テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《菌》を追いかけ、世界旅!

2016-05-27 22:06:58 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わすれずにィいようゥ、ひろしまッ!」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!平和がいちばん!)

 こんにちは、ネーさです。
 核なき、だけではなく、戦争のない世界へ――
 今日5月27日のヒロシマの風景に、
 一日も早く世界が平和で満たされるよう、
 心の底から願いつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、平和なればこそ!の大冒険作品を、どうぞ~♪ 
 
  



           ―― 菌世界紀行 ――



 著者は星野保(ほしの・たもつ)さん、2015年12月に発行されました。
 『誰も知らないきのこを追って』と副題が付されています。

「ふゥむッ? きのこォ、でスかァ~?」
「ぐるがるぐるがる~?」(←訳:舞茸とか松茸とか~?)

 ええ、きのこ、と聞いて最初に思い浮かべるのは、
 私たちの身近にある“食べられるきのこ”でしょうね。
 シイタケ、マッシュルーム、エノキダケ等々の。

 しかし、世の中には、食べられない、というより、
 モノを“食べられなく”するきのこ、も存在します。

 著者・星野さんは、
 そんなヘンテコなきのこ、
 《雪腐病菌(ゆきぐされびょうきん)》の研究者――
 菌類学者さんなのです。

「ふァいィ?? きいたことォないィでスよゥ?」
「がるぐるる??」(←訳:雪が腐れる??)

 寒く、雪に覆われた、冬の畑。

 雪の下は凍てついていて、
 植物たちは平和に冬眠しているのかと思いきや、
 実は、たびたび異変が起こります。

 低温にもかかわらず、
 植物たちに感染し、
 じわじわと病気――《雪腐病(ゆきぐされびょう)》をもたらす、
 雪腐病菌。

 この病菌の分析と分類、収集が、
 星野さんの研究テーマ、なのですよ。

「びょうきをォ、もたらすゥ、きのこォ~…」
「ぐるがるるぐるる?」(←訳:低温好きなきのこ?)

 ほとんど知られていない、
 つまりとってもマイナーなきのこの研究は、
 ものすごっく地味で地道……なはず、なんですけど、
 えーと、どうしてなのか、
 インディ・ジョーンズさんの冒険を連想させる、
 規格外の探検に発展するので
 まったく油断できません。

 ロシアに行けば、
 移動は飛行機じゃなくシベリア鉄道やヒッチハイク?
 宿泊はホテルじゃなく見ず知らずの他人のお家?

「ひえええッ? それはッ」
「がるるぐるる!」(←訳:危険な匂いが!)

 ホッキョクグマの気配におびえたり、
 ときにはKGBに尋問されたり、
 採集した標本を没収されちゃったり。

「あちゃァ~!」
「ぐるっ!」(←訳:怖いっ!)

 北極圏での収集の次は
 南極に行きたいなぁ~と
 周囲にアピールしたら、
 これまた何故か、トントン拍子に
 中国の南極考察隊に同行できることに。

「ぺんぎんッ!」
「がるるる!」(←訳:アザラシ!)

 ふと振り向けばジェンツーペンギン。
 行く手にはゾウアザラシの壁。

 シベリア、北米に南米、
 南極大陸に、オーストラリア。
 星野さんいわく、
 “アフリカ以外の五大陸をまたにかけた
  壮大な現地集合・現地解散の調査”行は……

 笑えます。

「ぷふふふッ♪」
「ぐるるっ♪」

 酵母・カビ・きのこの仲間、菌類。
 (大腸菌・乳酸菌・納豆菌は細菌類だそうです)

 いまだ正体不明?な雪腐病菌の秘密を探るべく、
 ゴルゴ13のように世界を巡る学者さんの
 大冒険紀行、いえ失礼、
 異色の菌類解説書は、
 嘘いつわり皆無の楽しい完全ノンフィクション作品です。

 わたし文系だから~、
 ええ~キノコぉ~?
 カビとか苦手なのよね~
 なんて言わず、ぜひ一読を!
 菌類の孤独でチャレンジャーな生きざまに、
 きっと貴方の観方も変わる……!

「おすすめェでス!」
「がるるぐるるー!」(←訳:探してみてねー!)
 

 
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