テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 薔薇色の人生 ~

2015-03-05 21:47:02 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 おどるゥあほォよりィ~」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!読むアホウ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、そうです、
 本日の読書タイムのテーマは、ずばり、《阿呆》。
 何だソレ?と思った御方は、はい、こちらを、どうぞ~!

  



              ―― バンヴァードの阿房宮 ――



 著者はポール・コリンズさん、原著は2001年に、日本語版は2014年8月に発行されました。
 英語原題は『BANVARD'S FOLLY Thirteen Tales of People Who Didn't Change the World』、
 『世界を変えなかった十三人』と日本語副題が付されています。

「ううゥ~んッ、かうぃそうゥ~…」
「ぐるがるるぐるるる……」(←訳:阿呆なんて呼ばれて……)

 世間から、アホやアイツ~!とか言われちゃってるひと。

 そうね、アホ(=阿呆=阿房)かもしれません。
 でも、最初から最後までアホなのか?
 そのひとの人生には、もしかしたら、
 栄光の瞬間、
 満場の歓声を浴びた輝かしいひとときが 
 あったのかもしれない――

 著者コリンズさんが蒐集し、
 この御本に描き込んだのは、
 そういった、

 《只者》じゃないけれど、
 《真の偉人》にはなれなかった人たち、です。

「うんめいのォ、いたすらッ?」
「がるぐっるー?」(←訳:アンラッキー?)

 何かが足りず、歴史の狭間に埋もれた彼らは、
 例えば、

 パノラマ画を利用した見世物の興行主だったり、

 台湾人を詐称したホラ吹き男だったり、

 空圧で動く地下鉄をNYに作ろう!と思いついた発明家さんだったり、

 シェイクスピアの墓を暴こうとした女性だったり。

「とんでもォないィでス!」
「ぐるる!」(←訳:愚行だ!)

 私ネーさがいっちばん笑ってしまったのは、
 『ロミオに障害を捧げて』という章で紹介された
 ロバート・コーツなる人物のお話。

 それは1809年2月9日のこと、
 英国のバース劇場で行われた『ロミオとジュリエット』に
 観客さんたちは度胆を抜かれたのでした。

「なななッなにィでスかッ、あれはッ?」
「がる~っ!」(←訳:うそ~っ!)

 スカイブルーのシルクの上着、
 赤いパンタロン、
 白いモスリンのベスト、
 チャールズ二世風の鬘とオペラハット(ダチョウの羽根つき)、
 パンタロンと靴のバックルには
 ダイヤモンドがきらきらきらっ、と。

 読んでいて、私ネーさ、メマイがしてきましたよ。
 これがロミオ?
 『白鳥の湖』の悪魔ロットバルトじゃないの?
 いえ、そのころ『白鳥の湖』はまだ上演されてませんけど。

「それにィしてもォ~…」
「ぐるがるるる~」(←訳:派手だよねえ~…)

 あまりにもあんまりなロミオを前にして、
 全観客は怒り狂って席を立った、のでしょうか?
 役者さんは舞台から引きずりおろされたのでしょうか?

 いえいえ、それが。

 結果を申し上げますと、客席は笑いと怒号の渦に包まれた、のです。

 呆然自失の者、
 大笑いして手をたたく者、
 引っ込め~と野次る者。
 これは喜劇的な悲劇なのか、
 悲劇的な喜劇なのか?
 劇場に響く、大喝采――

「……なんというゥかァ、そのゥ~」
「がるぐるる?」(←訳:英国らしい?)

 コーツさん演じる奇妙奇天烈なロミオは、
 悪評かつ好評。
 観たい!という要望が殺到します。

 はたして、ロンドンの演劇界でのコーツさん評は?
 彼を待つのは、栄光か、凋落か、
 それとも……?

「けつまつがァ、ふしぎィ!」
「ぐるるがるる……!」(←訳:もしやこの人……!)

 著者・コリンズさんによれば、

    《一世を風靡しながらその高みから失墜し、今は忘れ去られた13人》。

 けれど、こうして知ってみれば、
 忘れがたくもなる13人の挑戦者たち。
 ヘンテコで、
 問題ばかり起こす子どもみたいで、
 それが長所であり短所で。

「ぷふふッ、でスねッ!」
「がるがるっ!」(←訳:くすくすっ!)

 誰よりも“生を謳歌した”人びとの伝説を、
 活字マニアの皆さま、
 手に取ってみてくださいね。
 



 
 
コメント
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