テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

墨東、いまむかし。

2015-09-27 21:42:42 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 むぎゅゥ? みえないィ~でスゥ!」
「がるる!ぐるるる^!」(←訳:虎です!雲だらけ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 さあ、2015年の中秋の名月は……と、
 張り切って夜空を仰いでみましたものの、
 お月さまは、はて、何処に?
 舞台袖から出てきてくださるのを待ちながら、
 本日も、読書タイムを、どうぞ~♪

  



              ―― 墨東地霊散歩 ――



 著者は加門七海(かもん・ななみ)さん、2015年8月に発行されました。
 この御本は、
 怪談……つまり“怖い”お話の作家さんとして知られる著者・加門さんの、
 ノンフィクション作品になります。

 ええ、はい、ノンフィクションだからといって、
 怖くない、なんてことはなく、
 むしろ――

「こッ、こわいィ~でス!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:最初から最後まで!)

 フィクションではない、
 現実に存在する、怖いお話。

 その舞台は、墨東、
 すなわち、東京都のほぼ東端、といえばいいのでしょうか、
 墨田区と江東区を中心とする地域です。

 江戸期にぐ~っと開発&発達を遂げたこの一帯は、
 隅田川が流れ、
 人で賑わう名所も多く、
 風情のある土地柄ですが……

 怪談も多い!

「どッ、どうしてェでスかッ」
「がるるぐるっ」(←訳:なんでまたっ)

 何故かは知らねど、
 歩く先々に怪異譚の名残りが読み取れる、
 あちこちの街角。

 そこはまた、著者・加門さんの出身地でもあるのです。

「ふァ~、じもとォ、でスねッ」
「ぐるるるるがるる?」(←訳:生まれた町ですか?)

 現在、スカイツリーが建っているところ。

 その足下を、加門さんは
 《私の故郷》と呼んでいます。

 そこに、父方の本籍地があった、といいます。
 再開発で母の実家も消えてしまった、とも。

 さらにもうひとつ、消されてしまったのは

 《四谷怪談》の“現場”。

「よつやかいだんッ?」
「がるぐるるがるる?」(←訳:あの有名な怪談の?)

 四谷怪談って四谷で起こったお話でしょう?
 というのは、どうも誤解であるらしいのです。

 新宿四谷ではなく、
 本所四谷で悲劇は起きた――
 のちに、中之郷四ツ谷(なかのごうよつや)と地図に記され、
 いまは消失してしまった土地で。

「それはァ、たしかにィ、こわいィおはなしィ~…!」
「ぐるるがるる~…」(←訳:怖くて悲しい~…)

 怪談の生地から始まって、
 地霊散歩は、江戸の大路、大火と空襲の記憶、
 お稲荷様と河童の町、
 武家と町人、市井の人々が造っていった江戸へ、
 東京の今昔模様へと
 怖い話の根は伸びてゆきます。

 東京都の西の端っこに住む私ネーさにとっては、
 《下町》の概念についての文章に
 なるほど!と感心させられました。
 
   江戸っ子にとって、
   どこが下町で、どこが下町でないか。
   下町の中にもヒエラルキーがある。
   いちばんセレブな町はここだ!

「びッくりィでス!」
「がるぐる!」(←訳:でも納得!)

 怖い話がたぐりよせる、
 江戸~帝都~東京の歴史巡行は
 資料に裏付けられた高度な《地誌》研究でもあります。
 歴史マニアさん、
 時代小説好きさんにおすすめですよ。
 ことに、怪談愛好家さんは必読!
 手に取ってみてくださいね~♪ 
  
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする