テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ただよう《キモチ》、お預かりします。

2015-03-20 21:45:49 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでースゥ!
 おおおォ~♪ ついにィ♪♪」
「がるる!ぐるるるるっ!」(←訳:虎です!聴きましたっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ようやく!今日20日の朝、拝聴いたしましたよ、
 2015年初のウグイスくんのお声を!
 春ね~♪春なんだわ~♪♪と実感しながら、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~!

  



              ―― 漂流郵便局 ――



 著者は久保田沙耶(くぼた・さや)さん、2015年2月に発行されました。
 『届け先のわからない手紙、預かります』と日本語副題が、
 『MISSING POST OFFICE』と英語題名が付されています。

「ゆうびんきょくがァ、ひょうりゅうゥ~???」
「ぐるるぅるがるるぅ?」(←訳:迷子ちゃんですかぁ?)

 小説などのフィクション作品ではなく、
 一般的なノンフィクションともちょっと違っているこの御本を、
 ええと、どう御紹介すべきでしょうか。

 強いて言うなら……
 ドキュメンタリー系アート本?

「ふァ? ゆうびんあーとォ???」
「がるがるぐるるるる!」(←訳:ますます分からない!)

 瀬戸内海に浮かぶ幾つかの島々が
 アートによる地域振興を行っていることは、
 関西圏のみならず、日本全国、
 最近では海外にも知られていますね。

 粟島(あわしま)も、
 そのような島のひとつです。

 2013年に開催された瀬戸内国際芸術祭に参加すべく、
 著者の久保田さんは
 香川県三豊(みとよ)市の粟島を作品のリサーチのために訪れ、
 出会ってしまったのです。

 波打ち際に打ち寄せられた、
 たくさんの漂流物、
 そして、

 旧粟島郵便局と。

「かいがらにィ、ぺッとぼとるゥ!」
「ぐるるがーるるぐるる!」(←訳:ゴルフボールに硝子玉!)

 物も、人も――久保田さん御自身も
 流れ着いてしまったかのような、
 海と島の一隅。

 『漂流郵便局』という言葉を思い浮かべた久保田さんの手によって、
 さまざまな漂流物と、
 役目を終えて眠りについていた郵便局の建物が結びついたのは
 ごく自然なことだったのかもしれません。

「ふしぎなァ、ゆうびんきょくのォ~!」
「がるぐる!」(←訳:誕生だよ!)

 芸術祭で発表された『漂流郵便局』は
 “期間限定の作品”にはなりませんでした。

 いったい何がきっかけだったのか……
 多くのハガキが届くようになったのです。

「だれからァ?」
「ぐるる?」(←訳:どこへ?)

 誰かにこの想いを聞いてもらいたい、
 秘めたこころの内をいま明かしたい、と
 ペンを握った人が大勢いたのです。

 返事はなくてもいい、
 それでもいいから、ただ書きたい、
 手紙を書きたい――

 そうして、
 『漂流郵便局』内の《漂流私書箱》には
 宛先不明な、
 けれど決して廃棄されることのないたくさんの手紙が
 現在もなお、届けられ続けているといいます。

「あてさきふめいィのォ、てがみィ……」
「がっるぐるるがるぐるる!」(←訳:きっと大事な手紙なんだ!)

 この御本には、
 『漂流郵便局』に配達されたハガキの一部、
 『漂流郵便局』局員さんのお仕事、
 展示されている漂流物などが紹介されています。

 詩歌のような、
 溜め息のような、
 見果てぬ約束のような、ハガキの言葉たち。
 そして、海が送ってよこしたシグナルたち。

「がらすのォかけらがァ、きれいィでス!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:小石や貝殻もね!)

 TVでも取り上げられたことがある『漂流郵便局』を
 もうよく知ってるわ!という方々も、
 あらためて、
 その成り立ちを読んでみてくださいね。
 特に、アート好きさんにおすすめです~♪




 
コメント
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