テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

“幸”の幸吉くん。

2015-03-06 21:48:51 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えッとォ~、きょうはァ、まんげつゥ??」
「がるる!ぐるぅ~!」(←訳:虎です!どこぉ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 雲の具合か、いまはちょっと姿が見えないお月さま……
 では、本日の読書タイムも“見えないもの”をテーマにしてみましょうか。
 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



           ―― お江戸、にゃんころり ――



 著者は高橋由太(たかはし・ゆた)さん、2014年12月に発行されました。
 『神田もののけ猫語り』と副題が付されたこの御本は
 江戸を舞台にした《お江戸》シリーズの第三作、
 主な登場人物は、そのぅ~、
 妖猫とか~、
 妖狸とか~、
 死神とか~…

「ねことォ、たぬきとォ、しにがみィ??」
「ぐるるがるるるぐる?」(←訳:なんか読み憶えあり?)

 はて、どこやらで聞いたような組み合わせ?
 と思われたのも、ごもっともです。
 私ネーさが、2014年の年BEST BOOKとしておすすめしたアンソロジー
 『江戸猫ばなし』――

 この御本には、『江戸猫ばなし』の中でもとりわけ目立っていた短編作品
 高橋さん著『九回死んだ猫』が
 収録されているんですー!

「ネーさのォいちおしィ、でスねェ~」
「がるるるっるるぐるる~」(←訳:推しまくってたもんね~)

 ネコ好きさん&絵本『100万回生きたねこ』ファンの方々には
 何を措いても読んでいただきたい『九回死んだ猫』については、
 あらためてここで説明することはいたしますまい。
 
 代わりに、主な登場人物さんのひとり、
 死神さんに注目いたしましょう。

「あうううゥ! せなかがァぞくぞくゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:恐怖です!)

 いいえ、それがね、
 この死神さん、パッと見では、
 とても死神とは思われないんです。

 六、七歳の、子ども。
 人形のように整った顔立ち。
 着物は上等で、
 年に似合わぬ落ち着いた口振り。

 それでいて、死神。
 噂では、死ぬ直前にやって来る子どもがおり、
 “幸吉”と名乗るのだとか。
 そして……

 幸吉は死にゆく者の願いをひとつ、
 かなえてくれるそうな。

「……ねがいィ?」
「がるっる?」(←訳:願いって?)

 会いたいひとに会わせてあげるよ。

 小さな死神さんはそう言います。
 それがこの世に生きている人なら
 必ず、会わせてあげる――

「ふゥむむむゥ? それッてェ、なかなかァ~…」
「ぐるるがる~…」(←訳:一筋縄では~…)

 昔から、様々な文学作品に顔を出す
 死神さん、悪魔さん、妖怪悪鬼。
 近年の日本では、伊坂幸太郎さんの死神さんが有名ですね。

 伊坂さんの死神さんに対して、
 この御本の小さな死神さんは
 弱々しく、非力、とも感じられますが。

 やはり、死神は死神。
 人ならざるチカラを秘めています。
 
「ちッちゃいィのにィ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:約束は守ります!)

 小さな死神・幸吉くん。
 彼が死神になった背景は
 作品中にはぼんやり描かれているだけですが、
 私たち読み手をしんみりとさせます。

 江戸の昔には、よくあったこと。
 いえ、昔ではなく、
 ほんの数日前のことのような、その出来ごと。
 現在にもつながっている何か――

「じだいげきィだけどォ!」
「ぐるるがる!」(←訳:現代的です!)

 ジャンルとしては時代小説、なんですけど、
 この御本、チビっ子さんたちにも読んでほしいなぁと思うのです。
 本屋さんで、図書館で、
 皆さま、ぜひ探してみてくださいね♪
 


コメント
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