み取ります。
 映画をこよなく愛した、
 ひとりの観者の素顔……。

「すきなァ、えいがすたーはァ~…」
「がぅーるるっるぐる?」(←訳:ディートリッヒさん?)

 マルレーネ・ディートリッヒさんが、
 ダニエル・ダリューさんが、
 志賀さんの御贔屓(ごひいき)。
 日本人では、高峰秀子さんが好き?

 好き、ということでは、
 志賀さんの興味は多方面にわたりました。
 洋画、お芝居、バレエ、
 ヴァイオリン、オペラ……

 フリッツ・クライスラーさんのヴァイオリン演奏を、
 オペラ歌手フェオドール・シャリアピンの公演へも
 志賀さんは足を運びます。
 それも、何度も!

「げいじゅつゥまにあッ?」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:エンタメマニアだ!)

 かくも“創作”への造詣深かった志賀さんですが、
 う~ん、どうしましょう……
 『暗夜行路』の映画化が決定しました。

「ひゃわッ! えいがかァ?」
「がるるぐるるがるる?」(←訳:自分の作品が映画に?)

 魂をこめて書き上げた小説が
 映像になる――映画になる。

 完成した映画を観て、
 志賀さんは何を思ったのか。

「ひとりのォ、えいがまにあァとしてェ~…」
「ぐるる~…」(←訳:心境は~…)

 創作者、
 観客、
 原作者。
 その非情にして切ないトライアングル。

 志賀さんの日記と、
 明治~昭和にかけての
 膨大な資料を読み解いたこの御本は、ええ、もう、
 今年度のノンフィクションベストに推したい力作です!
 映画好きさんも文学好きさんも
 ぜひ一読を~♪


コメント
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