テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

トゲトゲの下の、優しいこころ。

2009-04-10 12:45:07 | ブックス
 初夏のようなお天気の東京・多摩地方から、こんにちは、ネーさです。
 
「こんにちわぁー、テディちゃでェスゥ」

 本日は、『行け行け!名作劇場』はちょいっとお休みして、
 珍しくも?フランスの小説を御紹介いたしましょう。
 はい、こちらを、どうぞ~!


 
            ―― 優雅なハリネズミ ――


 
 著者はミュリエル・バルベリさん、原著は’06年に発行されました。
 仏原題は『L'elegance du herisson』です。

「むッ、むずかしィのでスかッ」

 いえいえ、ネーさも最初は、
 フランスの純文学?!?
 とビビりましたが、
 良い意味で予想を裏切ってくれる、
 POPとさえ形容できちゃう御本なのです。

 舞台は、現代のパリ。
 グルマン通り7番地に、
 お金持ち向けのアパルトマンが建っています。
 そのアパルトマンで、
 27年間も管理人をしている女性が、
 ルネ・ミシェルさん。

 容姿、それに言動も、
 管理人らしくとりつくろっているルネさん、
 その仮面の下に豊かな知性を隠しておりました。
 絵画や文学への、深い理解、洞察力。

「まだむゥ、すごいィでス!」

 アパルトマンにはもう一人、
 知性知力を隠すようにして暮らす女性がいます。
 12歳の、パロマさん。
 お金持ちの家に生まれたけれど、
 パロマさんは、家族に、他のあらゆるものに失望し、
 自殺を考えているほど。
 
「わわッ、そ、それはッ」

 澱んだ池に閉じ込められたような日々に苦しむ
 ルネさんとパロマさんでしたが、
 あるとき、
 アパルトマンに変化が訪れました。

 空室となった住居が売りに出され、
 新たにやって来たのは――
 日本人のオズ氏!

「むぽッ♪
 えいがかんとくゥみたいでスねッ♪」

 日本文化に興味を持って、
 いえ、共鳴していたパロマさんと、ルネさん。
 オズ氏の登場が、
 ふたりの人生にも変化をもたらしてゆきます――

「むむゥ……うれしィようなァ、
 こわいィようなァ?」

 どことなく、
 先日ご紹介しました『猫を抱いて象と泳ぐ』を想わせる
 ミステリアスで美しい物語です。
 フランスってこんなに階級社会なの?と
 驚かされもしましたが、
 12歳の少女パロマの前には、
 階級など瓦礫(がれき)も同然のようです。

 この御本は、
 宣伝をあまりしなかったにもかかわらず、
 クチコミを中心に評判が高まり、
 ついにはベストセラーリストの一位を獲得!
 以後、100週間も!ランク上位を維持したという
 特異な売れ方をした作品です。
 その秘密は?
 魅力はどこにあるのでしょうか?
 
 いえ、そんな余分な知識は措いておきましょう。
 ルネさんとパロマさん、
 慈雨を待ちわびるふたりの女性が
 オズさんを通して発見したものがすべて、です。

 活字マニアを自認する方々、
 本好きの皆さま、ぜひ!

「よんだらァ、おづさんにィ、おあいィしたくなりまスゥ♪」
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